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『三体(2)』

<この記事は『三体(1)』のつづきです>

※前回に引き続き、この記事は『三体』シリーズのネタバレを多分に含みます。

オタクは当て字が好き

guchon
マシーナリーとも子の対談記事でも言われてたけど、「面壁者(ウォールフェイサー)」とか、「青銅時代(ブロンズ・エイジ)」みたいな漢字の名前に英語で読み仮名をあてるノリも、オタク丸出しのセンスよね。

kobochanne
あの対談は面白かったよねー。たしかに『三体』は、この手のオタク丸出しの厨房ワード満載だったし。

guchon
このネーミングセンスには富樫イズムを感じたよ。
『ハンターハンター』の「神の左手 悪魔の右手(ギャラリーフェイク)」みたいな。

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kobochanne
たしかに『三体』の厨房ネーミングは『ハンターハンター』っぽいなー。
「青銅時代(ブロンズエイジ)」は、『ワンピース』の「氷河時代(アイス・エイジ)」を思い出したけど。

guchon
富樫は「俺の両手は機関銃(ダブルマシンガン)」みたいに完全にやりすぎてキツい時もあるけど、『三体』は適度にオタク丸出しで良かった。

kobochanne
そう言われてみると、『Ⅱ』の黒暗森林理論に基づく心理戦も富樫イズムが入ってる気がしてくるな。

guchon
『Ⅱ』の黒暗森林理論はマジ怖いよね。今後、宇宙人コンタクトものは黒暗森林理論を考慮せずに書けなくなったと思うし。

kobochanne
スリリングだし説得力あるし、とんでもねー理論だよね。それこそファーストコンタクトSFへの「破壁者(ウォールブレイカー)」ってかんじ。

guchon
人類に友好的な宇宙人がいないってことは、ETも、ロップルくんもチャミー(『のび太の宇宙開拓史』)もいないんよね。

kobochanne
地球を見つけたら、問答無用で恒星系を消滅させる攻撃を仕掛けてくるんだもんね。
このかわいいチャミーがそんなことするなんて信じられないよ。

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guchon
三体人も一緒にどら焼きを食べられるぐらい友好的だったら良かったのに。

kobochanne
実際はポン刀持った智子が来るからね。完全に『キル・ビル』思い出したし。

guchon
そうそう!あそこもオタク丸出しポイントであり、タランティーノイズムよね。

kobochanne
ホント、『三体』にはいろんなイズムが入ってるなー。

もうお知らせするのはやめい!

guchon
黒暗森林理論みたいなかんじで、ホーキング博士も「地球人類のことを宇宙人にお知らせするのはやめい!」って言ってるみたいよ。宇宙人は怖いし、地球を隠した方がいい。

kobochanne
たしかに、人間同士ですらモメてばっかなのに、宇宙人相手に友好的に立ち回れるのか疑問よね。

guchon
こういう手紙を宇宙に送るのはやめい!

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パイオニア探査機の金属板
1972年と1973年に打ち上げられた宇宙探査機パイオニア10号・11号に取り付けられた銘板で、人類からのメッセージを絵で記したもの。

kobochanne
わはは!これね!マジだっせー!
相手が友好的な宇宙人だったとしても、恥ずかしいから送らないでほしい!

guchon
宇宙人にこの手紙が見つかったら100%ナメられるよね。

kobochanne
全裸の男が「こんちわー」って手を上げてる状態って、地球の一般常識に照らしてもバカ丸出しだもんね。
もし、おれが歌い手で、この手紙を受信したら迷いなく浄化するわ。

guchon
わはは!歌い手でた!

kobochanne
『Ⅲ』の中でも20頁分くらいしか登場しないのに、キャラが強烈だからホント印象に残るよね。

guchon
超SFな場面なのに、中国古典みたいな語り口になるところも最高。

kobochanne
変な詩を歌いはじめちゃうところね!

guchon
次元攻撃をバイトにやらせてる感覚なのもヤバいし。
歌い手の上司も「ちょっと取引先にFAXしといて」みたいなノリで太陽系を消滅させる兵器を使わせちゃうよね。

kobochanne
わはは!そうそう!完全ナメてるんだよね。
歌い手が「でも、この兵器は環境に良くないんじゃないっすかね?」って口答えしても、上司が「みんな使ってんだから別にいいだろうが!早くやれよバイト!」みたいなかんじで兵器を使わせてたし。

guchon
神への長い道』みたいに、あのレベルまで行くと攻撃みたいな野蛮な行為は下っ端がやる仕事で、精神世界を探求していく方が重要で高等な仕事なのかもしれないね。

kobochanne
鼻持ちならないよなー。しかも、そんなに進んだ宇宙人でも「みんなやってるし別にいいっしょ」のノリが残ってて、そのせいで宇宙が死ぬってのは示唆的だよね。

guchon
規模がめちゃくちゃでかい環境破壊だもんね。
あの次元攻撃の場面、『FF5』のネオエクスデスの「宇宙の法則が乱れる!」ってこの事だったんだ!ってなったよ。

