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シンガポール旅行に関するキコウ文・ガーデンズ・バイ・ザ・ベイで『上を向いて歩こう』を聴く、編


ガーデンズ・バイ・ザ・ベイもまた、
大いに「計画」を感じさせる場所だった。

世界各地で、
ばらばらの時期に、
ばらばらに咲いているはずの、
有機物である植物が、
計画通りに動く空調によって
厳密に管理されたドームの中で、
揃いも揃って爛々と咲いている姿は、
確実に美しかった。

同時に「不気味だ」とも感じたが、
その光景を「不気味だ」と感じることは、
なんだかひどく不謹慎なようにも思えたので、口には出さなかった。

頑張って咲いた花はどれも
きれいだから仕方ないね

SMAP『世界に一つだけの花』

頑張って咲いたのだから、
それがたとえ温室育ちであろうと、
本来の時期に咲いていなかろうと、
その裏にどんな事情があろうと、
そのことを肯定しなきゃいけないのだ。
仕方ないのだ。
そう思って不謹慎の芽を摘んだ。
だから、口には出さなかった。

でも、じゃあこの違和感自体が罪なのかな?


ガーデンズ・バイ・ザ・ベイは夜に2回、
ショーをやっている。
スーパーツリーが
音楽に合わせてライトアップされる。

ショーでは、日本の曲が2曲使われていた。
ひとつは、坂本龍一の『Merry Christmas Mr.Lawrence』で、
もうひとつは、坂本九の『上を向いて歩こう』。

『戦メリ』の方は、
明らかに雰囲気で流していそうだったので、
「あの世界のサカモトも、まさか亜熱帯の国で、ベカベカのライティングに合わせて流されると思って作曲してないだろうに」
以外に、特に感想はなかったのだが、

『上を向いて歩こう』に関しては、
2、3のことを考えながら聴いていた。


まず、戦後日本(戦前を含めてもいいかもしれない)において、
最も愛されている曲と言ってもいいかもしれない『上を向いて歩こう』が、
3千マイル飛び越えたシンガポールの、
エンターテインメント・ショーで流されている、
という事実には、単純な感動を覚えた。
こういうことは、
誰からも普遍的に愛されることのできる
ポップソングにしかできないことであり、
日本とシンガポールの歴史を考えたときに、
その「誰からも普遍的に愛される」
ということの重みと美しさが
目の前で実現されていることは、
なかなかにグッとくるものがあった。
ここまでが、考えたことのひとつだ。


そして、もうひとつ考えたこと。
これがここまでの文章と接続する内容になる。
それは「上を向く」ということに関して。


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