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【短歌一首】 爬虫類一の知恵者ワニに請ふ停止モードを直ちに解けと

爬虫類
一の知恵者
ワニに請ふ
停止モードを
直ちに解けと

短歌は動物観察セラピー。

東京の上野動物園の西園にある両生爬虫類館に入ると大きな水槽がある。ここにワニたちがいる。ワニを見るたびに、あらゆる地球上の生き物の中で、最も恐竜をイメージさせるものの一つだと思う。

ワニは、爬虫類のなかで最も脳が発達していて、イヌやネコと同じくらいの学習能力があるそうである。同じ爬虫類のヘビやトカゲやカメなどよりも知能が高いってことか。

ニシアフリカコガタワニ

ニシアフリカコガタワニは1.5mほどの小型のワニ。いつも笑っているような顔と大きな黒い目が特徴的で、館内の生き物の中でもとても人気があるらしい。

大きな黒い目と出っ放しの歯

それにしてもだ。なぜワニとはこうまで動かないのか。上野動物園に限らず、いろいろな所でこれまでワニを見てきたが、動き回っているワニというものを見た記憶がない。いや、動き回るどころかそもそも置物と思えるほどの停止モード。時には口を大きく開けたまま全く動かないワニもいる。
この日も近くにいた小さな子供が、「ワニが全然動いてくれない。」と不満げに話していた。

置き物のように動かない

館内を一周して約20分後に同じ水槽に戻ってきてもう一度ワニを見たが、同じポーズを維持したままで動いたような気配はない。他のお客さんたちも、「全く動かないし、置き物みたいだ。」と口々に言っていた。

外国からの観光客と見られる人たちが、いろいろな母国語でワニに話しかけながら動くように促していた(ように見えた。) しかし、ワニはどこ吹く風、全く動じることなし。お〜い、少しは動いてみてくれい。

イリエワニ

ニシアフリカコガタワニの隣の水槽にいるイリエワニは、世界最大のワニ。 通常、全長1.5〜7.5mだが、10mという記録もあるとのこと。 インドや東南アジア、オーストラリアに生息。 上野動物園の両生爬虫類館の入口入ってすぐの大きな水槽にいる。 入ってくると一番最初に目に止まるのが巨大ワニなので、大きなインパクトがある。 泣き出してしまう子供もいるそうである。上野のイリエワニも相当大きく見える。 4.5m超といったところか。

こっちも水の中でじっとしているだけで、全く動きません!

水草窓の細かいキズはワニが引っ掻いた?

ワニは体を水中に沈め、突出した目や鼻先や耳だけを水面に出して、まるで浮いている木のように見せかけてじっとしてしていて、ワニに気づかず油断している獲物が近づいてくると一気にガブリを噛み付いて水の中に引き摺り込む。噛み付いた獲物が大きい場合、ワニは噛み付いたまま自分の体を水の中でぐるぐる旋回させて相手をより苦しめる。 恐っとろし。

忍法浮き木の術

野生動物のドキュメンタリー番組などでも、水辺に水を飲みにきた鹿や牛などの草食動物がいきなり水中から飛び出してきたワニに噛みつかれて、そのまま水の中に引き摺り込まれるシーンを何度も見たことがある。

草食動物だけではなく、肉食動物の野生のチーターが同じ目に遭っている映像も見たことがある。陸上で時速100キロを超えるスピードで走れる最速の肉食動物チーター。いつもは自分が草食動物を狩しているチーターがワニに連れ去られたシーンは、世界中で衝撃的だったようだ。(ニューズウィーク日本版のサイトから)


どこかで飛び出すタイミングを見計らっているのか

ワニは肉食性で、昆虫や魚、カエルなどの小動物から大型の哺乳類まで、動くものなら何でも食べるそうである。耳栓と鼻栓、透明な第二のまぶたを持っていて、潜水能力にも優れ、川や湖の淡水でも、海の海水でも生活できるというのだから万能。

上野動物園のイリエワニは推定年齢は57、8歳で、園内で二番目に長寿の生き物であるとのこと。(ちなにに、最長老はガラパゴスオオガメで推定年齢95歳との情報あり。)

毎日、毎日、仕事や人間関係や天候に翻弄されてドタバタ生きている自分。これからは少しはワニを見倣って、どっしりと構えて「山は動かず」とうそぶきながら仕事に臨むか。

猫間英介


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