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名詞/Noun

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2017年12月の記事一覧

『飛行機』#15

成田空港を出発して、札幌、新千歳空港への飛行機に乗っている。1時間半のフライト。フリーペーパーの中にある間違い探しで10個のうち残りの1つがどうしても見つからず悶々するうちに睡魔に襲われ、目を覚まして再び見遣ったが見つけられなかった。答えは山門の棟の瓦幅の違いだった。 150から200人乗りくらいで、あまり大きくない。ターミナルから飛行機へ向かうバスから降りて、タラップと機体を正面に見て思った。「こんなに小さくても飛ぶんだ」と。思ったままの言葉が口をついた。さほど長くない羽に

『年齢』 #1

27歳になって早7ヶ月ほど、ということは半年以内に28歳になるということ、ということもおいといて、25歳になった時とはくっきりと違う“アラサー気分”を抱えています。 今回のテーマ『年齢』は、このノート群(複数になったので)を作り始めた背景「何も積み上げていない焦り」から“作るぞ”と決意するに至った過程で、大きく影を落としており(後ろ暗い感じがピッタリ)。 昨日の昼に、友人の結婚式二次会の備品を買い揃えて、夕方から『POPEYE 2016MARCH 「仕事とは?」』

『布団』#2

人間の三大欲求から話すまでもなく、行為およびそれに伴う感情その他の要素を総じて、寝ることが好き。です。わたしを知っている人でわたしの睡眠に際したり、わたしに訪れた睡魔を目にした人ならば無論ご存知かと思います。 じゃあ、なんで今回のテーマが『布団』であって「睡眠」でないのかといえば、テーマとして抽象的に過ぎるってことがひとつ。もうひとつは、勘というか、ひねくれともいうか、個人的になんとなく「こっちのほうがいいよな?」って感覚。 建築学生やその他、分野によってはあるあるなことかも

『ボールペン』#3

1年くらい前に見かけて以来、普段使いのボールペンは「Juice up 0.3(pilot)」のブラックとブルーブラック。筆圧が強くかかっても丈夫なペン先ながら、とてもとても細くサラサラっと書けて重宝している。それまでは「SARASA CLIP 0.3(ZEBRA)」。理由は同じくペン先の強さと細さ。 ノート(手書き・作業用)に文や絵をガリガリ書くときに文字が小さくなりがちな私、線が込み入った漢字(「看過」とか「建築」とか「平面・断面」とか)を書くと横棒がぎゅーっと近接する。特

『通学路』#5

なんでこれをテーマにしようと思ったのかカッコいい理由づけもなく、玄関出てふと、「左に進んでも右に進んでも、途中までは小中高の何かしらの通学路と同じなんだよな」と思ったんです。通学って熟語は使うことなく通勤になって数年経ちますが。 もっとも活発で愉快だった通学路は、やっぱり小学生のころだったんじゃないかな。家からは今の足で徒歩10分弱。西門と東門がこどもの通用門で、それは正確な真西・真東でもない。そのうちの西門へと向かう、東向きの通学路、ほぼ一本道。家を出た少しのところで集合し

『アジフライ』#6

「好きな食べ物はなんですか」 “うーん、アジフライ、ですね”。 「そう」問われれば、“こう”答える。アジフライ好きなんです。 「いつから」 意識したことはないんですが、中高生の頃だったろうと思います。うちでの揚げ物は基本的に買い物で、家で揚げることはないんです。それもあってちょっとだけ、揚げ物を毛嫌いしてた時期もありました。よくテレビや漫画で描写される「サクッとした衣」「中のジューシーさ」はトースターやオーブンではピンとくる再現がされず、重たい油の感じが苦手でした。ただ、アジ

『ラッキーナンバー』#7

日本では7がラッキーナンバーとして一般的ですね、ラッキーセブンが(地元川崎のパチンコ屋にはタイガーセブンがある)なんとなーく大事にされる。わたしもなんとなーく気にします。ただ、気にする具合で言えばラッキーな7より、アンハッピーな4や9の方が強い。できれば遭遇、目にする回数は少なくしたい。7って数字を積極的に取りにいくことは、回しものぐらい。ポケモン緑のタマムシシティで回したのが最後か、金銀で回したかあるいは。それでこの一文が、今回のノートにおける7文めで、ファンファーレが鳴る

