見出し画像

軽率なこと言ってごめん。気づかせくれてありがとう。

私は、今の仕事が嫌いだ。
会社も嫌いだ。
あの一件から、私の夢を無配慮に壊してきたあの件から不信感を拭えない。

会社も人が欲しかったんだ。

この一言で片づけられるのかもしれない。
それでも私は、その不誠実さが許せない。



会社が嫌いになると、この街自体への愛着も皆無になった。

早くこの街から出ていきたい。

その一心で毎日生活している。


「俺、この街嫌いだわ。」


私が放った一言は、同期を傷つけてしまったかもしれない。
彼の地元は私が嫌いな「この街」だから。


「そんなこと言うなよ~。俺はこの街大好きやからさ。」


そう言って彼は笑った。


「この街にも良いところあるやろ?」


私は正直分からなかった。
もう嫌いすぎて良いところを見つけようとさえしていなかった。

困ったな。と思いながら窓を見る。


思い出した。


「この街」に来て1週間経った日。
夕焼け空がそれはもう綺麗だった。
建物が低い分、空が視界いっぱいに見える。
沈みかけた太陽の光が雲に反射する。
オレンジのような紫のような淡い色を映し出す。

立ち止まって写真を撮った。
その美しさを大切な人にシェアしたくて。


「空かな」

「な、良いとこあるやろ」


そう言って彼はにやりと笑う。


軽率なこと言ってごめん。
「この街」に愛着を持っている人がいる。
私は一瞬でも「この街」の良いところを見ている。
忘れてしまっていた。

気づかせてくれてありがとう。

この記事が参加している募集

いつも読んでくださりありがとうございます!