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オーストリア中の美術館・博物館が入り放題!毎年恒例「美術館の長い夜」

毎年秋に開催されている美術館・博物館入り放題の文化イベント「美術館の長い夜」に今年も参戦してきました。

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この「美術館の長い夜」はオーストリアを挙げてのビッグイベントで、ウィーンだけでなく国中の美術館が夕方6時から午前1時までの7時間入り放題になります。

13回目を数える今年は、ウィーン市内だけでも121の美術館・博物館が入り放題!オーストリア全土で677もの美術館が開放され、全国で43万人以上が参加したそうです。

「美術館の長い夜」の参加方法はとても簡単。近くの美術館や博物館で参加費(大人13ユーロ、学生11ユーロ)を支払って、フリーパスのチケットとミュージアムがリストアップされた冊子をゲットするだけ。

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121の美術館がリストアップされているだけあって、しっかり分厚い冊子です。

ウィーンの大きな美術館の入場料が10ユーロ以上することを考えると、一晩で二つ行けば元を取れる計算になり、非常にお得なイベントです。専用のシャトルバスが午前1時まで美術館や博物館を巡り、交通網までこのイベントのために大活躍します。

ウィーンには、美術史美術館やアルベルティーナ美術館などの有名どころから、小さいけれど興味深い博物館まで、数え切れないほどのミュージアムがあります。普段行かないような小さな博物館(ウィーン旧市街の地下に眠るローマ遺跡の博物館、時計博物館、オットーワーグナーの設計した中央郵便局など)や、行きたかったけど入場料が高くて躊躇していた美術館(クリムトのベートーベンフリースのあるセセッシオンなど)、魅力的な臨時展をやっている美術館など、気になるミュージアムはいっぱい!

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ベルヴェデーレ宮殿上宮の豪華な広間でクリムトを見に来た参加者たち

他にも、地球やパピルス(紙)、お金などの博物館、鉄道や路面電車の博物館、シャンペン、シュナップス、ワイン、コーヒー、チョコレートなど食に関する博物館や、子供向けのイベントもあって、どんなニーズにも応えてくれます。

このイベントになるとどうしても気合が入ってしまう私は、今までに一晩で6ミュージアムを記録したこともあるんですが、今回はゆっくりと3つの気になる臨時展と常設展を一つ回り、大満足しました。

今回は、手始めにベルヴェデーレ宮殿の上宮でのクリムト生誕150周年の臨時展を見に行きました。この美術館はあの有名な「キス」の絵を所蔵していますが、今回の臨時展ではクリムトとその仲間や家族の絵も集め、彼の生涯をとても分かりやすく解説していました。

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夜のベルヴェデーレ宮殿下宮。この庭園を夜に散歩できるのもこの夜だけ!

お次は、ウィーン博物館内の別のクリムトの臨時展。こちらは、ウィーン博物館が所蔵する141枚のスケッチ画と数枚の絵画を展示し、クリムトの作風の変化を詳しく解説してあり、とても勉強になりました。

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ウィーン博物館前。この臨時展は翌日が最終日でした。

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夜11時を過ぎていると言うのに、ミュージアムカフェで一服する参加者たち。

その後で王宮家具博物館まで足を伸ばし、臨時展「コルフ島のシシィ」と常設展をゆっくり楽しみました。「コルフ島のシシィ」展は、オーストリアの皇妃エリザベートがギリシャのコルフ島に立てた別荘「アキレイオン」についての展示で、エリザベート妃のギリシャでの公務を離れた生活を垣間見ることができました。

また、王宮家具博物館の常設展では、ハプスブルク家の皇帝やその家族が実際に使った家具が展示され、王宮の内部を見学するよりも生々しい皇室の姿に触れることができます。

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王宮家具博物館。真夜中を過ぎるとさすがに空いてきて、のんびりと回れます。展示には皇妃エリザベートのシンボルマークの扇と黒い日傘も。

毎年規模が大きくなり、内容も盛りだくさんになる、この「美術館の長い夜」イベント。この時期ウィーンにいらっしゃる方は、ぜひ参戦して、芸術的な秋の夜長をお楽しみください。

(2012年10月執筆)

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