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2023年から、これからの人生に携えていく本、漫画、映画たち

毎年同じことを繰り返す。人生の半分はそんなものと昨年書いたが、今年はそれなりに変わったことが多かった。

会社はメンバーを変え移転もしつつ再び軌道に乗り、スポーツの調子が良かったところからオーバーワークで体を壊し、結婚式をして、妻が妊娠し、新居を契約し、資産運用をしっかりと始めた。

一方で、すべて仕込みの時期でもあった。

今年に入ったいまでもフィジカルはリカバリーを終える段階であり、順調であれば今年に子供が生まれ、新居の竣工はまだ来年で、会社の上場はもうちょっと先だろうし、資産構築は一生やっていくはずだ。
成果となって目に見えるものは何も手元にない。

そんな中で、読書が支えになってくれていた。一冊の本を読めば“終えた”ことになって区切りがつく。そんな達成感は日々心の救いになっていた。

人生のカウントは1/48が1/47になり、1/80に託されるかもしれない。
勢いを増して飛んでいく光陰の中で、流れに逆らうよう腰を下ろして本を読み続けていくのだろうな。そう実感された年だった。

まぁいずれも振り返ってみると、であって幾分こじつけ感はあるけれど。
いつだって、その時はただ楽しくて読んでいるだけなのだから。

今年の本の大きなテーマは写真、シェイクスピア、トレーニング/リカバリー、ラテン語となった。
いずれもnoteの下書きにそれなりの文量が存在するのだが、どうにもまとめ切れていないまま埃をかぶっている。
ここで一つ区切りをつけて、ゆっくりと推敲していこうと思う。

☆がついているものは、特に思い入れのあるもの。


・写真
『現代写真アート原論』☆
雑誌“IMA”
『ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 完全マスター』
『ソール・ライターのすべて』
『写真論』
『「現代写真」の系譜』
『明るい部屋』
『写真を紡ぐキーワード123 ― 写真史から学ぶ撮影表現』
『TOKYO STYLE』
『さぁ、写真をはじめよう 写真の教科書』
“Ron Galella: Paparazzo Extraordinaire!”
『留まれ、アテネ』
“On Reading”
『写真の理論』
『図説 写真小史』
“The Nature of Photographs: A Primer”
『写真の映像 』
『美術の物語』☆
『写真の百科事典』
“Conceptual Art” ☆
『パリ・ロンドン放浪記』☆
『カラー版 世界写真史』
“The Language of New Media”☆
『点と線から面へ』☆
『映画論の冒険者たち』
『SAVE THE CATの法則』

・シェイクスピア
『お気に召すまま』☆
『ヴェローナの二紳士』☆
『ヘンリー4世』☆
『夏の夜の夢/間違いの喜劇』☆
『終わりよければすべてよし』☆
『テンペスト』
『ジュリアス・シーザー』
『ロミオとジュリエット』
『ハムレット』
『リチャード3世』
『リア王』
『ヴェニスの商人』
『じゃじゃ馬馴らし』
『マクベス』
『トロイラスとクレシダ』
『十二夜』
『ウィンザーの陽気な女房たち』
『オセロー』
『ヘンリー5世』
『ヘンリー6世』
『ヘンリー8世』
『恋の骨折り損』
『冬物語』
『シンベリン』
『尺には尺を』
『アテネのタイモン』
『タイタス・アンドロニカス』
『コリオレイナス』
『ジョン王』
『から騒ぎ』
『リチャード2世』
『アントニーとクレオパトラ』
『ペリクリーズ』
以上、松岡和子個人訳全集
『イギリスの歴史』
『シェイクスピア - 人生劇場の達人』

・トレーニング/リカバリー
“High-Powered Plyometrics”
“The Climbing Bible: Technical, physical and mental training for rock climbing”
『アスリートのための解剖学:トレーニングの効果を最大化する身体の科学』
『アスリートの科学 能力を極限まで引き出す秘密』
『ストレッチングの科学』
『運動器障害理学療法 上肢・頸部−基礎から実践まで』

・ラテン語
“Wheelock's Latin 7th Edition”☆
『しっかり学ぶ初級ラテン語』
『ラテン語のはなし―通読できるラテン語文法』
『恋の技法』
“ABC of Reading”☆

