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最近遊んだ・遊んでるゲームを一気にレビュー(2023年5~7月編)

 すっかりまとめて書くのが定番になってしまったのですが、ここ数カ月遊んだゲームをいくつかピックアップして短めのレビューを書いていきます!

メジャータイトル

Fallout 76

 来月発売の「Starfield」がとにかく気になっていて、その前にベセスダゲーに触れてみようと思いゲームパスで始めてみました。XBox Game Passはいいぞ。
 荒廃したアメリカを旅していくのですが、その荒廃した世界を隅々まで実に魅力的かつ恐ろしく描かれています。しかもほぼあらゆるところに探索の楽しみがあって「なんだこれ、やばいぞ…」となりながら少しずつ遊んでいます。現代のゲーム、とはいえ少し前の作品なのですが、最近の大作はここまで来ているのか…と思わされます。
 今作はメインストーリーもオンライン上でプレイしていくのですが最初のシェルターを出た瞬間に誰かから核ミサイルが発射されて警報が出たのがとてもいい思い出になっています。いい意味で洋ゲーステレオタイプ的な大味さに笑ってしまいました。そしてこのオンラインプレイによる「一緒にこの世界で生きている存在がいること」と作りこまれきった世界が相まって、もうこの世界が実際にあるとしか思えなくて、これは「Starfield」も楽しみだぞ…、となっています。
 余談ですが私は最近3D酔いをするようになっていて、Skyrimが3D酔いがひどくて遊べなかったこともありフルスクリーンではなくウインドウで遊んだり細かく休憩を取るなどしてプレイしています。まだまだ序盤ですが、「Starfield」が出るまでまったり遊ぼうかと思います。それにしても「Starfield」初日からゲームパスで遊べるのやばくないですか…?

Capcom Arcade Stadium /2nd Stadium

 カプコンの過去のアーケード作品を1本買い切り方式で遊べるコレクション型のゲームです。先日のsteamサマーセールの時に1本100円で売っていたので何作か購入して遊んでいます。
 とはいえがっつりクリアーを目指すとか言う遊び方は全くしていなくて、ゲームオーバーになるまでストZERO3をやって、「わーいさくらのスーパーコンボでCPU倒せたー」みたいな感じで喜んでいたりとか、レッドアリーマーだけは倒してやる!と魔界村を遊んだりと気分転換にちょっと遊ぶ感じで楽しんでいます。こういう過去のアーカイブ的な動きがゲームでもどんどん広まっているのが素晴らしいですし、軽く遊べるのがとてもいいです。ただ強パンチを打とうとして巻き戻しボタン押しちゃう癖をどうにかしたいです。

フリーゲーム

ナツノカナタ

 ずっと遊びたいと思っていてなかなかタイミングが合わなかったのですがゲーム実況に空きタイミングができたので遊んでみました。メインストーリー終了、ストーリー後は少しだけ遊んだくらいの進行度です。
 ゲームの概要としてはコンピューターの画面で突如つながった、パンデミックで滅亡した異世界に生きる少女たちを画面ごしにサポートしていくアドベンチャーゲームになります。
 感染者と戦いながら食料や素材、武器を集めてサバイバルする探索パートを進めながら条件を満たしストーリーを進めていきます。この探索パートがシンプルながらも本当によくできていて、食糧や武器のリソース管理ゲームとしても面白いですし、素材を合成して新しいアイテムや料理を見つける楽しさもあります。さらに同時に終わらないサバイバル感がこの破滅的な世界への没入感を高めてくれます。
 今作のとびぬけた魅力はそのデザインと空気感です。静かだけどそこに抒情と動き、そして美しさがあって退屈することはなくオシャレで、単純に画面とBGMを浴びるだけで嬉しくなるような作品です。カフェで映像が流れていても全くおかしくないような感じというと伝わるでしょうか?
 メインキャラクター、サブキャラクターとして多彩な女性がでてきますがどれも魅力的です。私はキコが好きです。見た目のかわいさもそうですが、それと裏腹の心の揺れといいますか、生きる場所と死ぬ場所を同時に求めているような無常観がとてもよかったです。全体にキャラクターとして強調された部分がありつつも、同時にリアルの人間的な揺らぎがあって、実際にこんな状態になったら自分もこういう選択をするかも?と思えてくる人間描写が非常に優れている作品です。キャラ萌えとリアリズムが共存できているというのがいい表現でしょうか。そして主人公のパートナーであるナツノがその共存の極みとなっているなと感じます。
 ストーリーを進めていくことで彼女たちのいる世界の正体がわかってきます。それを知った彼女たちはどうするのか?その葛藤と苦悩、またパンデミックという危機によって図らずも浮かび上がる解放感、その中でそれぞれのキャラクターが自分の生きる道を選んでいく姿が非常に尊く、心に迫り、プレイしている自分自身もこの世界で前に進んでいこうと思える作品でした。
これでフリーゲームってまじか……って作品ですので一度触れてみてはいかがでしょうか。

