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負の連鎖は断ち切らなければならない

おはようございます.こんにちは.こんばんは.
57回目のnoteを投稿します,とろたく軍艦です.
 
文の始めから強い言葉を使って申し訳ないのだが,私の嫌いな考えがある.それは「かつて自分はこれだけツラい環境に耐えたのだから,お前も耐えろよ」という考えである.昭和が終わり,平成も終わり,時代は令和に突入しているにも関わらず,未だに日本が体育会系社会から抜け出すことができない理由の一つが,上記の考えを持つ人がいることだと思っている.
 
かつての日本の労働環境は今と比べはるかに過酷だった.「24時間戦えますか」というフレーズがテレビCMで流れていた時代.仮に,今このようなCMがテレビで流れた日には,即座に炎上することは間違いないだろう.パワハラやセクハラは今と比較できないほど横行していただろうし,ブラック企業やワークライフバランスなどという言葉は存在しなかった時代だ.
 
このような時代を耐え抜いた猛者達からすれば,Z世代などと呼ばれるイマドキの若者は腑抜けにしか見えないだろう (ちなみに私も一応はZ世代の一員である).出世などには関心が薄く,残業や休日出勤をひどく嫌い,自分の時間 (もしくは家族の時間) を最優先にしているような若者に我慢ならないのは想像に難くない.
 
では,今日のような社会情勢の中で,時代の猛者達が体験してきた働き方を若者に勧めるのは,果たして本当に奨励されるべきことなのだろうか.
 
結論から言ってしまえば,私は奨励されるべきではないと考えている.なぜなら,今日のようなグローバル化した社会情勢,国際情勢の中で,日本のみが体育会系な働き方を続けていくのは世論からの信頼を失うからである.
 
言わずと知れたことだが,ヨーロッパ諸国では,労働時間を短縮するように方向付けされている.これに対して,日本では,未だに長時間労働を美徳とする価値観が存在するように感じるが,ナンセンス極まりない.国際的な世論を鑑みると,このような価値観の下に運営されている企業はいずれ投資家から見向きもされなくなるに違いない.投資家だけではなく,銀行も融資をしなくなるはずだ.きちんと従業員のワークライフバランスに配慮できている企業に優先的に投資や融資が集まる時代がすぐそこまで来ている.
 
また,現在と,「24時間戦えますか」というフレーズがテレビCMで流れていた時代とでは社会情勢が大きく異なる.当時は,経済全体が発展状態にあり,日本が上へ上へと成長する時期だった.当然,長時間労働によって,新しくサービスを提供すればするほど企業の売上は伸びていき,自分自身の給料も上がっていたはずだ.しかしながら,失われた20年 (最近では30年に伸びているらしい) とも呼ばれるように,現在は,経済的な成長期から成熟期へと移行している.つまり,労働時間に比例して給料が上がる時代ではなくなったのだ.成長期と成熟期とで,若者の価値観が異なるのは当然であろう.寧ろ,変化する時代に対応できることこそが,生物としての生存戦略のはずである.
 
経済的な成熟期にあたる現在.若者が求めるのは,出世ではない.自分や家族の時間を大事にする,ある意味で非常に人間らしい在り方ではないだろうか.経済成長期を働いて過ごした方の中には,当然,家族の時間も大事にした人もいるだろうが,少なかったのではと推測する.この観点から考えれば,当時の会社員は,社会人としての責務は果たしていたかもしれないが,家族の一員としての責務は放棄していたに過ぎない.仕事と家族を両立させる.この難題にチャレンジしているのが今の若者なのである.
 
それでも,感情的に,厳しい環境を若者に課そうとする人が大勢いる.「かつて自分が耐えたのだから,これくらいは耐えられるはずだ」「自分は逃げなかったのだから,お前らも逃げるな」というような論理に基づいているのだろうが,この手の論理を振りかざすのは,もう辞めませんか.こんな論理を振りかざしたところで,誰も幸福にはなれないのが分からないだろうか.
 
「自分たちはこんなに厳しい時代を生き抜いた.だからこそ,若い人には同じような目に遭って欲しくない」
このように考えられる人はいないのか.他人が不幸になったからといって,自分が幸福になるわけではないし,かつての自分の努力が認められるわけでもないということをどうか理解してほしい.

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