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心模様

晩夏の太陽は翳り、先程から雨がしとしと降っている。
何もかもが静かに流れてゆく。
心を蝕む悲しい塊がとろけてゆく。
古いオルゴールから流れる錆びれた音が壁や天井に不調和に並んでは消えてゆく。

あの山の麓の村に行きたい。
自然の息吹きに包まれたい。
ひぐらしの鳴く時分に1人歩きたい。
晩夏の風に吹かれながら思考を巡らせたい。

愛を愛する為に誰かを愛したい。
決して嘘のないように。
愛を信じる為に自分を愛したい。

窓外の淡い紋様を水滴が優しくスケッチする。
蝉も鳴かず、オルゴールももはや鳴らない。
私は涙する。悲しみの塊がこの心を支配しないように。

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