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虐待をうけたすべてのあなたへ

児童虐待の定義

児童虐待は以下のように4種類に分類されます。

身体的虐待 殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
性的虐待 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
ネグレクト 家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
心理的虐待 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など

厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/about.html

今日は虐待を受けてきた当事者として、年代ごとに、また状況ごとに被虐待児本人がどうやって対処すべきか、また周りの人は何ができるのかここに綴っていけたらと思います。もしいま誰にも相談できずに苦しんでいる方がいれば、その方が一歩踏み出せる一助になればと思っています。
(私は医療従事者や専門家ではなく、あくまでも当事者としての意見になります。現在主治医やカウンセラーがいる場合はそちらの判断に従ってください。)

私がこの記事を書こうと思ったのは、精神科医や心理士が書く精神医学やアダルトチルドレンの本は数多くあれど、あまり当事者に寄り添うものとはいえず(過度に一般的もしくは専門的)渦中の人間にはあまり参考にならないと思ったこと、また私自身が正式に複雑性PTSDと診断を受けたことが理由です。

【複雑性PTSD】
複雑性PTSDは、持続的な虐待やドメスティック・バイオレンスなどのトラウマ体験をきっかけとして発症し、PTSDの主要症状(フラッシュバックや悪夢、過剰な警戒心など)に加えて、感情の調整や対人関係に困難がある等の症状を伴います。こうした症状により日常生活や社会生活上に大きな支障をきたす精神疾患です。

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)(https://www.ncnp.go.jp/topics/2022/20220608p.html)

PTSDはベトナム戦争をきっかけに広く知られるようになったので、知っている方も多いかもしれません。

※PTSDの正確な情報は厚生労働省の該当HPをご確認ください。(https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_ptsd.html

PTSDは主に1回の大きな出来事(性被害や震災の被害など)による苦しみが持続的に日常生活に支障をきたしている場合に診断されます。

一方、複雑性PTSDは2018年に採用された診断項目で、かなり新しく疾患として認められたものになります。

こちらで最も代表的な原因は虐待です。

そもそも虐待と成人以降の精神疾患などの相関関係は肌感覚ですらわかるものですが、被虐待者は虐待を語らない(語れない)ため、表面上別の精神疾患と診断、投薬されてきたことも多かったのではないかと思います。(もちろん併存して別の疾患を持つこともあります)

私の場合は非常に理解のある主治医やカウンセラーに出会い、しっかりと話を聞いてもらう中で、今の辛さは過去に向き合わないといけず、対処療法でごまかすことは難しいと気付きました。

そしてトラウマ治療という専門的な治療を受けることに決め、少しずつですが向き合えるようになってきたなと思います。

そしてそれと同時に、自分のように適切な治療につながれる人はどれくらいいるのだろう、と思いました。

私はたまたま素晴らしい専門家に出会えました。この人になら自分の過去を話せると思いました。それは彼らが決して決めつけで判断する人間ではなかったからです。虐待を受けた人は基本的に「恥」の感情に悩まされます。「自分の過去は人には言えない、そんな過去を抱えた自分は生きてる価値なんてない」と。

もしかしたら過去に誰かに勇気を持って伝えてみたかもしれません。そして望むような反応が得られず、さらに人が信用できなくなったのではないでしょうか。すごく勇気がいる行動なのに、どれだけ辛かったろうと思います。でも相手も素人なので、どう反応していいかわからなかったのかもしれません。

また専門家でも理解がなく最低な対応をする人もいます。その時の絶望ははかりしれないものだったろうと思います。でも世の中には素晴らしい治療者もいます。

何度もありのままの自分を受けいれられたいと挑戦し、そのたび辛くなって、もう誰かを信用して裏切られるくらいなら一人でいたい、死にたいと思っているかもしれません。当然の気持ちです。

まずはそれなのに生きててくれてありがとうございます。とてもすごいことだと思います。

時には死ぬことのほうが楽に感じて、死にたいという欲求をかみつぶしながらなんとか生き延びた日もあったでしょう。

もしくは自分を傷つけてくる人を殺す妄想をしてなんとか耐え忍んだ日もあったかもしれません。私も頭の中で母親を殺しました、何度も何度も。

正直本当に殺そうかと真剣に考えた日もありました。そうしないと逃れられないと思ったからです。

相手を殺すか自分が死ぬかの二択しか見えない時期がありました。

相手を殺して自分も死ぬ。もしくは当てつけのように自殺したり犯罪をすることで相手を苦しめたい。脳を支配してくる強い誘惑になんとか耐え続けました。拷問のような毎日でした。

実際に被虐待経験と犯罪には相関性があるとする研究結果もあります。
https://www.syaanken.or.jp/wp-content/uploads/2019/12/RP2018A_003.pdf

そりゃ当たり前ですよね。悪意ばかり向ける人間に育てられてるのに、それをなかったことのように扱って他人に善意を向けろと強制してくる社会に迎合なんてしてやりたくないですもん。

