【短歌一首】 要害に根差し鎌倉守りたる木立作れる日除けぞ涼しき
短歌は散歩散策セラピー。
鎌倉は天然の「要害」と言われている。 要害とは、地形や地勢が険しく、敵の攻撃を防いだり、味方を守ったり、有利に戦いを進めたりすることに好都合な場所や砦のことを言う。
鎌倉は海に面し、そのほかの三方は山に囲まれているためこう言われている。
源氏山も鎌倉の要害を構成する山の一角を担っている。
北鎌倉の浄智寺の境内から源氏山を登るハイキングコースを登っていく。
源氏山を登る坂道がしばらく続いている。最初は舗装された道だが、次第に険しくなっていく。
源氏山を辿るハイキングコースは、特に通りやすいように道が整備されているわけではなく、気をつけて歩かないと崖から滑落する危険もある。
源氏山の散策ルートには、至る所が木々の根っこが剥き出しになっている。この根の張りが網目のようになり、歩く時の足場の役割を果たしているところも多い。自然の産物なので、当然根っこは高さも間隔も規則正しく配列されているわけもなく、一歩一歩気をつけて踏み締めていかないと、足を挫いてしまうリスクがある。
それぞれの木の樹齢はどのくらいかは不明だが、これらの木々も鎌倉の要害の一部を構成し、源氏山を文字通り根っこから支えていたのかもしれない。鎌倉時代から残っているものもあるだろう。
鎌倉を外敵から守るための要害も、現代の登山者には優しい。木立が日除や日傘のようになって、暑い日差しを遮って涼しい空間を作ってくれている。木立を抜けてくる風が本当に心地良い。
木立の日除けの中に佇んで大きな木をしばし観察する。木のウロや幹が、外国の童話に出てくる木の精霊か、長老の森の主のように見えてくる。それとも宇宙からのエイリアンか。張り出した剥き出しの根っこは、生き物の触手のようにも見えるし、人間の馬尾神経のような複雑な神経回路のようにも見える。 絡め取られてしまうかも。
この木を見ていると、だんだん幹が顔に見えてくる。こちらに何か話しかけているのではないか。
そういえば、浄智寺境内の入り口から源氏山の頂上に辿り着くまで、人に全然遭わなかった。最近は熊や猪が人里に降りてくるニュースをよく耳にするが、鎌倉の山ではどうなのだろう。 野生の熊や猪は怖い。もし遭遇したらどうするか。
猫間英介
源氏山の頂上からの下りは今回も化粧坂ルートを使った。化粧坂は坂などという生やさしいものではなく、山肌下り。
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