相手の気持ちを考えるということ『アラバマ物語』
「映画とかドラマ観るなら、アメリカに関係あることにしなよ。アメリカ文学のゼミなんやけえ。(笑)」
ゼミの集まりでの教授の言葉を聞いて、新しい試みを始めてみました。
一昨日くらいにAmazon prime studentに加入して、アメリカ各州を舞台にした映画を見て感想やその州のことを調べることにしました。
YouTubeでよく分からん動画をぼーっと見るくらいなら、アメリカ映画を観たほうが今の自分にとって意味があると感じたからです。
primeビデオは面白そうな映画やアニメがたくさんあるので、時間を無駄にしてしまわないように気をつけます。(初の動画サブスクです。)
このサイトに書いてある映画を中心に見ていくことにしました。
primeビデオにないものは、自分で調べます。
早速、昨日『アラバマ物語』を鑑賞したので、今日はそれについて書いていこうと思います。
理不尽な裁判
黒人トムが白人女性に暴行を振るったとして、白人弁護士アティカスが彼の弁護することになりました。
アティカスはトムが犯人ではない理由を論理的に説明し、彼が犯人であるとする証拠も客観性がないことを指摘します。白人女性がトムを誘惑したことがこの事件の発端だったとアティカスは力強く述べています。この映画を見た誰しもが、これは冤罪だと考えると思います。
しかし、裁判の結果は有罪。トムは拘置所から逃げ出そうとして、撃ち殺されしまいます。
裁判のシーンは、黒人であることが事件を起こす理由になり得たことを示しています。
また、白人女性が黒人男性を誘惑する行為は、当時は暗黙の内にタブー視されていたこともアティカスは述べています。
白人の黒人に対する根深い差別意識が黒人を苦しめていたのはもちろんですが、その意識が生み出す不文律が、白人を狂気的な行動へ駆り立てたという側面もあるのだと感じました。
スカウトへの助言
アティカスにはジェムとスカウトという2人の子供がいます。
スカウトは自分の信念と異なることがあると、学校でよく喧嘩をしていました。
そんなスカウトにアティカスは1つの助言をします。
相手の気持ちを考える
この助言を聞いて、今にも生きる言葉だと感じました。差別問題が現代でも存在していますが、どうにか相手の気持ちを考えられないものでしょうか。
「差別」という直接的な言葉を使わずに、問題の核となる部分に迫っています。
小学生の頃から言われているような言葉ですが、結局はここに行き着くのだと思います。
自分の信念や信条があってもいい。ただ、相手の気持ちを考えた言動をすべき。
物語の終盤でスカウトがブーに見せる気遣いは、まさに相手の気持ちを考えた素敵な行動でした。
アラバマ州と公民権運動
映画を見るだけではもったいないと思ったので、映画の感想とその州の地理歴史なども調べてまとめることにしました。
画像引用:Google
アラバマ州は、アメリカ南東部に位置します。(ジョージア州の西側)
キング牧師が公民権運動を開始したのも、ローザパークスさんがバスの座席を譲らなかったのも、アラバマ州での出来事です。
キング牧師はアラバマ州は「史上最悪の人種差別都市」と述べていたし、アメリカ州知事ジョージ・ウォレスは“I say segregation now, segregation tomorrow, segregation forever.(今も、明日も、これからも人種隔離)”と述べていたそうです。
また、血の日曜日事件が起こったのもアラバマ州です。
このように公民権運動とアラバマ州には深い関係があるのです。
調べる中で、銃規制や薬物、税金などの制度面に注目して社会を読み解く視点も興味深いと感じました。
何気ないセリフから社会を知る。
映画はさまざまなことを考えさせられます。
それに自分で調べるとさらにたくさん気づくことがあります。
父が黒人の弁護をする姿を見たスカウトやジェムは子供ながらに、黒人に対する社会の理不尽さを感じたでしょう。
モッキングバードを殺すのは罪だと述べるアティカスの言葉からは、トムの無実を信じている強い気持ちを伺うことができました。
そういえば、レイモンド・カーヴァーの作品でも鳥が普遍的なものの象徴として出てきていたような。その時はコマドリだった気がします。
今日はアラスカ州を舞台にした映画を見ました。
映画の何気ないセリフに関して調べてみると、その州の特徴が表れていることが多いようです。
例えば、アラスカ州は石油産業が重要な役割を果たしているようで、それが「石油会社に転職する」というようなセリフで表れていました。
何も考えずに観れば、それまでですが、しっかりとアンテナを張ると意外と多くのことに気づきます。
それがなんだかクセになります。
良い春休みになる予感です。
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