優しすぎる人は他人を傷つけたいと思う自分が怖くなってしまうかもしれません。でもそうやって感じるのは当たり前だから大丈夫です。

でもあなたのことが心配なので、どうかあなたのこれからが少しでも楽になるように、以下に様々な方法を示します。

できそうなものがあればぜひやってみてください。そしてそんな自分を褒めてあげてください。よろしくお願いします。

私の人生について


で、結局いろいろ偉そうに言ってくるお前の人生はどうなの?と思う方もいるでしょうから、以下に簡単に書きます。

私は北海道に住む公務員の親のもとに生まれました。

物心つく前に母親が双極性障害になり、その後ギャンブル依存症になりました。父と母は離婚し、私は「かわいそうだから」と母についていきました。

その頃からいわゆる虐待が始まりました。母は家事は一切せずパチンコに入り浸り、私はいつも机におかれているお金でご飯を買って生きながらえていました。殴る蹴る髪をひっぱるなども日常茶飯事でした。虐待の種類でいえば、先ほど示した4つの定義のすべてを受けたと思います。母親は幾度か警察のお世話になり、2,3度、児童養護施設で一時的に過ごしたこともあります。

高校生の時に、母親から馬乗りで殴られ続け、髪をハサミで無理やり切られたとき、すべてがどうでもよくなり、着の身着のまま家を飛び出し、近所のコンビニに駆け込んで保護してもらいました。

警察にも事情聴取を受け、そのままシェルターにお世話になりました。シェルターはDVを受けた女性がいくイメージでしたが、虐待を受けた自分みたいな女性を受け入れるシェルターもあるみたいですね。

住所が非公開なこともあり、少しの間高校を休みました。

そこから母親のところに戻ることは考えられない一方で、父も遠くに住んでいて一緒に住むとなると高校を変えねばならず、それが嫌だったので里親家庭にお世話になることにしました。

正直最初は里親にいいイメージがわかず、その選択肢を選ぶことはとても怖かったのですが、結果として里親さんはすごく素敵な方でした。

人生で初めて身の回りの世話を受け、お弁当を持たせて高校に行かせてくれました。

里親は通常行政から補助金が振り込まれるみたいですが、それ以上の手間暇をかけてくれました。(誕生日にはネックレスをくれたり、参考書代を渡してくれようとしてくれました)

でもさすがにストレスがピークすぎて発狂しかけたので精神科を自分で予約し、定期的な通院とカウンセリングを受けてました。

今だから言えますがわりと何回か自殺の計画を立ててました。(あとから里親さんに「あの時のあなたはいつも自殺しそうで怖かった」と言われたので全然隠せてなかったみたいです、、、)

で、ある時死のうと窓に足をかけてたら、たまたま倫理の資料集が目についたので読んでみると、「哲学者みんな高学歴じゃねーか!!!やっぱ人間って肩書きなきゃ話を聞いてもらえないんだな」と理不尽にキレながらも、「だったら一回死んだつもりで自分の命を世の中のために使ってみようかな、あ、そうだ総理大臣になろう、んでこの世の中の理不尽を変えよう」と生きる理由を唐突に見つけ、そこからは吐くほど受験勉強をすることになります。

昔から父親に「国公立の大学なら罪滅ぼしとしてなんとか行かせてあげたい」と言われていたのですが、自分の状況だと現役で国公立は無理だな!と思い(あと浪人も状況的に100%無理)、私立大学の中でも奨学金がめちゃくちゃもらえるところを探し出し、父に現役で私大に入るのと浪人で国公立に入る時の金額の概算をプレゼンしたことで、「うーーん、よくわからないけど金額そんな変わらないならいいよ」と私大を受ける許可をもらいました。

そしてスタディサプリ(当時月額980円とか)とAmazonの1円で変える中古の参考書を駆使し、また自分のお金で世界史だけ予備校に通い、現役で早稲田大学法学部に入りました。

■補足
受験勉強の詳細が知りたい!という方は2016年度の早稲田大学法学部の赤本、もしくは「私の早慶大合格作戦」2016年版・2017年版に寄稿したことがあるのでそちらを読んでいただけると嬉しいです。手元にない&記憶がおぼろげですみません。

我ながら前後の高低差がすごすぎて意味がわからないですが、里親家庭という受験勉強に専念できる環境がなければ、また父が罪悪感をおぼえて大学の費用を出してくれると言わなければ、その結果はありえなかっただろうなと思います。

大学時代は多額の奨学金をもらって、わりと好きなことをさせてもらってましたが、当時目指していた官僚(政治家になるにはまずは官僚、という安直な考え)はインターンなどに行った結果、理想と現実のギャップを痛感せざる得ず、また試験の予備校に通う経済的余裕もなかったので、普通に日系企業に入りました。

で、そこでもわりと最初は楽しかったのですが、仕事内容や上司の性格が虐待されていた状況と酷似しているように感じてしまい(当時はそれに気づいてすらいませんでした)、だんだんと体調を崩すようになり、今に至ります。

正直毎日死の誘惑に耐え続ける日々でしたが、会社のカウンセラーさんに紹介していただいたことで素敵な主治医にも出会えましたし、またそのカウンセラーさんにトラウマ治療を勧めていただいたことでようやくちょっと死にたい気持ちも落ち着いたなと思います。

正確に言えば私たちにとっての死にたいって「このまま生きていくのが辛い」なんですよね。

トラウマ治療ってその衝動がどこから生まれるのかきちんと向き合うことなんだろうなと思います。

きっと私と似たような経験がある方は、そんなものに向き合ったら感情に飲み込まれてどうなるか怖いと思っているんじゃないでしょうか。

それも複雑性PTSDの症状です。

でも正直言うと、ひとりでその過去に立ち向かうのは相当に辛いです。お酒や仕事など、逃げれるものにしがみつきたくなってしまうかもしれません。

でもそれだと本当の意味でよくなることはないと、心のどこかでわかっているのではないでしょうか。

なのでまずは、ありのままの自分の話を適切に聞いてくれる専門家を見つけるのがいいと思います。簡単じゃないのが辛いところですが・・・

そういう方のことを安全基地と心理学的に呼ぶそうです。

私の場合は主治医がその役割を担ってくれました。

あきらめて主治医の手に委ねられるハリネズミ(私)

