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たとえこの日を君たちが忘れたとしても

2人目の孫が生まれ。
息子夫婦は、お疲れ気味。

孫くん、1歳半。
行動的で興味津々なお年頃。

末娘を「遊んでくれるひと」と認識したらしく
遊びたくなると、カタコトながら
末娘の名前を連呼し、家中を探し回る。

末娘を見つけると
孫くんは満面の笑み。

それを見た末娘も
満面の笑み。

10歳差の、叔母と甥。
相思相愛である。


うだるような暑い日の夕刻。

ベランダで洗濯物を取り込んでいると
孫くんがやってきた。

彼は外に出るのが好きなのだ。

たとえそれがベランダでも
嬉しくてたまらないらしい。

「あっついけど、どうぞ?」
とベランダに招き入れると
「あちー?」と言いながら
ベランダの床を触っている。

ふと見上げると。

空が、ほんのり、色づいていた。

「夕焼けになりそうだね」
孫くんに声をかける。

そうこうしているうちに
空のピンクが、ひろがってきた。

自室にいる末娘に声をかける。

「夕焼けになりそうだよ」
慌てて部屋から出てくる末娘。

末娘に抱っこをせがむ、孫くん。

孫くんを抱っこする末娘と3人。

次第にひろがって濃くなっていく
色づいた空を眺める。

ああ。
幸せだ。

わたしは。

なんて幸せなんだろう。


ふたりはまだ若い。

これからたくさんの経験をして。
今日のこの時間のことを
忘れてしまうだろう。

だけど。

人生を折り返した私は。

きっと、この夕焼けを忘れないでおこう。

そう思いながら、夕焼けを見つめるふたりを
そっとカメラに落とし込んだ。

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