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【短歌一首】 半世紀越えし白亜の塔今朝も井の頭池を水鏡とす

半世紀
越えし白亜の
塔今朝も
井の頭池を
水鏡とす

子供の頃から、東京のJR吉祥寺駅から歩いてすぐのところにある井の頭公園にはよく来ていた。幼稚園の時は遠足で、小学校の時は写生会で。中学、高校、大学の頃は友達との散歩散策やデートでしばしば訪れた。

井の頭池

井の頭公園の森も池も子供の頃からあまり景色が変わっていない。
先日、公園内の散歩をしている時、ふと池の向こうにある大きな白いマンションはいつからあるのだろうと思った。

というのは、幼稚園の遠足、小学校の写生会で来た時の記憶をたぐってみても、確かに公園のはじに大きな白いビルが見えていたことをかなり鮮明に思い出すことができたから。

池の橋の上から

小学校の写生会では、確かクラスの何人かが井の頭池と木々の緑とともに、大きなビルを描いていたが、もしかするとそのビルはこの白い大きなマンションだったのではないか。

池と木々とマンション

ちょっと不動産情報を調べてみたところ、このビルはもう60年近く前の1968年4月に建てられた「井の頭パークサイドマンション」だと判明した。宣伝文句に中には、井の頭恩賜公園に隣接するヴィンテージマンションなどど謳っているものある。

そうか、やはり自分の幼稚園や小学校時代の記憶は正しかったのだ。少し嬉しいような気持ちになった。

1968年建立

しばらくこのマンションを眺めていたら、幼稚園、小学校の頃の思い出がどんどん溢れ出てきた。遠足でも写生会でも、いつも友達と喧嘩したり勝手気ままな振る舞いをしては先生に叱られていたことや、すでに亡くなった親友や同級生のことなどを鮮明に思い出すことができた。写生会の時などは絵を描くのもそこそこに友達と公園中を走り回って遊んでいたな。

池に映えるマンション

そういえば、小学校4年生の秋の写生会のとき、クラスに絵が上手い奴がいて、そいつが池に映った建物もきちんと描いているのを見て、子供心にとても驚いたことを思い出した。自分には水面を描くことに挑戦するのはあまりにハードルが高かった。

世の中、昔から馴染みのあった町や建物や場所が、ものすごいスピードで変化している。特に、街の輪郭となる大きなビルの建て替えによって短期間に街並みが激変してしまい、驚いたり落胆したりすることがよくある。

時代とともに変わることも大事だが、たまにはなかなか変わらないものも見たい。幼稚園や小学校の時に見た光景と同じマンションと井の頭公園、とても懐かしく安らかな気持ちになった。そして、どこか胸を締め付けられるような切ない気持ちも。

猫間英介




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