ハリネズミのように尖った私に「大丈夫ですよー」と根気強く付き合ってくれたので、「こいつにならハリの掃除を手伝ってもらってもいいかもしれん」とだんだんと古いハリが抜けていきました。そしてついにはハリなしで向き合えるようになりました。

後述しますが、精神科医がその役割を担えることは非常にまれです。理由もあとで詳しく述べます。

それでは、具体的なハックに入っていきましょう。

中学・高校時代について


いま現在、中高生で虐待に苦しんでいる方は具体的にどうすべきだと思うか自分の考えを述べます。

思うに、小学生まではほとんどの場合、虐待に気づきません。

「お父さんお母さんごめんなさい、怒らないでください。殴らないでください。悪い子でごめんなさい。」

と理不尽な暴力にひれ伏しながらいい子になって過ごすか、

とてつもないさみしさにまみれながら家でひとりで過ごしているかのどちらかだからです。

高学年にもなってくると、少し自分の家がおかしいことに気づきます。

でもどうしたらいいかわかりません。

しかし中学にもなると自我が芽生え、おかしいと感じながら大人しく過ごすか、「クソ親」と反抗的になります。

中学生は非常に難しい時期だなと思います。大変つらいかと思いますが、中学校は頑張って卒業するのがいいかなと思います。高校もやはり行けるのであれば行くのがいいです。

ただそれは何もその家で我慢して過ごせと言っているわけではないです。

虐待の度合いによって対応を変えるのがいいと思います。

■心理的虐待のみの場合

親が自分に関心を向けてくれない、もしくは心理的に傷つけてくる場合など。ただ一方でわかりやすい暴力などがないので、互いに虐待とは認識していないかもしれません。グレーゾーンとも言えなくもない状況です。

もし親と話し合えるのであえば、親子でカウンセリングなどに通うのがよいかと思います。虐待というのは大抵親が自分の傷を癒せないままでいることから生まれています。あなたが悪いことは間違いなくありません。

ただ親がそれを認めないかもしれません。その場合は、極力距離を取りましょう。友人と過ごす時間や部活動の時間など、自分のしたいことに集中しましょう。学校の保健室の先生やカウンセラーさんがいれば相談してみてもいいかもしれません。(私は実際に学校に所属するカウンセラーさんに定期的に話を聞いてもらったことがあります。大人が全員無関心じゃない、という事実に少しは救われました。)

もちろん普通の先生でも信用できる人がいれば話してみてもいいと思います。ただ普通の先生は専門家ではないこと、また忙しいことからその対応が不十分であると感じる場合もあるかもしれません。

そして独り立ちできそうなタイミングまで備えましょう。どんな時も「親がたまたま子供を子供として愛する能力がなかっただけで、自分は何も悪くないこと」を覚えておいてください。

■心理的虐待以外の虐待がある場合
(その場合心理的虐待はほぼ必ずあることと思います。)

具体的に明らかに被害がある場合は、逃げることを念頭に置いてください。

辛い中でも仲良くしてくれる友達やペットなどがいる場合、その日常が変わってしまうのが怖くて、守りたくて耐えたいと思うかもしれません。私もまさしくそうだったので気持ちはわかります。

でも限界はあるので、自分の身体が具体的な危険にさらされている場合、思い切って保護してもらうことを考えましょう。これまで大人の事なかれ主義で訴えが取り下げられたこともあるかもしれません。それによって親から報復を受けたかもしれません。その場合でも助かる方法は正直に自分の辛さを叫び続けることです。

怖い場合は教師やカウンセラー、その他近所で相談に乗ってくれそうな大人を慎重に探してからでもいいかもしれません。

ここで、信頼できる大人の特徴を2つ教えます。

①あなたのために感情的になってくれる
②あなたの気持ちを決めつけない

あなたが辛いということをきちんと真正面から認めてくれて、あなたのために親に対して怒ったり、あなたのために泣いてくれる大人を見つけましょう。

そしてその人たちに普段から相談しておいてください。いざという時に力になってくれるかもしれません。

個人的にまともな大人に出会える確率は打率2割くらいかなと思います。案外少ないんですよね。なので10人いたら2人くらいかなと思って探してみると必要以上に落ち込まないで済むかなと思います。

逃げたあとはどうなるのか

ここではじゃあ先ほどの場合で逃げるって具体的にどうするの?という部分と逃げたあとどういう選択肢があるのかについて述べます。

まず逃げ方ですが、交番などに駆け込むのは相当な状況じゃないとおすすめできません。

昨今は児童虐待が増えてデリケートになっているので私の当時よりマシかもしれませんが、警察は事件性がない限り「民事不介入」と家に帰そうとしてくる理解のない方がわりといます。

そんな人間に性的虐待などの内容を伝えるのはかなり辛いと思いますし、明らかな暴力を受けた時以外は駆け込み先としてはおすすめできません。(私の場合は髪を無理やり切られ、殴られていたのがあざになっていたので傷害罪として捜査されました。聴取や現場検証などわりと消耗する作業が生まれます。ちなみにここだけの話、親身になってくれていた刑事さんがある時、私に母に対して「あいつだけは絶対に逮捕しなきゃいけない、シャバにのさばらせておいたらいけない人間だ」と言っており、不覚にもめちゃくちゃ笑いました。)

