小此木啓吾『フロイト思想のキーワード』
序章 フロイト その思想と人生近代思想史におけるフロイトの役割
「私がオプティミストであるということは、あり得ないことです、しかし、私はペシミストでもありません。ペシミストと違うところは、悪とか、馬鹿げたこととか、無意味なこととかに対しても心の準備ができているという点です。なぜなら、私はこれらのものを最初から、この世の構成要素の中に数え入れてしまっているからです。断念の術さえ心得れば人生も結構楽しいものです」(ルー・アンドレアス = ザロメ宛書簡、一九一五年七月三十日付)