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「友達」について

いつも感情が一定で、何を言っても何をしても怒らず、どんなことが起きても動じない2歳下の女の子。

私は友達が少ない。相手の顔色を伺って物を言う私は、誰かといるよりも1人でいる方が楽なことに気がつき、いつの日からか1人で過ごす日々が増えていった。しかし、彼女には本音が言える。本音を言える雰囲気でいてくれる。だから仲良くなった。

彼女は、私が本音で話しても受け止めてくれるし、私の都合で振り回しても怒らないし、大抵のトラブルにも動じない。私の感情はジェットコースターであるため、一定な彼女からはある意味人間味が感じられなかった。そして、その若さで肝が据わっているところが好きだった。私の目には、そんな彼女がとても寛大で強い人間に映っていた。

ある日彼女が言った。

「私は強くもないし器が大きいわけでもない。ただ傷つきたくないから、最初から人に期待していないだけ。」

私はハッとした。彼女は、めちゃくちゃ“人間”で、究極に自衛が上手いだけだったのだと。期待しなければ傷つかないと知っている彼女は、人に期待をしない。期待して裏切られた時の傷の大きさを知っているのだ。今の彼女になるまでに、過去に何があって、何を感じて生きてきたのだろう。

人は、他人には見せない何かを抱えて生きている、そのことに改めて気付かされた瞬間だった。まだ踏み込むほどの関係性にいないことが悔やまれるが、安易に踏み込んで失いたくもない。今後関わっていく中でもっと深く彼女のことを知りたいと思っている。


おわり

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