・インテリア
『インテリアコーディネーター合格テキスト』
『Casa BRUTUS特別編集』
『住宅インテリア究極ガイド2023-2024』

・科学系
『数学者たちの黒板』
『乱数』
『ウィーナー サイバネティックス――動物と機械における制御と通信』

・社会・人文系
『開かれた社会とその敵』☆
『なめらかな社会とその敵』
『なめらかな世界と、その敵』
『トランスジェンダー入門』

・その他
『カーマ・スートラ』
『恋愛のディスクール・断章』
『愉しい学問』☆
『この20人でわかる 世界史のキホン』

漫画(完結しているもののみ記載)
『ダンジョン飯』☆
“Scott Pilgrim” Series
『山口つばさ短編集 ヌードモデル』
『おとなになっても』
『君は放課後インソムニア』☆
『金剛寺さんは面倒臭い』
『ダンピアのおいしい冒険』
『この世界の片隅に』
『片喰と黄金』
『違国日記』☆
『ゾッキ』
『それでも町は廻っている』

アニメ
『天国大魔境』☆
“Scott Pilgrim Takes Off”☆
“Bee and PuppyCat”☆
『水星の魔女』☆
『ぼっち・ざ・ろっく』☆
『葬送のフリーレン』
『宇宙よりも遠い場所』
『サマータイムレンダ』
『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』
『推しの子』

映画
“Everything Everywhere All at Once”☆
“COMPARTMENT No.6”
“Alvar Aalto”☆
“The Super Mario Bros. Movie”
『THE FIRST SLAM DUNK』
『映画大好きポンポさん』
『サイダーのように言葉が湧き上がる』☆

・写真
昨年末に1眼ミラーレスを買って、昔少しやっていたカメラに戻ってきた。iPhoneよりもできることが増え、現物支給ではあるけれどアパレルの販促用写真を撮らせてもらったりして一つ視点が増えた。実際に自分が撮った写真を見て購入した人がいるかもしれない、という実感は何物にも代えがたい体験になった。

せっかく周りに写真で生計を立てていたり大学で学んでいる人達がいたので、いろいろと聞きながら写真にまつわる本をたくさん読んだ。

比較的新しい文化である写真から、美術史やコンセプチュアルアート、映画などについても広がりができ、今後もずっと生きる一つの思考のフレームワークが得られたはず。

中でも『美術の物語』は圧倒的な物質としての本の存在感とともにその軽やかかつしっかりした中身に圧倒されたし、『点と線から面へ』はあまりに内容がわからなすぎて印象に残っている。

・シェイクスピア
『水星の魔女』がかなり刺さり、その根底にある『テンペスト』というシェイクスピアの作品を読んだ。劇の台本を読むってどうなの、と思いいままで数冊しか読んでこなかったシェイクスピア。改めて読むと、年を重ねたせいかやたらと響いてしまった。
ちょうど留年不良大学生の若い友人が英文学科に在籍中で、最近完訳された松岡和子氏訳の全集をお勧めされたのでとにかく全部読もうと思い、読んだ。

詳細は別のnoteとするが、1600年ごろに書かれたものがいまだに演じられ、遠い日本においても幾多の訳が出て、最新の訳は足かけ26年かけて訳される。
そうさせるほどの魅力があると十分以上に説得させられた体験だった。

写真の連なる現代のアート文化が複製されうるデジタルに転換される中、その対極にある劇というものも実際に観に行ってみたい。

特に好きなものは『お気に召すまま』で、原文の“As You Like It”の文章もお気に入りとなった。

・トレーニング/リカバリー
妻と子供の話をはじめて最初に思ったこと。それは、もし運よく授かったとして子供に負担をかけたくないということだった。住環境やお金のこともあるけれど、自分にとっては子供ができることで何かをあきらめたという事実を作らないことが一番大事だと決めた。

だから今年は本格的にトレーニングをした。本を読むだけでなく、身近な友人や知己のプロにも方法を直接聞いてしっかりと組み立てたプランをこなすことはすぐに楽しみになった。毎回吐きそうになるまで追い込み、空いた日はパーソナルトレーニングやプールに通う日々。当初は襲われた倦怠感や疲労で夜もまともに寝られなかった。それを超えると、やればやるほどどんどん強くなっていく感覚が中毒性を帯びるようになった。
当初できなかった片手懸垂が3回出来るようになり、身体的にはピークが来たと実感されたところでプラトーも来た。

