うろ覚えむかしばなし 天女の羽衣

あやふや度 ★★★☆☆

むかし、あるところに漁師の若者が住んでいました。
ある日、男が浜辺を歩いていると、松の木の枝にふわふわとしたきれいな布が巻き付いているのを見つけました。
手に取ってみると、重さを感じられないくらい軽い布で、きらきらと輝いて見えます。
若者は、その布を持って帰って宝物にしようと考えました。

そこに、美しい娘がやってきて言いました。
「すみません、その布は私のものです。
 水浴びをしている時に風に飛ばされてしまったのです。
 どうかそれを返してください」
若者は、これは自分が拾ったのだから自分のものだと答えました。
娘は更に言いました。
「実は私は天女なのです。
 その羽衣がなければ天に帰れません。
 どうか、どうかそれを返してください」
若者はしめたと思い、こう言いました。
「あなたは私の妻になってください。
 そうしたら、いつか羽衣を返してあげましょう」
天女の娘は仕方なく、若者と結婚しました。
しかし、若者には羽衣を返す気などありませんでした。若者は、箪笥の奥に羽衣を隠してしまいました。

天女の娘は美しく、優しく、しかも働き者でした。
天女の娘はともかく、若者にとっては幸せな結婚生活が始まりました。
しかしある日、夏物と冬物を入れ替えてでもいたのでしょうか、若者が見つからないように箪笥の奥にしまっておいた羽衣を、天女の娘は見つけてしまいました。
天女は若者のことなどあっという間に忘れ、羽衣をまとって天に帰ってしまいましたとさ。


昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。

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