うろ覚えむかしばなし 桃太郎
あやふや度 ★☆☆☆☆
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に出かけました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、川上の方から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。
おばあさんは桃を持ち帰りました。
おじいさんとおばあさんが桃を食べようを刃物を当てると、桃はひとりでに割れ、中から男の赤ん坊が出てきました。
桃から生まれたその子供を、おじいさんとおばあさんは桃太郎と名付け、大切に育てました。
桃太郎はすくすくと大きくなりました。
そんなある日、桃太郎は言いました。
「おじいさん、おばあさん。鬼ヶ島というところの鬼どもが、村々を荒らして人々を困らせていると聞きました。
これを放っておくことはできません。私は鬼どもを退治しに行きたいと思います」
おじいさんとおばあさんは驚きましたが、桃太郎の意志を尊重し、送り出すことにしました。
おじいさんは立派な衣装や刀を用意し、おばあさんは道中おなかがすかないよう、きびだんごを作って持たせました。
「必ず鬼どもを退治してみせます」
桃太郎は旅立ちました。
桃太郎が鬼ヶ島への道のりを歩いていると、一匹の犬(白色)が話しかけてきました。
「そのきびだんごを分けてください」
桃太郎は言いました。
「私はこれから鬼ヶ島に鬼退治に行くのだ。ついてきて手伝うのなら分けてあげよう」
犬は言いました。
「手伝います、手伝います。鬼など、この顎で噛みついてやりましょう」
桃太郎は犬にきびだんごを与え、犬は仲間になりました。
桃太郎が犬を連れて歩いていると、今度は一匹の猿が話しかけてきました。
「そのきびだんごを分けてください」
桃太郎は言いました。
「私はこれから鬼ヶ島に鬼退治に行くのだ。ついてきて手伝うのなら分けてあげよう」
猿は言いました。
「手伝います、手伝います。鬼など、この爪でひっかいてやりましょう」
桃太郎は猿にきびだんごを与え、猿は仲間になりました。
桃太郎が犬と猿を連れて歩いていると、今度は一匹の雉が話しかけてきました。
「そのきびだんごを分けてください」
桃太郎は言いました。
「私はこれから鬼ヶ島に鬼退治に行くのだ。ついてきて手伝うのなら分けてあげよう」
雉は言いました。
「手伝います、手伝います。鬼など、このくちばしで突っついてやりましょう」
桃太郎は雉にきびだんごを与え、雉は仲間になりました。
桃太郎は、犬、猿、雉を連れて鬼ヶ島に着きました。
鬼たちは、村々から集めた財宝を眺めながら、すっかり油断して酒盛りをしていました。
桃太郎たちはそこを急襲、桃太郎は斬り、犬は噛みつき、猿はひっかき、雉は突っつき、あっという間に鬼たちをやっつけてしまいました。
そして桃太郎たちは鬼ヶ島の財宝を持ち帰り、幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。
昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。
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