W.ジェイムズ『宗教的経験の諸相』
原著序 もし私が光栄にもエディンバラ大学における自然宗教に関するギフォード講座の講師に指名されることがなかったら、この書物はけっして書かれなかったであろう。指名を受けて私はそれぞれ十回の講義からなる二課程の講義を果たす責任を負うことになったが、その講義の主題について思案をめぐらした結果、第一の課程は「人間の宗教的欲求」に関する記述的なもの、第二の課程は「哲学による宗教的欲求の満足」に関する形而上学的なもの、とするのが適当なように私には思われた。ところが、心理学的問題について書