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鏡に写る寝癖

日曜の朝、珍しく早起きをして出かける準備をする。
今日はこれから隣町の結婚式場で中学からの友人の結婚式があるから、バスに乗って街へ出るのだ。

雨のせいかあたりはまだ薄暗くて、べたっとした風が、浮腫んだ顔にあたる。

毎度のことだが時間ギリギリになってしまい、スーツは着たものの、エレベーターの鏡に映った自分を見た時、ちょうど自分から見えない後ろ髪がピロンと跳ねていた。

昨晩は飲みすぎてそのまま寝てしまった手前、
変なところにできてしまった寝癖を手で何度も撫でながら小雨降る街を走る。

通り過ぎる人になんだか見られているような気がして、何度も何度も。

無事バスに乗って、跳ねていることがバレないように1番後ろの席に座り、一息着く。
同じくスーツを着て、慌てながら乗ってきた同い年くらいの男性が、後ろを目指して乗ってきたが、僕が座っている事に残念そうな顔をしながら2個前の席に座った。
彼も後ろ髪が跳ねていて、気にしながら何度も何度も寝癖をならすのだが、実はならしている方と真反対の方が跳ねている事に気付いてなく、フフフと鼻で笑い、自分も反対の手で後ろ髪の寝癖をなおすのであった。

鏡に写る寝癖
郷原飛由我

見えてる景色って実は自分の鏡だったりして

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