ここで一旦休養を入れるかプラトーを受け入れ淡々と続ければいいところ、調子に乗った僕が選んだのはトレーニングの量を増やすことだった。
結果は火を見るより明らかで、体を徹底的に痛めた。

数か月たってようやく回復してきてピークに戻る目途も立ったのが今だ。その過程で役に立ったのは、やっぱり本と知人からのアドバイスであった。
体の構造からストレッチの方法、理学療法のテキストなどを漁りつつ、実地のアドバイスも受け入れることで、自分の体についてかなり詳しくなったことはうれしい誤算。

といっても、もうこんな回り道はしたくないのは確かだ。このスポーツを始めた当初の憧れに、子供が世に生まれる前に届くかどうかはかなりギリギリのところにある。

・ラテン語
シェイクスピアを読んで懐古趣味が刺激された結果、ラテン語を始めてしまった。上に挙げた本の多くは今もやっていて、今年をかけてしっかりやりきる予定だ。並行してDuolingoもやっている。ファミリープランで集めた友人6人で状況を確かめ合うのが楽しく、こっちがメインになっている感は否めない。

死語をやる直接のきっかけになったのエズラ・パウンドの“ABC of Reading”でラテン語くらいできるよね、と煽られたのが悔しかったからだが、やり始めからかなり面白くてすっかり自走のレールに乗ってしまった。

英語に多くの単語が取り入れられているし、フランス語と似ているところもあれば似ていないこともあり、言葉の発展について考えるいいきっかけになった。
特に“Wheelock's Latin”はイントロダクションだけでも読む価値がある。

日本人の特質というものは、かなりの程度日本語を使うことに拠っていると実感したのでそのうちまとめてみようと思う。とりあえずは辞書を引き引きであれば大方のラテン語文章を読める状態になりたい。

・その他の本
数学は以前かった本をちまちま進めることがメインで新たな本はあまり読まなかった。ブックサンタで贈った『数学者たちの黒板』が写真とも呼応し楽しかったくらい。
あとは家を契約したのでインテリアについて色々探ったり。
改めてリストにまとめて眺めていると小説が全くなく、物語の摂取は漫画やアニメ、映画に大きく偏った年になっていた。

・漫画
どれもよかったが、アニメをみてハマった“Scott Pilgrim Takes Off”が日本の漫画との違いをかなり感じて面白かった。
MARVELの漫画を描いているすごい友人が身近にいるのにどうにも食指が伸びず全然読んでいなかったことを反省し、来年は手を付けてみる。

・アニメ
☆を付けたものはどれも特に素晴らしかった。その中でも『天国大魔境』はこれがなければ今年はアニメをあまり見なかったかもしれない、というほどアニメという媒体自体に惚れ直す要素にあふれていた。オープニングの自由さから始まり、時や場面の切り替えが多用される中でゆっくりと明かされる世界観にすっかりやられてしまった。

“Scott Pilgrim Takes Off”や“Bee and PuppyCat”は、ラテン語をはじめたことで英語が気楽に感じられたからか、英語そのままで見られるようになってうれしかったという側面もある。
どちらも独特のテンションでハマる人を選びそうなところも好み。

・映画
今年はあまり映画を見なかった気がしていたのだが、“EEAAO”を筆頭に自分好みの映画にたくさん当たった年だった。だから小説を読む必要がなかったのかもしれない。

“Alvar Aalto”は昔フィンランドに行ったときからずっと好きなArtekのデザイナーで、新しい家具をArtekでそろえようとしたところに上映があったそのタイミングに運命を感じた。内容はちょっと冗長で妻は寝ていた。

『サイダーのように言葉が湧き上がる』はビビッドな絵作りから王道かつ少しだけ外れたストーリーが大好きで何回も見直したが、だれも周りの共感は得られなかった。だからこそ、自分だけの特別な作品となる予感もしている。

来年はどうなるだろう
来年は、かなり変化の多い年になるはずだ。
そんな中でもじっくりと本を読み、ぶれないところは確保したうえで、流れに身を任せつつ楽しんでいこう。

今回はあまり見直さず、ざっと書いたままにしてみた。たまにはそんな文章を残しておくのもいいだろう。というのは言い訳かな。

まずは去年書いたnote群を下書きから掘り起こさないと。

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