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夫の休職 − 頑張れちゃう人

3ヶ月間半続いた夫の休職期間がもう直ぐ終わる。

職場がつらいとこぼしはじめたのはもう何年も前だった。だからと言って積極的に転職しようともしないのは、日々消耗し切っていてその気力すらなかったのだと思う。

寝ても疲れが取れない、通勤車の中で動悸がする。

勤続10年になる今年に入って、ついにそんなことを言い出したので、それほどの拒否反応が出てるなら休むか辞めるかしなさいなとわたしは気軽に言った。

まわりからは“いい奥さんだね”と褒めてもらったのが不思議だけど、ほとんど正攻法に勤めるということをしてこなかったわたしは、会社員が休職することの意味合いをまともに理解していない。

でも自分自身、過去には場所を選ばず涙が溢れてどうしようもない精神状態で心療内科のドアを叩いたこともあるから、やっぱり人間、無理なときは無理と知っている。

それでも本人が休もうとしないときには、周囲が無理やりにも休ませなければいけないのも知っているから、まわりにしんどそうな人がいれば休め休めと喚いている。おそらく夫はわたしが休めと言わなければ休まなかった。

§

思いのほか長期の休職許可が出たので、家族も仕事も忘れて人生の夏休みを謳歌しておいでとどこかに送り出すつもりだったが、夫が休職してまもなくわたしの妊娠がわかった。

瞬く間につわりで体が利かなくなり、結局夫に家事育児の負担がのし掛かってしまったことが悔やまれる。保育園の送り迎えも積極的にしてくれた。

夫はまじめでやさしい。自分を犠牲にして全体を優先する。頑張れちゃう人だ。そういう人は都合よく使われて疲弊していく。本人はガス欠のまま走らされていることにも気付けない。

彼にもっと適当に生きてほしい、そのためにわたしができることは−– そんなことを考えながら、3ヶ月間ゲロを吐いて寝込んでいた。

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