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生成AIで実現する「デスク上で完結するアートディレクション」の未来

「デスク上で撮影ディレクションを完結したい!」

それは私がアートディレクターとして長年抱いていた望みです。

私はIT企業でシニアアートディレクターとして日々、クリエイティブの力で企業が抱える課題を解決しています。

課題の一つとしてブランド認知向上であったり商品販促などがあり、制作においてクリエイティブなビジョンを形にするためには、多くの費用や人手が必要でした。商業ポスターやコンセプトビジュアルの撮影には、モデルやカメラマン、スタジオ、スタイリストなどの手配が不可欠でしたが、こうした手配には多くの時間とコストがかかり、時にはその費用負担が理由でプロジェクトが進行しないことも少なくありませんでした。

また、モデルやカメラマン、スタジオのスケジュール調整も一筋縄ではいかず、撮影日程がなかなか決まらないといった現実的な壁もありました。しかし、生成AIの登場によって、この長年の悩みが解決される日がいよいよ近づいてきたのです。

撮影にはスタジオ手配、モデル、メイク、衣装、カメラマン、アシスタントといったロケーションや人件費がかかるだけでなくコミュニケーションの体力が必要だった。

制約時間と費用の解放


生成AIがもたらす最大の利点の一つは、コストや時間の制約から解放されることです。従来、ポスターやコンセプトビジュアルを制作する際には、スタジオの雰囲気を作り込んだり、適切なモデルやスタイリストを手配するために、多額の費用がかかりました。加えて、スタジオや美術セットの設営、オーディションを経たモデル選びなど、どれも予算を圧迫する要素でした。しかし、生成AIを用いることで、これらの要素をすべてデジタル上で再現することが可能になります。スタジオの雰囲気や照明、さらにはモデルの姿形さえも自由にデザインでき、理想のビジュアルを瞬時に作り上げることができるのです。これにより、企画の自由度が格段に向上し、コストを抑えつつ高品質なアウトプットが期待できるようになりました。

時間の制約もクリアに


もう一つの大きな変革は、時間の制約からの解放です。従来の撮影現場では、スタジオレンタル時間やモデルの拘束時間に厳しい制限があり、細部までこだわった作品作りが難しいことがしばしばありました。限られた時間内でどれだけクリエイティブを詰め込むかというプレッシャーの中で、最終的なアウトプットに満足できないことも少なくありません。しかし、生成AIを使えば、時間に縛られることなく、何度でもビジュアルを試行錯誤し、理想的な仕上がりを追求できるのです。ゆっくりとじっくりと細部にこだわり抜くことが可能になり、結果としてクオリティの高いビジュアルが生まれます。

生成AIの課題


しかし、生成AIがすべての問題を解決するわけではありません。たとえば、企業が訴求したい具体的な製品やブランドのニュアンスをそのまま生成AIで表現するのは、まだ難しい場合があります。特に、同一のモデルを再現したい場合には、AIがリファレンス機能を持っている必要がありますが、現状ではその機能が十分に発展しているとは言えません。一定の質感やキャラクターを持つビジュアルを一貫して創り出すには、今後の技術進化が期待されるところです。

生成AIは、まだ発展途上の技術でありながら、私たちアートディレクターやデザイナーが抱える多くの課題を解決してくれるツールであることは間違いありません。時間やコストの制約から解放され、クリエイティブなビジュアル作りに集中できる未来が、すぐそこに来ています。

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