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kobochanne
わはは!ホントだ!
ネオエクスデス=歌い手説じゃん!

guchon
『三体』の次元攻撃を知ってからだとネオエクスデスに銭投げで対抗するバッツたち、めちゃくちゃすごい。

kobochanne
しかも一番効くし、シュールすぎるよね。「アホの一念、岩をも通す」だよ。
案外、劉慈欣もネオエクスデスに影響受けてるかもしれんよ。

三体のその後

kobochanne
ファンによるアンソロジー『三体X』も楽しみだよね。

guchon
気になるよね。もう明日発売してほしいし。

kobochanne
『三体X 観想之宙』ってタイトルもホントいい。

guchon
劉慈欣イズム丸出しだよね。

kobochanne
なんでか分かんないけど、タイトルに同人誌っぽいオタクさがにじみ出てるよね。
『三体』自体もおもしろいけど超オタクくさいし、これが世界的に流行ったのって、だんだん世の中がオタクくさくなってきてるんだろうね。

guchon
そうそう。前回も話に出た『シン・エヴァ』の興行収入が100億円いったエピソードもそうだよね。

kobochanne
同じ同じ。おれ自身もそうなんだろうけど、インターネットの副作用で流行に群がりたくなっちゃう性質が顕著になってるんだろうね。

guchon
そこが悩ましいところだよね。流行ってるものに中指たてるのもある意味ではオタクっぽさでもあるし。

kobochanne
オタクの一部って一般化を通り越して陳腐化してるのに、アンチ流行の意識だけ残ってるのかなー…ってまた『三体』の話から離れちゃってるな。

guchon
なんにせよ良い作品がちゃんと売れるのはいいことっしょ!
本家の『三体』が世に出て10年以上たつし、これで三体フォロワー作品がどんどん出てくるのがマジ楽しみだよ。

kobochanne
おれは中国SFって短編しか読んだことないけど、長編も邦訳が進んでるみたいよね。『荒潮』とか読んだ?

guchon
全然ノーチェックでした!これは気になる!

kobochanne
かなり陰惨な話らしいから読むの躊躇するけど、あらすじが良すぎるよね。生い立ちが完全に『ハンターハンター』の幻影旅団だし。

中国南東部のシリコン島で日々、電子ゴミから資源を探し出して暮らす最下層市民“ゴミ人"だ。彼女たちは昼夜なく厳しい労働を強いられ、稼ぎは何代にもわたって島を支配してきた羅、陳、林の有力御三家に吸い取られていた。
しかし、テラグリーン・リサイクリング社の経営コンサルタント、ブランドルと陳開宗が島を訪れてからすべては変わり始める。テラグリーン社の環境再生計画に翻弄され、利権を奪い合う御三家たち。いっぽう、米米は開宗と恋に落ちるが、想像し得ない未来が彼女を待ち受けていた……。

guchon
たしかに流星街すぎる!

kobochanne
思えば、いい作品ってどれも富樫っぽいところがあるような気さえしてきたよ。

guchon
そうなんだよね。「すべての道は富樫に通ず」だね。

kobochanne
『三体』もヤバかったけど、中華SFもヤバイし、そもそも富樫がヤバイってことだね。

guchon
あと、このツイートを見た時、『Ⅲ』で出てきた本当に大事なことは石に彫るエピソードを思い出したよ。

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kobochanne
わはは!『三体』と真逆で、全然大事じゃないことを石に彫っちゃってる!

guchon
この石碑も宇宙の終わりまで残っちゃうじゃんね。

kobochanne
石に彫ることがどういう意味をもつか考えてほしいね。
こんなんも、もしかしたら1800万年後まで残っちゃうかもしれんよ。

guchon
そして、『三体』グッズで水滴のマグネットがあるらしいのも気になってる。

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kobochanne
マグネットはいいとして、左のグッズに「屁不通」って書いてあるけど…。

guchon
わはは!ホントだ!
『三体』の文章の引用な気もするけど、どっかに出てきたっけ?

kobochanne
『三体』に屁に関するシーンはなかったと思うけど…。

guchon
翻訳してみたけど「読め。たわごとは意味をなさない。」って意味らしいよ。

kobochanne
へえ〜!字面だけ見ると「狗(いぬ)の屁は通らず」みたいに見えるけどなー。
『三体』のおかげで中国を身近に感じてたけど、まだまだ理解には程遠いのか…。

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