陸のさかな 2
そして、6歳になった。
わたしのともだちは、嬉しそうに陸に上がっていく。苦しそうにしている者、平気そうにしている者、なかなか陸に上がれない者、ここが陸なのか水なのかわからない様子の者、さまざまだ。
わたしは陸に上がるのが嫌だった。陸の世界よりも、たまに見かける1人と話したい。わたしは、とりあえず陸に上がるのは辞めた。
あとは、どうやってあの人に会うか。このガラスの外にどうやっていこうか。そればかり考えていた。
そんなわたしをお母さんは叱った。でも、気にならない。わたしには陸の方が危険がいっぱいだと、おとなたちを見て感じていたから。
とりあえず、わたしはなかに住むいろんな魚に外への行き方を聞いてみることにした。
まずは、となりの貝に住むわたしのおじさん。陸では、悪い人を捕まえる仕事をしているらしい。
わたし「おじさん、ガラスの外にはどうやっていくの?」
おじさん「は?ガラスの外なんて危ない、危ない。行かない方がいいよ。それよりも陸に上がりなさい。ほら、みんなに置いていかれるよ。」
次は、下の貝に住むちょっと変わったお兄さん。
わたし「お兄さん、ガラスの外にはどうやっていくの?」
お兄さん「やりたいと思ったら、まずやってみたら?君は若いんだから、なんだってできるよ!」
次は、上の貝に住む同い年の男魚。彼は、カメラマンをしている。
わたし「ねぇねぇ、ガラスの外にはどうやっていくの?」
同い年の男魚「この一瞬が輝いてるんだよね。それをカメラに残したい。この一瞬を撮るために、俺は何度も陸に行くんだ。」
わたしは、少し休もうと思って、もりのなかへとフラフラと泳いで行った。