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「弱いのになんで応援するの?」への答え


 
僕が生まれ育った福岡には、ホークスという人気の野球チームがあります。一方で僕はアビスパ福岡という決して強豪とはいえないサッカーチームを、物心ついた頃からずっと応援してきました。小中学生だった20年近く前、ホークスの人気は今以上に高く、そのため同級生に「弱いのになんで(アビスパを)応援するの?」とよく聞かれたものです。
悔しさを感じた質問でしたが、今回はこの質問に対する僕なりの答えをまとめました。アビスパ福岡のサポーターはもちろん、他のチームやサッカー以外のチームを応援している方にも届くと嬉しいです。
 

アビスパ福岡のホーム・ベスト電器スタジアム


僕がアビスパ福岡を応援する理由【1】


1番大きな理由は、とてもシンプルです。
「生まれ育った街のクラブだから」
これ以上に強い理由はありません。
根本に「サッカーが大好き」で、生まれ育った福岡にクラブができたからアビスパ福岡を応援し始めたんです。
サッカーというスポーツの特徴は自由で、どこのクラブを応援してももちろん自由です。僕の場合は、サッカーとは街と街のプライドのぶつかり合いだと感じています。福岡という街が大好きで、他の街のクラブに負けてほしくないという思いがあるからこそ、例えばサガン鳥栖やギラヴァンツ北九州をはじめとする九州のチームとの対戦では特に熱が入るもの。
アビスパはたしかに、なかなか勝てない時期もありました。というより、そういう時期のほうがはるかにたくさんありました。興味のない人には、なかなか勝てないんだから楽しくないだろう、と見えるかもしれません。でもなかなか勝てない時期に白星をあげると、負けた時に感じる悔しさの何倍も嬉しいものなのです。だから、弱いから応援しないということには全くなりません。
たとえ勝てない試合であっても、選手がベストを尽くして戦ったことが伝わればそれに対する満足感もあるものです。
 

僕がアビスパ福岡を応援する理由【2】


加えて最近、2つ目の理由が確立されてきました。
「漫画やアニメを1話から見たくなるのと同じ」というものです。漫画やアニメ、ドラマなどはどのジャンルであれ、たいてい最終話あたりにクライマックスが訪れます。例を挙げると、ドラゴンボールやキングダムは、最初から主人公がめちゃくちゃ強いわけじゃありません。話が進むにつれて、苦労を重ねて強くなっていきます。
いいところ取りをしようと思えば、クライマックスだけを見たければ、漫画にしてもアニメにしても最後だけを観ればいいはずです。
でも多くの方はそうではなく、強くなる過程や途中のストーリーを観たいから、1話目から観るのではないでしょうか。
これと同じです。僕が応援し始めたときはアビスパ福岡は強くありませんでした。でもこの先強くなると信じていて、その過程が見たいし見られる楽しみがあると感じています。1話目から観るからこそ、その先がより楽しめるのです。
漫画などと違い、サッカークラブに最終話はありませんが、例えばタイトル獲得などは1つの区切りだといえるでしょう。
 


生まれ育った地のクラブが、弱いからより熱が入る


アビスパ福岡(当初は福岡ブルックス)というサッカーチームが福岡に誕生してから、僕はずっと応援してきました。
今でこそJ1で奮闘してくれていますが、それまではJ2でも成績がふるわない時期が長く続いていました。また経営状況も良くなく、チームを応援する人も今よりかなり少なかったものです。
 
だから友人たちは、僕がアビスパ福岡を応援することが不思議だったようです。でも当時の僕は、その質問こそが不思議でした。弱いから応援するんだ、弱いからこそ応援しなきゃいけないんじゃないか、とずっと思っていたからです。
強いチームであれば応援する人、支援する人は多く、別に1人が応援しなくたって分母を考えるとさほど影響はありません。
でも弱いチームは、たいてい応援する人の数が少ないものです。だからこそ1人1人の応援が大事で、余計に熱く応援しなきゃいけないと考えてきました。
その思いでアビスパ福岡を応援し、昨年ついにJ1残留、今季はルヴァン杯でベスト8に進出するなど着実に力を付けてくれています。漫画やアニメでいえば、主人公が試練の時をはねのけ力を付けてきたところでしょうか。
悔しい時期があったからこそ、今はものすごく楽しい時期です。とはいえ、クラブの歴史は人生と同じく山あり谷あり。再び難しい時期がやってくるかもしれませんが、思いが変わることはありません。福岡に生まれ育ち、その地に大好きなサッカーのチームがやってきた。そのストーリーをサポーターという名の当事者として、特等席で見ることに勝る喜びなんてあるはずがないのですから。
 

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