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2021.10.10 ルヴァン杯準決勝第2戦 FC東京vs名古屋 雑感

日本のサッカー3大タイトルの内の一つ―――ルヴァン杯。
春先から予選リーグが始まり、予選リーグを突破すると以降は一発勝負、ホーム&アウェイの2試合の合計点で勝敗が決まります。
昨年のルヴァン杯王者として、準決勝まで駒を進めたFC東京。
10/6に行われた準決勝第1戦で名古屋相手に1-3と痛い敗戦。
ただし、第2戦はホームの味の素スタジアム。
2-0で勝利すれば(もしくは2点差以上で勝利すれば)決勝進出が決まる重要な一戦。
大一番の試合を観て、「これは書き残さなければならない!」と強い衝動に駆られて、キーボードを打つことにしました。

期待しかない第2戦

私が抱く印象ではありますが、長谷川健太監督率いるFC東京は「ここぞ!」という一発に強い。
(ここぞ!と言う試合に悉く負けたり引き分けるチームではあるのですが、本当に落としてはいけない一試合に照準を絞り、そこにモチベーションを合わせるのが上手いと思っています。)
それを強く思ったのが、昨年・今年のルヴァン杯での戦い方。
リーグ戦の長丁場はなかなか上手く行かないことがありますが、昨年の準決勝 川崎フロンターレ戦、そして今年の予選リーグ突破後の湘南ベルマーレ・コンサドーレ札幌戦は、直近のリーグ戦の戦い方を含めてお見事でした。

特に今年の湘南・札幌戦に関しては、第1戦を落としつつも第2戦を逆転勝ちして勝ち上がってきただけに、名古屋戦に関しても、同じような展開を期待せずにはいられませんでした。

大丈夫。

追い込まれれば追い込まれるほど、FC東京は真の強さを発揮する。

昨日開催の第2戦はまさに、そんなFC東京の底力を見たような試合でした。

夢を見た一瞬

今年のFC東京は例年にないほどの故障者に悩まされています。
特に「SB(サイドバック)」という守備のポジションの選手たちは、呪われているのではないかと思うほど、次々と故障が続いています。
登録選手数だけ見れば過剰な人数なのですが、現在本職で稼働できるのは長友佑都選手と中村拓海選手のみ…。
(サッカーが分からないと言う方に説明すると、FC東京は左右両方にSBが必要なフォーメーションのため、控え選手がいないという緊急事態…)
しかも左SBの長友選手は所属はしているのですが、現在日本代表の活動でチームの活動からは抜けているので、この名古屋戦に関しては、一体誰が左SBをやるの!?と不安半分、期待半分の状態でした。
(来年の必勝祈願は、SBの呪いを祓ってほしいものです…)

そして当日のスタメン発表を見て、驚愕。

「え…凌磨くん!?」

普段、前線を任されることの多い攻撃的な渡邊凌磨選手が、まさかの左SB先発。
何かの間違いかと思って試合開始後の様子を見ていても、恐らくSBで間違いなさそうな様子。
ただ、この日は何かが降りていたのかもしれない、渡邊選手は守備でも崩壊せず、まさかのコーナーキックのキッカーまで勤め上げました。
(これについては後述)

先ほども書いた通り、第1戦を1-3で負けている東京は、2-0で勝たなければなりません。
その至上命題を背負ってキックオフした東京イレブンは、怒涛の攻撃的姿勢を見せ、なんと前半に先制。

ハーフタイム中。
「あと1点!あと1点!」と思いながら、優勝がかかった2019年最終節のことをふと思い出していました。

※2019年のJリーグ最終節。
1位 横浜Fマリノスと2位 FC東京の直接対決。
ただし得失点差の関係で、前半2失点していた東京は、あと6点を取らなければ優勝ができない状況の中、ハーフタイム中に起こったFC東京サポの「あと6点」の大合唱。
テレビ中継されていたようで、当時の実況・解説者は苦笑していました…
ちなみにこの試合、私は現地観戦していました。
(本日のトップ画像はその時の東京ドロンパ)

大丈夫!

あの時よりも可能性はある!

そう願っていると、55分に髙萩選手の2点目でなんと2-0に!
その瞬間、私のボルテージは最高潮。
このまま行けば、大逆転の決勝進出。
思わず涙ぐみ、叩いた手は腫れあがっていました。

しかし80分に名古屋の稲垣選手が得点を決め、東京は前がかりとなり攻め続けるも、残念ながら2-1のまま試合終了。
2試合合計3-4で、残念ながら準決勝敗退となりました。

2-0になった瞬間、決勝への道が開けたと希望が見えましたが、夢は一瞬で終わってしまいました。
けれど、「激闘」「死闘」と呼ぶにふさわしい、両チームとも激しくぶつかり合う見ごたえのあるゲームでした。
(名古屋の選手の皆様もお疲れ様でした!)

