【短歌一首】 藤棚に八重の桜は季をつなぎ散りて水面に花びら落とす
短歌は節気セラピー。
鮮やかな紫色の藤棚。 藤は今まさに満開の時期を迎えている。
霧雨が降る中、周りの新緑もどんどん鮮やかになっていく。
藤棚の下に小さなプールがあり、その水面には花びらが花筏(はないかだ)となって浮いている。この花びらは、てっきり藤の花びらだと思っていた。
しかし、よく考えてみると藤の花はまだ満開でたわわに咲いているし、水面の花びらの色も少し違うように見える。
もう少しプールに近づきよく観察してみると、確かに一部には藤の花びららしきものがあるが、大部分は藤棚に向かって右側の八重桜の花びらであると判明した。桜の中でも八重桜は他の桜に遅れて開花するから、枝にもまだ桜の花が結構残っている。
ということは、藤棚の藤が満開になる少し前までは、この場所では八重桜が満開だったのだろう。きっと美しく咲き誇っていたんだろうな。
花びらが落ちて水面を流れていく「花筏」は大好きな風景。
この日のように雨が降っていると、水面だけではなく地面に落ちた花びらも水を得て、花筏のように流れる。
八重桜から藤へと花の満開が繋がれていき、季節は晩春から初夏へと確実に進んでいく。
猫間英介
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