なのでまずは周りの信頼できる大人がいればその人にも協力してもらい、いなければ単独でもいいので児童相談所全国共通ダイヤル「189」に電話しましょう。

緊急度の高い「通告」と判断された場合、児童相談所は48時間以内に安全を確認することが法律で義務付けられています。

なのでまず大人がなかったことにするのは難しいです。

それでも、その後の生活が不安な方もいるかもしれません。

大抵は一時的に児童相談所に保護され、その後児童養護施設もしくは里親家庭に行くことになります。

以下に簡単に私の実体験から特徴を述べます。
(あくまでも私の事例であり、施設の方針や里親本人の資質に左右される可能性はあります)

児童養護施設:集団生活。規律がかなりハッキリしていて起床時間や食事時間も決められており、一人になれる時間はあまりありません。寮で生活する、みたいなイメージです。

里親家庭:他の里子がいる可能性もあるが、いても数人。里親になれる基準はわりと厳しいので、生活環境などは生家よりいい場合が多い。養子縁組ではないので、「お母さん」と呼ぶ必要もなく、(私は最後まで「おばさん」でした)感覚としては遠い親戚の家に預けられた感じです。

どちらであっても最初の方は定期的に児童相談所の担当職員の方と面談します。行かされたらそのまま放置とかはありません。

個人的な経験としてはいろんな子が集まる児童養護施設はわりといじめの温床だったなあと思います。

私の里親さんがたまたまいい人だった、ということかもしれませんが、一人部屋と自由を与えてくれて、最後名残惜しくて泣きながら感謝するくらいにはいい経験になりました。

里親さんは子供を愛する能力がとてもある人で、適切な距離で見守ってくれました。

今でもとても感謝しています。

血のつながった親よりも、愛する能力があるまともな他人の方が自分に優しいっていうのは、かなり不思議な体験で、咀嚼するまでに時間はかかりましたが・・・。

また、結果だけ言えば私はあの時に逃げるという選択をしなければ、早稲田に入ることはなかったでしょう。

逃げるというと不安になると思います。悪い方向にしか考えられないかもしれません。

でも私みたいな人間もいるんだなと思ってあまり怖がらないでひどいことをしてくる親から離れることを選べる人が増えたら嬉しいです。

18歳以上になったらどうするの?


これはわりと根深い問題なのではと思いますが、児童養護施設も、里親家庭も基本的に18歳までしか面倒を見てくれません。(面倒、というのはあくまでも物理的な話です。私の場合は出て行った後も里親さんの家に帰省するたびに顔を出したりしてました、あなた方のおかげで今私は幸せですということを伝えたくて。その他の里子さんとも連絡を取っている様子もありました。卒業後も親身になってくれる大人がいるのはとても心強いことです。また私は弁護士さんが運営するシェルターにお世話になっていたこともあり、その時に担当してくれた弁護士さんにも大学入学祝いしてもらったり、家から逃げた後のほうがいい大人に出会えたなと思います!!)

わりと重要なのはその後なのになと思います。

ちなみに児童養護施設出身者の大学進学率はおよそ2割程度と言われており、2人に1人が大学に入る今の時代背景を踏まえるとそれでもその程度か、と思わざるを得ません。

多くは就職を選ぶ、ということですね。

一方で里親家庭出身者における大学進学率は3割程度と言われています。

児童養護施設出身者よりはかなり高くなっていることが伺えると思います。

参考:東洋経済オンライン 「大学進学の壁」あまりにも高い里子たちの苦悩 日本には「学ぶ権利」を剥奪された子どもがいる https://toyokeizai.net/articles/-/465474?page=3

この要因としてはやはり環境の差なのかなと思います。

児童養護施設を体験した身からいうと、あの環境で受験勉強に専念する、というのはかなり精神力が必要になってくるかと思います。

また周りも進学する人が少なく情報をなかなか得ることができず、受験に対するモチベーションを保つのも難しいかと思います。現実的なことを踏まえて就職活動に舵を切るのは当然です。

里親家庭は先ほども述べたように基準が厳しいので比較的大卒•高所得者(私のお世話になった方も北海道大学出身)が養育する場合も多いかと思いますし、1人部屋で集中して勉強に取り組める環境が整うこともそれなりに多いんじゃないかと思います。

ちなみにどちらにも言える素晴らしい傾向としては、どんどん奨学金などが充実してきていることです。

まず国の奨学金としては、修学支援制度(https://www.mext.go.jp/kyufu/)が令和2年よりスタートしています。

私は対象ではなく当事者ではないため詳細はぜひ厚労省のHPで確認していただきたいのですが、それなりの額が給付されるみたいです。HP見る限りだとざっくり年間100万円以上もらえるみたいです。

私自身も中学校から大学に至るまで様々な奨学金を受給してきました。

その額は総額600万程度かなと思います。

多いものからいうと、似鳥国際奨学財団(https://www.nitori-shougakuzaidan.com/)の月額8万円の給付×24ヶ月=192万円、早稲田大学の「めざせ!都の西北奨学金」(https://www.waseda.jp/inst/scholarship/aid/programs/pre-approved/)40万円の給付×4年間=160万円(今はさらに多いらしい!いいなー!)などがあります。その他も一時的な奨学金数十万程度をいくつかと、留学費用の一部を出してくれる文科省の「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」(https://tobitate.mext.go.jp/)など、とにかく奨学金を調べて募集要項を見てみて、もらえそうなものは片っ端から応募してました。