『ギザジュウ』#8

家の机の横っちょ、本棚とペン立てが乱立(わたしの部屋と机は基本的にきたない)しているなかに、中学の美術の授業で作った、直径10センチ高さ5センチほどの籐のカゴうつわがあった。そのなかに、これまた雑然と消しゴムやボタンやキーホルダーのホルダー部分が入ってる底に、10円玉と100円玉が数枚ずつじゃらついていた。へそくりか、洗濯物でうっかり回しちゃって出てきたけど財布に入れ忘れたのがあったか、と思ったけどその10円玉のうち数枚、古臭くて青サビのついたのもあるけど周りにギザギザがつい

『二桁』#10

こうしてノートを書き連ねてきて、通し番号が10を超えた。投稿のタイミングは遅さ早さあって定時投稿はできていないものの、一日千文字ぐらいのノートを、というルールでは続けられている。22-23日にかけては友達との旅行で、どうしようかと思って最終的には書き溜めをして毎日投稿を、と思ったのに初日朝の電車内と2日目帰りの電車内で両日書いた。『ギザジュウ』#8と『走る』#9。 自分の年齢が二桁になったときのことは悲しくも覚えていない。小学四年生だったはず、低い身長も相変わらずで成長期を感

『24時間』#11

1日を示せる単位であり、1年を示せる単位でもある。単位ベクトル(わりと好きな言葉)。 小学校の授業は毎日8:50に始まって、5日間同じ時間割(科目は違います無論)で流れていく。授業が終わって放課後に遊んで、少し暗くなった頃、5時のチャイム(あの頃は17時なんて言わない)が流れた。帰る。シャワーを浴びる(水曜と金曜と日曜は湯船に湯をはる)。18時ごろのニュースとその特集(三浦キャベツの収穫、雑居ビルの風俗事情、色々あったね)を見て、19時からのバラエティ番組かアニメを見て、晩御

『駅ナカ』#12

品川駅ecute2階の本屋、ペーパーウォールは重用(といっても、立ち寄り8割の購買2割)している。乗り換えがあれば寄り、沿線で時間があるならば途中下車して、寄る。電車のホームからいくらか離れていて、冬場は寒くないし夏場は涼しいし。何より選書と見せ方と、お店自体のサイズ感がよくて、感覚的には5×8メートルくらい、両サイドとその間1.5メートルワイドくらいの本棚が並ぶ。購入した中で新しいものは、河出書房のムック本『五十嵐大介 総特集』。2014年のもの。以前に『海獣の子供』と『S

『メロンパン』#14

ふと思い出したことがある。高校生のころ、コンビニのメロンパンを食べ比べようと試みたことがあった。 それは、アジフライを好きな食べ物として公言する、少し前のこと。食べ物の選択に関してわたしの趣向は、交錯・衝突するように二つあって、 「珍しいものが目につけばそれを選び挑戦すること」と、 「それなりに好きだと思ったものはいくつかのアプローチで食べ比べて探究心を持つこと」と。 前者は特に説明も不要かと思うが、新商品や期間限定商品を筆頭に目新しいものを選ぼうという関心から来るもの。 後

『雑文』#0

起承転結があるでも辞典的意味があるでもない、ある単語ーー品詞を問わないーーについて千文字ぐらいの文章を書いてみようと思った。一日ずつ、思いついた単語について。 勤めていた設計事務所を8月いっぱいで退職して以来およそ3ヶ月と半月、大学時代にしていたアルバイトをちょこちょことやりながら、片っ端から本を読み、まくるとは言い難いマイペースさで、漁った。今後の我が身は順調にゆけば来年の4月から大学に入って新しい勉強を始めることになる。仏教、日蓮宗。この転機を控えてじわじわと身に迫