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着物エッセイ|お下がりは特別

私の着物ライフを支えているのは
ほとんど母や祖母からのお下がり。
仕立てたものの、結局着ないまま数十年‥
そのまま放置するよりはと貰った。

仕立てた着物もリサイクルで買った着物も気に入っている。これが欲しい!と思い選んだものだから。
だけど、お下がりはまたベクトルが違う気がして。大事にしていたのが分かるからこそ、自分も大事にしようと思うし、着ていきたいと思う。

なんていうか、想いを繋ぐというのはこういう感じなのかもしれないなと。
着物を手放すならせめて着てくれる人へ‥と
言う人の気持ちもわかる気がする。

どうにかして着たいと思うのはお下がりの着物たちだけだろう。

こういうのも着物の醍醐味なのかもしれない。
これからもお直ししつつ着ていくんだろうな、と思うとなんだかワクワクしてくる自分がいる。

この着物を解いたらまた反物になり、自分のサイズへと仕立て直しが出来る。
こんな面白い衣服が他にあるだろうか。
幸いにも親子3代体型が似てるので、今すぐお直しの必要もないのが有り難い。

仕立ててから30年以上経っているのにも関わらず、まだ現役で着れる着物って奥が深い。
この着物1着にどれだけのお蚕さんが使われているのかと思うと、擦り切れるまで着ようと思えてくる。

お下がりの特別感というのは、着物のみならず、他の物でもそうだと思う。アクセサリーだったり、バッグだったり。
大事にしていたものを自分が受け継ぐというのは素晴らしいことだ。

この着物たちは物を大切にするということがどういうことかを、改めて教えてくれた気がする。おかげで私の着物ライフはかなり楽しく、充実している。
このまま手入れもしっかりすれば、ずっと着ていけるはずだ。

さぁ、これを着て次はどこに行こう。
そう考えるだけで心が躍るお下がりの着物たちと生きていく。








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