バグリラ

 施設らしき場所で記憶を失った少年たちが施設に存在する「バグ」を取り除くことで自らの過去と向き合い記憶を取り戻していく探索型アドベンチャーゲームとなります。
 探索は情報を集めたり、パズルを解いたり謎解きをしたりと多岐にわたっていて、どれもなかなか遊び甲斐があります。難しいものもありますが理不尽だと感じるものはないですし、短編のアドベンチャーとしては非常に遊んだ後の満足度が高くとてもいい作品だと思います。
 今作で好きなところはBGMで、「バグリラ」の名の通りバグ・グリッチ風の映像演出に合わせた不協和音混じりのBGMが不安を掻き立ててきます。しかし、同時にこのBGMには不思議なポジティブさと希望が同時に乗っているる感じがあり、それがエンディングの展開と調和ていて、実は成長物語、青春物語でもある今作を彩ってくれています。また、今回のタイトル画面の目に包帯が巻かれたシスターらしき女性に惹かれた人はぜひプレイしてもらうと、とても情緒を揺さぶられるのではないでしょうか。

「君も助けてくれないんだね。」(R-15注意)

 近未来の世界で、かわいらしいお隣さんと会話をしながらそのお隣さんが同居人にひどいことをされている様子を壁に空いた穴から覗くというノベルゲームです。その日々の繰り返しの中で少しずつ展開が広がっていき、真相へと近づいていきます。
 今作は作者様自ら「露悪」を謳う作品です。ただ、今作の作者はもともと露悪的というか攻めた、暗い作品を出されているので「この方が敢えて露悪だと注意を出すとかどんな作品なんだ…?」と内心わくわくしながら思い実況しながらプレイしたのですが、作者から心配されるレベルで思いっきり食らってしまいました…。まさにこの「内心わくわく」という感情に対して強烈な一撃となった作品でした。
 とにかくあの結末は私には強烈に刺さりまくりました。レベルの高い映像・文章・演出の総合力でどんどん物語世界に没入していきましたし、何より世界に没入したゆえに、この物語を楽しんだがゆえに最後のあの姿が強烈なカウンターとして自分をぶん殴りました。改めて振り返ると本当に主人公のセリフや伏線の回収など計算されていて、その実力に感動すら覚えます。それゆえに正直まだ消化しきれていないところさえある、掛け値なしに強烈な作品です。なんなら今回確認のために遊び直したらまた心がざわざわしました。今作は明確な分岐のないいわゆる一本道なのですが、その一本道であることにも非常に強い意味があって、個人的には「ドキドキ文芸部」を思い出したりもしました。
 今これを読んで「ほうほう、これは面白そうだ」と思ったあなた。この作品はあなたのための作品と言えるでしょう。個人的には初めて遊ぶノベルゲームというより、何本もノベルゲームを遊んで「ノベルゲーム面白い!!」と感じている方に遊んでほしいです。そんな方は、ぜひ終わった後しばらく休憩を取れるぐらいの時間をとって、この物語に飛び込んでもらえればと思います。

古都の謎解物語 幻の湖の演舞劇

 架空の和風世界を舞台に、研究機関の学生である卯月が依頼を受けある演舞についての調査を行っていくというアドベンチャーゲームになります。
 推理や脱出ではなく、この「学術調査」というテーマづけが非常に新鮮で、とても「よい」です。プレイしていて「ああ、この作品よい!」という気持ちがどんどん出てきます。オリジナルの専門用語にしっかりとした解説がつけられ読みごたえがありますし、世界観の完成度の高さもあり架空の世界の民俗を学ぶ感触がとてもわくわくします。個人的には浅見光彦シリーズや十津川警部シリーズのような旅情もの2時間ドラマを見ている時の「こんな場所があるのか」「ここ行ってみたいなぁー」という気持ちで遊ぶことができました。また終盤にはサスペンス展開もありそこも「どう解決するんだ…!?」とわくわくしながら楽しめました。
 今作はおそらく背景などに画像生成AIを使われているのですが、そのAIの使い方が「日本っぽいけど、ちょっと違う」という今作の世界観にとてもマッチしています。またキャラクターもみんないわゆる「顔がいい」のに加えて性格がさっぱりした好人物で、彼らのやりとりも本当に安心して楽しめますし、最後の終わり方もまるで「水戸黄門」や「必殺仕事人」のような一話完結型の時代劇のエンディング的で「ああわかってる!」と感じる絶妙な塩梅です。
 全体にプログラム・ピクチャー的な楽しさといい意味でのさっぱりとした味わいがあり、非常に良作だと思います。一本のいい歴史もの+ミステリーを見たような、シンプルに「面白かった―――!」と思える作品です。
 続編を考えられているということなのでぜひシリーズ化して、「お、今回の卯月はどこにいくのかな?」と毎回新作を楽しむような人気作になっていただきたいです。私も含め、ノベルゲーム界はエモとか、セクシャルやコメディなどで、ある種のエクストリームさがある作品が注目されやすいジャンルですが、今作は本当に軽さがありつつも充実したエンターテインメントで万人向けの作品だと思います。個人的にはもっと注目されていいよね、と思っています。というわけで皆様ぜひプレイしてください。

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