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20年前の自分と10年後の自分へ

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。私事ですが、結婚してもうすぐ1年になります。夫婦で話し合って、そろそろ子供がほしいという話になっています。

世界はこんな状況で、医療も経済も生活も、なかなか明るい未来を見いだせないですが、子供が産める期間は限られているので、「今はやめておこう」とか、そうも言っていられないというのが夫婦の共通認識です。

でも、実は私は子供の頃から、自分が子供を作ることに否定的でした。というのも、なかなか理解していただけないかもしれませんが、私は自分の子供が大人になる頃、明るい未来は来ないだろうと思っていたからです。

自分の子供を望む望まないということについては、他にも色々話したいことはあるのですが、それはまた今度…。

20年前、私は10歳でした。そのころ、母に一冊の絵本をもらいました。そこには地球の未来が描かれていました。赤く、黒く燃える森。逃げ惑う動物たち。10歳の私には衝撃的でした。

「地球温暖化」で世界は大変なことになるらしい。「地球温暖化」を引き起こしているのは私たち人間の暮らしらしい。

そのころの世の中は、地球温暖化を人間が引き起こしていることに、まだ懐疑的でした。その可能性を受け入れたくなかったのだと思います。私は「少しでも人間が排出している温室効果ガスで、地球環境が破壊される可能性があるなら、予防的に温室効果ガスの排出を止めるべき」と考えましたが、世界は全くといっていいほど地球温暖化に無関心で、対策には消極的でした。

10歳の私はとてもとてもがっかりしました。今の世界を生きる大人たちは、子供の未来に無関心なのだと感じました。そして私が50歳とか、60歳になるころ、明るい未来は来ないだろうと思い、悲しくなりました。そんな世界に自分の子供を残して死ぬなんて、無責任すぎる。自分の子供がかわいそうだ。世界が変わらない限り、自分は子供をつくらないことにしようと思いました。そして、そんなことを考えなくてはならない世界にとても腹が立ちました。

その後、自分はその無関心な人々にあらがいたいと考え、地球温暖化について学べる大学に進学するため、勉強することにしました。

思い直してみると、活動家のグレタさんのように、子供でも何かしらの行動を起こすことは可能だったのだなと思います。その当時はパソコンはまだ箱形で、インターネットも今ほど情報に溢れてはいませんでしたし、YouTubeもその他SNSも無かったので、同じように活動できたのかは分かりませんが、そういった状況の違いはあったにせよ、私は自分の力を信じていなかったし、努力も足らなかったと思います。
また一方で、やはり国等々の対策の生温さに、今思い出しても腹が立ちます。あの頃から危機感を持って対応していれば、救えた命がもっとあったと思うのです…。

さて、話を戻します。年を重ねるごとに、科学者たちの研究成果から、地球温暖化は人間の活動が原因である可能性が高まっていきました。そして一部の政治家や経営者や投資家、そして多くの科学者が地球温暖化に危機感を覚え、訴え始めました。

その当時の私の感覚からすると、だいぶ世界も日本も動きが遅く、地球温暖化は進むばかりで不安は募る一方でした。

20歳頃になると、自分の力の限界というものを否応なしに知ることになっていて、10歳の私が思い描いたような人物には、自分はなれないことが分かりました。
英語は喋れないし、覚えたことは三日で忘れるようなレベルだったので。
それでも何かしら未来のための仕事がしたい。その気持ちだけは失っていませんでした。それで、私は公務員になりました。

公務員になって何年かして、希望の環境問題に関わる部署に配属され、とにかく仕事に励みました。

そうこうしている間に、地球温暖化は気候変動とも呼ばれるようになり、毎年のように異常気象が人間の世界をかき回すようになりました。

絵本で見たように、森が燃え、動物が逃げ惑う未来が来てしまいました。

そして今年、ようやく世界がはっきりと気候変動に危機感を抱き、行動に移し始めたと感じています。ようやくです。

余談ですが、アメリカの選挙でバイデン氏が選ばれたときは心底ほっとしました。トランプ氏が続投することになったら、少なくとも2030年どうこう言う前に、地球の未来は終わっていたと思います。

2030年。10年後ですが、その時までに世界は持続可能な社会を築いていないと、もう地球温暖化は止められなくなると言われています。

たった10年しかないのだと、30歳になった私は思います。20年間、自分が歩んできた道が間違っていたとは思いませんが、もっと何かできたのではないかと思うことが多くなってしまいました。事実、私はプライベートな時間を地球温暖化の防止活動に割くことはほとんどありませんでした。

これからの10年間、私は後悔のないような道を、間違えずに歩き続けなければならないと考えています。
それは私だけでなく、全ての人が歩まなくてはならないと思います。そして、もしすべての人が危機感を持って行動することができたとしても、2030年までに間に合うかどうかというところだろうと思っています。

私はいま、自分の子供がほしいと思っています。子供がいらないと思うことが、気候変動を食い止めることを諦めたことになっているような気がするからです。偏った、間違った考え方だと思いますが、私自身が未来を諦めず、行動し続けるために、子供が欲しいと考えています。

もちろん、子供が欲しいと感じるようになった理由はこれだけではありませんが、それはまた別の機会にお話しします。

私が地球温暖化を知ってからの20年間は、失望し、どこかで諦め続けた20年間でした。これからは、希望と責任を持った10年間にしたいです。

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