また私の母校の早稲田に関しては「紺碧の空奨学金」(https://www.waseda.jp/inst/scholarship/aid/programs/konpeki/)といい、児童養護施設と里親家庭出身者に対して入学検定料•入学金及び授業料の全額免除、月額9万円の給付を行う奨学金があります。こちらは入学前に申し込む奨学金なので、もし少しでも早稲田に入りたいと思う該当者の方がいたらぜひ申し込んでもらいたいなと思います。(こちらも私の入学後にスタートしてます。どんどん充実してきたってことですね、いいこと!)

私立ってすごくお金がかかりそうだけど、一方で国公立は受験対策が大変で…という自分みたいな人にとってものすごく救いになるんじゃないかなと思います。(里親家庭や児童養護施設にお世話になってる中で受験勉強とか前提としてかなり大変です、、、なのに学費があまりかからない国公立は受験対策が多岐にわたっていて本当に辛いですよね〜、、、)

実際に採用された方のインタビュー。(https://www.waseda.jp/inst/weekly/news/2020/06/09/75541/

私の場合も先述した「めざせ!都の西北奨学金」が入学試験を受ける前に合格通知が来ていたので、「受かったら160万、受かったら160万…」とブツブツ唱えながらそれはそれはモチベーション高く勉強することができました。笑(時給換算すると1万越えるな・・・勉強するか・・・って思ってるあんまり可愛くない高校生でした!お金は大事!)

国公立大学に関しては申請すれば授業料自体が免除なところもたくさんあるので、もし行きたいと少しでも思えてるのであれば、ぜひ目指してほしいなと思います。

私は大学に行けて本当に良かったです。

昔から親に「お前のせいで金がないんだ」と殴られて塾にすらなかなか行かせてもらえず、夜中に叩き起こされてはコンビニに行かされたりするので自分のペースで生活すらできず、母親のパチンコ代のために高校時代のバイト代を全部奪われて貯金すら出来なかった私が、大好きな学問に熱中し、人生で初めて自由だと思える時間でした。

大好きな友達もたくさん出来ました。

また、先述した奨学金が当時なく社会人になった私のような方にもおすすめの制度があります。

それは雇用保険の教育訓練給付制度(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html)です。

こちらも詳しくは厚労省のHPを見ていただきたいのですが、簡単に言えば雇用保険の加入3年以上の人に対して資格の取得や専門学校への進学などを補助する制度です。(保険関連が整備されている企業に勤めていればほとんどの方が対象だと思いますー!ただ公務員の方は適用されませんのでご注意を。)

色々あるのでぜひHPをご覧いただければと思いますが、看護学校や税理士•会計士またIT関連などの専門学校、大学院に至るまでさまざまな機関が対象に指定されています。(金額もかなり条件で変わるのでぜひご確認ください!わかりづらい場合は最寄りのハローワークにいきましょう!)

手に職をつけたいと思っている方や資格を取得したいと思ってる方は一度ぜひ興味あるジャンルがないか検索してみるといいと思います。

福祉って知ってるか知らないかで全然違うなと思います。

本当は周りの人が適切に導けたらいいんでしょうけど、そうも言ってはいられないので、興味がある方向性を助けてくれる何かがあるかもしれないと常にアンテナをはりつづけることが自分を救ってくれることを知っておいてほしいです。

もらえるものをもらうのを恥ずかしいと思う必要はありません。

福祉を活用できるのは社会人としての立派な行動です。

また、もし周りにそのような状況の方がいて、自分ができることがないか、と思っている方に関しては、今まで書き連ねてきたような情報をぜひ伝えてあげてください。そもそもそういう制度があるのを知らないまま18歳になる子も少なくありません。

素人が課題を抱えてる人を救うことは簡単じゃありません。もしそういう知人がいれば、できることは①否定せずに話を聞くこと②聞いた後に距離をとろうとしないこと③役に立ちそうな情報を与えること、になります。それ以上の行動はなかなか一個人だと難しいです。助けようとして自分自身が消耗してしまう危険性も大いにあります。現実的な限界を踏まえながら、できる範囲でぜひ寄り添ってあげてください。


社会人になって傷がうずいてきたら


ここからは社会人になって虐待の傷がうずいてきた方に向けての対処法をお伝えします。

もしかしたら体調を崩して会社を辞めたりお休みしたりしてるかもしれないし、もしくはお酒を浴びるように飲んだり仕事にのめり込むことでなんとか対処してるけど苦しくて仕方のない人もいるかもしれません。

なんなら自分が苦しいことにすら気づいてないかもしれません。なぜなら苦しいことに気づいてしまうともう戻れないと深層心理で恐怖を感じるからです。

先ほどでも例に挙げた心理的虐待の場合は、なんなら親はとても優しかったと思い、虐待があった事実にすら気付いてないんじゃないかと思います。

これは個人的な意見ですが、私ほどわかりやすく虐待された人間はもちろんのこと、虐待よりさらに広い概念であるマルトリートメントの状態に置かれていた方も心に傷を抱える場合があると思っています。

