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平和と戦争について考える絵本

『てぶくろ』のトークライブをきっかけに、平和・戦争・核をテーマにした絵本の展示を図書館エントランスで実施中です。
そのなかから、東西の名作6点をご紹介します。

文:藤原克彦(附属図書館職員)


ぼくがラーメンたべてるとき

(長谷川義史 / 教育画報 / 2007)

重い。作者名、タイトル、楽しげな絵につられると、読むうちにあれ?っとなる。ぼくがラーメンを食べているこの同じ時にも地球上のどこかで子供に辛いことが降りかかっている。低学年には難しいよ。でもわかる日が来るまで繰り返し読ませたい。


ヒロシマ消えたかぞく

(指田和 / ポプラ社 / 2019)

広島市のある一家の「あの日」までの家族写真。みんな笑っている。犬や猫もいる。あの日、この家族、日常生活は一瞬にして消し飛ぶ。家族それぞれの最期の様子を静かに伝えるキャプションと写った笑顔とのギャップに胸がつまる。


おとうさんのちず

(ユリ・シュルヴィッツ / あすなろ書房 / 2009)

戦争で故郷を追われ異国で貧しい生活を送る少年。
ある日、父親は街でパンの代わりに地図を買う。その地図を見て少年は空想で世界を旅する。空腹も忘れて。どんな時でも、夢や生きる希望を持つことの意味を知らされる。


字のないはがき

(角田光代 / 小学館, 2019)

ひとり疎開させた末っ子が心配な父。住所を書いた葉書をたくさん持たせて、元気なら○を書いて出すようにと言う。しかし○は小さくなり、×になり、ついに届かなくなる。怒ると怖い父が、帰ってきた我が子を抱いておんおん泣くところで私の涙腺も崩壊する。


風が吹くとき

(レイモンド・ブリッグズ/ 篠崎書林/ 1982)

田舎に住む老夫婦は、政府の言うままにせっせと原爆への備えをする。彼らはヒロシマを知らない。しかし、知ったところで備えたところでどうなるものでもない。生き残ったのにゆっくり死に向かう老夫婦。ヒロシマを伝え続けていかねばと強く想う。


へいわとせんそう

(たにかわしゅんたろう / ブロンズ新社 / 2019)

子供に絵本を読む平和の母、敢然と子供を守る戦争の母。これ以上無い簡潔な絵と文が、平和と戦争で家族や生活、世界がどれほど違うのかを描く。と同時に、味方の顔と敵の顔の絵は何一つ違わない。その矛盾がなぜ人は?と問いかけてくる。 


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