やはり希望の光はあった。

残念ながら今年の東京はタイトル無冠が決まってしまいました。
しかし以前、下の記事で書いた通り、どんなに辛い試合だったとしても、必ず次につながる光が見えるのが今年の東京。

この試合に関しては、勝利に対する執着心、一人ひとりの熱量が高く、見ていて心打たれる試合でした。
(特定の選手の「あのプレーがちょっと…」というのがある人もいるかもしれませんが、私としては全体的にとても良かった、今シーズンのベストの試合内容だったのではないか、と感じています。
なにより選手たちの勝利に対する熱い気持ちが伝わってきました。)

ディエゴや永井が前線からとんでもない距離を走って守備をすれば、それに応えるかのようにボランチの選手が激しくプレス。
全員がお互いを支え合い、勝利に向けて戦う姿が本当に素晴らしかった。

その中でこの試合、特に注目したのが、先ほども書いた「渡邊凌磨選手」と「中村拓海選手」

まず左SBと言う初めてのポジションで、大きなミスもなくやり切った渡邊選手に拍手を送りたい。
しかもコーナーキックのキッカーまで勤めて、先制点のお膳立てまで!
改めて今季加入した渡邊選手のポテンシャルの高さを感じました。
だからこそ、春先の怪我で長期離脱していたことが悔やまれる…。
今日のプレーは、まさに来季のFC東京の希望でした。
本当に素晴らしい活躍でした。
今シーズン、残り6試合になりましたが、少しでも長くピッチでみたいな、と思わずにはいられない存在になりました。

そして中村選手。
今シーズン開幕頃のインタビューの様子からは想像できないほど、こんなにしっかりとした受け答えができるようになるなんて!
親戚のおばちゃんの気持ちで今日のプレーを見ていましたよ、私は。
今シーズン、ベンチにも入れない期間が長かった中村選手ですが、ベンチ外の時期にたくさんの努力をして、プレーも内面も成長していたんですね。
右SBが次々と怪我で離脱し彼に出番が回ってきましたが、一試合でどんどん成長していく姿、とても頼もしかったです。
そして、あんなに感情を露わに悔しがっている姿を見たのは初めてでした。
どこかクールで澄ましたところがあったように見えていたのに、こんなに熱い選手だったんですね。

怪我で離脱している選手たちが戻ってきた時、本当のポジション争いが待っていると思いますが、もっともっと成長した彼の姿をピッチで見たいと、そう思わせてくれました。

来年に向けて思うこと

FC東京の選手の多くが30代以上と20代前半。
20代後半の中堅選手が少ないのですが、20代半ばの選手が出てきて、そろそろ世代交代も考えられる時期になってきたかな、と思っています。
だからこそ、先ほど挙げた渡邊選手や中村選手、そして今日のピッチに立った20代前半の選手たちには、来年の奮起を求めたい。
今怪我で離脱している若手選手達にも、是非とも頑張ってほしい。
未来のFC東京は明るいんだと、私たちにその姿を見せてほしいし、きっと見せてくれる。
今日の熱量から期待を感じました。
(もちろんベテラン選手の活躍を期待しない、という訳ではありませんよ!
ベテラン選手はベテラン選手の良さ・役割があるのは知っています。)

そして準決勝敗退したからでしょうか、長谷川健太監督の去就について、スポーツ新聞が報じ始めています。
(真偽はおいておいて、数日前から日本代表監督の話も出ているようですが…)
今シーズンの成績だけを考えれば、今シーズンいっぱいで退任も致し方ないかな…、とは思います。
ただ、私はあともう1シーズン、長谷川監督を見たい。
3年間続いた変則スケジュール・多すぎる怪我人、長谷川健太監督就任後、苦しいシーズンが続きました。
だからこそ、変則スケジュールがないシーズン(まさかアウェイ8連戦とか来年はないですよね…?)で、長谷川監督の戦いを見たい。
今日の戦いから希望を見せてもらえたからこそ、そう思うのです。

長谷川監督に関して書きたいことはたくさんありますが、今日はこのくらいにします。

来年こそは何か一つタイトルを。

できればまだ掲げたことのないリーグタイトルを、来年は見たいものです。

最後に選手の皆さん、監督、コーチ、FC東京に携わる皆様。
本当にお疲れ様でした。
リーグ戦の残り6試合、来年に繋がる戦いを楽しみにしています。

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