マルトリートメントの内容はたとえば、子供の前での夫婦喧嘩や配偶者の悪口を言うこと、親が決めた教育方針、進路、職業などを、子どもの意思を無視して押し付けることなどがあげられます。

昨今ではいわゆる毒親やアダルトチルドレンなどの言葉をよく聞くようになりましたが、上記の状態に置かれていたことをそう定義する方も多いのではと思います。

「俺は虐待なんかされてない」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、じゃあこのもやもやはなんなんだろう…?となっている方も対象になるのではと私個人は考えています。

それを踏まえて、現実的な選択肢を以下に提示します。

◼️明らかに虐待があったと本人が認識している場合
まずは大人になるまで大変だったのによく生きてくれました。ありがとうございます。
その上で自分の虐待のことをなかなか人に言えず、人知れず恥の意識や親を切り捨てた罪悪感などにさいなまれ、時折なんとも言えないつらさに襲われたりすることはないでしょうか?
いま述べたものは複雑性PTSDの症状です。そして複雑性PTSDに最も有効なのは心理療法と言われています。いわゆるトラウマ治療になります。ただ自己診断のみで行動するのではなく、まずは専門家に相談してみましょう。
今既に症状が辛い場合は心療内科・精神科、生活はできているけど辛い場合はまずはカウンセリングをおすすめします。

◼️虐待があったと思ってはいないがなぜかずっともやもやしている場合
理由がわからないのにモヤモヤしているのも辛いですよね。
その場合はとりあえず書き出してみて、自分の感情の動きや自分が辛いときは自分にどんな言葉をかけているのか気づいてみるのがいいかもしれません。
そして可能であれば最初は違和感があってもそれを優しい言葉に置き換えて自分に話しかけてみるのはどうでしょう。浮かんだ気持ちは一緒でもその感情をより柔らかい言葉で受け止めてもいいかもしれません。
またそれでは埒があかない、と感じている場合、まずはカウンセリングに行ってみるのはどうでしょうか。とりあえずモヤモヤしてることをカウンセラーに聞いてもらうのも素敵な大人の対処だと思います。

2つとも基本的に言ってることは、「カウンセリングに行ってみるのはどうでしょう?」ってことですね。

カウンセリング?友達に聞いてもらうのじゃダメなの?病院じゃないの?と思う方もいるかと思うので以下で持論を述べます。

なぜ心療内科(精神科)をすすめないのか:これだけ主治医を褒めといてなんなんですが、薬物療法以外の治療に熱心になる精神科医の絶対数が少ないからです。いわゆる巷では「5分診察」と呼ばれたりしていますが、精神科は初診の予約がかなりとりにくく、最初のハードルが高い(評判がいいところは基本的に埋まってて新規を受け付けないこともしばしば)、そのわりには事務的な診察で心折れることが少なくありません。自分の辛さを聞いてもらいたい…!と思ってようやく行ったら「会社休みたいですか?とりあえず漢方出します」みたいな感じで対応されると専門家でこの対応なの…と心バキバキになります。私の主治医は多分仏がたまたま人間の形で精神科医をやってるので「お話聞かせてください!一緒に考えましょう!」と時間をとり、私が原因を見つけられるようになるまで粘り強く話を聞いてくれました。(これを他のカウンセラーさんとかに話すと「えー!いい先生ー!!」と毎回言われるので多分珍しいです)まあ診察が短くなるのはおそらく日本の医療の仕組み的な問題で、病院に勤める医師は病院という組織に勤めるサラリーマンでもあるわけで経営を考えてる病院側から表示される診察の目安みたいなのを踏まえると15分程度になりがちで、開業してるクリニックになると経営のことも医師本人が考えるためクリニックの存続を考えるとさらに短く5-10分で診察を終えることになるのではないかと勝手に予想してます。本当はじっくり話を聞きたいけど経営が立ち行かなかったらそもそも患者さんを救えない、とジレンマを抱えているお医者さんも少なくないんじゃないでしょうか。(ま、患者からしたらそんなの知らねーよ!治してくれよ!って感じかもですが)あとそもそも話聞くのは自分の仕事じゃないって思っている医師も少なくない気もします。わりと今の精神医学って精神疾患を脳の機能障害と捉えて(個人的にはこの変化自体は差別が減りそうでいいと思います)薬物療法に重点を置いているイメージです。精神療法を重視するかどうかはもはやその医師のスタンスなわけです。薬物療法は症状を落ち着かせるのには有効だと思いますが、根本原因を探そうとしない場合はただの対処療法になりがちだなと思います。(精神疾患は再発率が高いとかよく言われてますが、対処療法しか受けていない患者ばかりだからでは・・・と思うのは気のせいでしょうか)まあ、せめてカウンセラーを常駐させといてくれよな!というのが現実的なお願いですかね!(高校時代通ってたところはそんな感じ)なんていうか精神科って目には見えない病気を扱うのでそのお医者様本人がどんな治療方針かで同じ精神科でも全然違う対応だよねってなりがちな気がします。

家族とか友達に聞いてもらうのはダメなのか:まあダメとまでは思わないんですけど、おすすめです!とも言えないです。理由としてはあくまで素人なので、大抵の場合、傾聴のスキルがないからです。私が傾聴のプロだなと思う人は、限りなくバイアスを排除して対話する人です。人間誰しも生きてく中でバイアスが醸成されます。そして時にそれを無意識に他人に押し付けます。モヤモヤしてるのは、そもそもそういうバイアスの押し付けに疲れて解放されたいと心のどこかで思っているからではないでしょうか?カウンセラーさん自身、バイアスがないとは言えませんが、少なくともクライエント(患者)との対話ではバイアスを出さないように訓練しています。だから話していて楽になります。そして決めつけたようなアドバイスはしません。誠実になればなるほど「〜みたいなふうに思ってみてもいいかもしれないですね」と配慮した上でエビデンスに基づいた内容をあくまで包み込むような話し方で伝えます。私がトラウマ治療してる中ですごく感じたのは「ああ、私はただこうやって自分の話に真摯に向き合ってくれて、あなたの痛みは当然の痛みなんですよ、ここまでよく頑張りましたって言ってくれる経験がしたかったんだ」ということです。これはやっぱり家族や友人だとなかなか難しいんじゃないかなと思います。なのでまずはカウンセラーさんで練習して、どんな反応がきても対処できるようになってから家族や友人に話してみる、という順番がよいのではと思います。

じゃあどうやっていいカウンセラーに出会えばいいの?


すみません、これに関してはやはり本人との相性などもあるので数を打つしかないという答えになってしまいます。

ただ所感として、カウンセリングは大抵の場合、話を聞いてもらえる時間も長く(45〜60分程度がメジャーかと思います)、それなりの経験を積んでいる方であればそこまで大幅にはずれることはないです。

ちなみに私が受けているトラウマ治療は持続エクスポージャー療法といい、日本でも専門的な人がかなり少ない治療になります。

ここまでで複雑性PTSD及びトラウマ治療に興味を持った方は以下の厚労省のHPの詳細をぜひ参考にしていただければと思います。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_ptsd.html

代表的な治療方法である持続エクスポージャー療法(PE)は、簡単にいうとカウンセラーさんと一緒にとにかく辛かった思い出を繰り返し語って、(またそれを繰り返し何度も聞く宿題がでます)辛かったことに慣れていく、(専門的には順化といいます)そんな内容です。

は?そんなんで本当によくなんの?って思うんですけど、不思議ですけどなんか楽になったなーって思います。

なんでトラウマになるかというと、たとえば仮に何か死の危険を感じたとして、あまりも衝撃が強いとその場ですべての恐怖や辛さを処理できなかったりするんですよ。

で、その時の感情を後ほどじっくりと感じたり、誰かに話していく中で自分の中でストーリーとして落とし込めると、記憶としてきちんと処理できるんですが、その出来事がたとえば自分にとって認めがく感じるもの(たとえば虐待や性犯罪など)だったりすると考えようとするのを避けたり、誰にも話せないまま苦しんだりすることになります。

これがほとんどのトラウマの原因と言われています。

なので、それをいま掘り出して語ることで昔できなかった記憶の処理をしよう、ひとりだと適切なやり方でできなかったり、辛くて続けられないかもしれないからカウンセラーと一緒にやろう。これが持続エクスポージャー療法です。

自分の辛かった時の思い出を繰り返し語るのも、その時の感情を感じるのも、最初は辛くてきつかったりします。

自分が親に適切に愛されなかったというのは、人間にとって一番認めたくないことのひとつじゃないかと思います。

それに傷つき、苦しむのは当然の感情です。

たくさんたくさん傷ついて、ようやく腑に落ちました。

大人になるにつれ、理屈や大義で相手を批判していたのは、その核心にある自分の人間としての当然の弱さを見つめることが怖かったからなんだなと思います。

何重にも布に包まれていた自分の本来の感情を、どんな布に包まれているかを知り、その布はいまはもういらないかなと自然にはげるようになる。

そんな繰り返しでようやく少しずつ自分に素直になれてきたかなと思います。

まあやり方はわりと原始的で、肉を切らせて骨を切るみたいな方法なので、自分自身がそれに挑戦したい!と思ったときにやればいいと思います。安くはないし・・・(基本的に保険適用外なので相場は総額2-30万程度です。それで一生楽になれるなら安いなと思いますが、値段的には高いですよね。)

なのでまずはカウンセリングに繋がるところから、というのが個人的な感想です。

自分自身の経験を述べると、会社の担当カウンセラーさんに現在の主治医もトラウマ治療のカウンセラーさんも紹介いただいており、(そのためここで名前を出すことや私が紹介する、というなことは差し控えさせていただきます、すみません。)
まずはカウンセラーさんと繋がり、そこから紹介してもらえるのであれば専門的な医師やカウンセラーを紹介してもらうのがベストかなと思います。自分の性格を理解してくれているカウンセラーさんに紹介してもらうと間違いないです。

カウンセリングは基本的に保険適用外なため、高額になりがちですが、そんな金額出せないよ、という方には以下をおすすめします。


■精神保健センターhttps://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsuranyou_taisaku/hoken_fukushi/index.html
精神保健福祉センターは精神保健福祉法によって、各都道府県に設置することが定められている施設です。たとえば東京都では『こころの電話相談』 (電話番号03-3302-7711平日9:00-17:00)で相談を受け付けています。

まずは、電話でご相談ください。電話でお話をうかがってから、必要に応じて面接相談(予約制・無料・秘密厳守)をいたします。

とのことなので、まずは電話してみるのが良いと思います。

そのほかにも保健所で類似の対応をしているところもあります。

詳しくはこちらの厚労省のHPをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/consult_6.html


出来れば予約をとって直接行くのをおすすめしたいですが、それが難しい方にはより気軽なオンラインカウンセリングをぜひおすすめしたいです。

◼️cotree(https://cotree.jp

自分自身も一度無料体験したことがあります。カウンセラーさんのプロフィールがあって人柄や専門などがわかるため、相談内容に合ったカウンセラーさんを見つけることができます。時間の都合もつけやすいので、最初の一歩としてすごくおすすめします。


その他役立ちそうなのものとして、認知行動療法のアプリなどがあります。

◼️Awarefy(https://www.awarefy.app
この手のメンタルケアのアプリケーションやサービスは増加していますが、その中でもイチオシはAwarefyです。
このアプリは早稲田大学の熊野宏昭先生の研究室と共同開発されています。熊野先生は東大医学部卒の精神科医ですが、Yahoo!でマインドフルネス研修を行ったりするなど、マインドフルネスや認知行動療法に関しての第一人者でもあります。
彼の早稲田大学での認知行動療法の講義がYouTube(https://www.youtube.com/watch?v=bln3tSP4ZCM)で見れるのですが、人柄といい話し方といいとても穏やかで素敵な先生だなと思うので、この方が関わっているプロジェクトであれば安心だなと思います。(シンプルにファンです笑)
全般に効果が認められているマインドフルネスをガイドつきでできる機能もあります!
UI/UXも使いやすく、無料なので興味があればぜひダウンロードしてみてはいかがでしょうか。


他にも関連本でワークをやることで癒されたりもしますので、おすすめの本を何冊か提示します。軽めのストレスであれば緩和されることもあるかと思いますが、あくまでも専門的なカウンセラーさんに併走してもらうことをよりおすすめします。

複雑性PTSDを体系的に学べる&各章にワークがあります。

ストレスに向き合う方法が数多く示されているので、とにかくたくさんストレスに対処する方法を知りたい!という方におすすめします。

優しいタッチと読みやすい構成で悩みに寄り添ってくれます。疲れてる時にも読みやすいです。

実際の事例に対する著者の考えがつづられており、読むと不思議と涙が出ます。

マインドフルネスについて書かれている本は1冊は読んでも損ないです。(ただし書かれているワークの内容は基本的に同じため何冊も持つ必要ないです、1冊自分に合うものをお守り代わりに持ちましょう)

ぱっと見意識高い感じもするのですが、ストレスを科学的に対処する方法をエビデンスたっぷりに解説している本です。読む前と読んだ後でここまで自分の認知が変わったのは初めてでした。


最後に


ここまで色々書かせていただきましたが、繰り返しになりますがこれはあくまでも私個人の経験によるいち当事者の考えです。ただ、n=1でもこんな人間がいるんだと参考になればと思いこの文章を書きました。

最後に、私が本文を書くにあたって主に参考にした『複雑性PTSDの理解と回復』(2022,アリエル•シュワルツ)から以下の文章を引用して終わりとさせてください。

「C-PTSDからの回復には、多くの場合、あるがままのあなたを十分に受け入れ、他者への信頼を取り戻す手助けをしてくれるセラピストとの良好な関係性が欠かせません。ですが、ひとりでできることもたくさんあります。本書で紹介する癒しの方法は、不安、無力感、恥の気持ちを軽減するために考えられたものです。きっと、あなたはコンパッション(思いやり)のある寛容な態度で、自分自身を批判せずに受け入れる力を発揮できるようになるでしょう。それによって、サバイバーとしてのあなたが力強く成長するという何より重要な変化が起こるはずです。小児期のトラウマの苦しみから、自分の人生を取り戻すことができるのです。」

1つだけ確かなことは、たとえ虐待を受けていたことで現在辛い感情に覆われていたとしても、そこから自分の人生を取り戻す選択ができるということです。

虐待を受けていたあなたが悪いことなんて絶対にありません。

本当は、社会が人間の自然な痛みにもっと寛容になって、辛いことや悲しかったことを当たり前に口に出せるようになったらいいのになと思います。

どうか、これを読んでくれた方が一分一秒でも楽に生きられる瞬間が増えることを願っています。


【参考文献】
『複雑性PTSDの理解と回復』(2022,アリエル•シュワルツ)
『児童期虐待を生き延びた人々の治療 -中断された人生のための精神療法-』(2020,メリレーヌ・クロアトル)
『愛されなかった時どう生きるか 甘えと劣等感の心理学』(1992,加藤諦三)
『あなたの苦しみを誰も知らない-トラウマと依存症からのリカバリーガイド-』(2021,クラウディア・ブラック)
『身体はトラウマを記録する-脳・心・体のつながりと回復のための手法-』(2016,ベッセル・ヴァン・デア・コーク)
『トラウマ後成長と回復-心の傷を超えるための6つのステップ-』(2016,スティーヴン・ジョゼフ)
『トラウマのことがわかる本-生きづらさを軽くするためにできること イラスト版-』(2019,白川美也子)
『複雑性トラウマ・愛着・解離がわかる本』(2020,アナベル・ゴンザレス)

【参考URL】
マルトリートメント(避けるべき子育て)が子どもの脳の発達に与える影響について 公益財団法人母子健康協会
https://jp.glico.com/boshi/futaba/no83/con01_01.html#:~:text=%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%8E%E9%81%BF%E3%81%91%E3%82%8B,%E3%81%AF%E5%91%BC%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

傾聴とは こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/listen/listen001/

治療者用 持続エクスポージャー療法プロトコル
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000115165.pdf

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