西粟倉の山にトレイルをつくります
初めまして!6月から百森メンバーとして西粟倉村に移住してきた岸田萌&ジミーです。私(岸田)は百森でトレイル・アクティビティ部門を担当し、ジミーはトレイルアドバイザー役の顧問として活動しています。
トレイル(英=trail)とは森林や原野、里山などにある主に歩いたり、移動をするための道です。私たちは西粟倉村に既にあるトレイル(林道や国有林の自然歩道など)を整備したり、新しいトレイルを提案したりして、西粟倉村で人々がよりトレイルを快適に楽しめるように、そして様々な活動を通して利用できるように作業を進めていきたいと思っています。
今後いろいろと森の中でみなさんが楽しんで頂けるアクティビティの種類・選択肢を増やしていきたいと思いますが、まずはハイキング・MTB・トレイルランニング(主にトレイルで行われている活動)に適しているトレイル探し、そしてトレイル整備を今の時点で主な活動として進めています。今回はそれらの活動・企画を少しここで共有したいと思っています。
自己紹介
その前に、私たちの背景に少し触れると、私たちは去年の1月、3年間南フランスでの生活を終えてから当時11ヶ月の息子と日本に帰国し、移住先を一年ほど探し回っていました。家族で初めて日本に拠点を置く、新たな試みです。移住先の候補としては何かしら繋がりがある場所や親友から勧められた場所などに絞り少し見回りました。たくさんの場所に行くと言うより、ここなら私たちの居場所があるかもと感じた場所を何回か訪問し続けていく感じでした。
西粟倉村は去年の4月、ミツマタが森の中で綺麗に咲いている頃に初めて訪れました。その時に株式会社百森代表の田畑さんとジミーが林業やMTBの話で盛り上がり、9月に百森さんのMTBイベントに参加をするために再度村を訪れ、実際に西粟倉村にある林道の道を探索したりしました。その後、現在のトレイルの仕事の機会が訪れたため、今年の3月まだ雪が積もっている頃に物件探しに再度村を訪れました。
ここに到るまでに様々なハードルがありましたが、5月の末にやっと車で東京から西粟倉村へ移住することができました。私たちは自然の中にいると落ち着き、バックパッキングや自転車(ジミーはMTB)などを趣味としていたのでこの様な形でトレイルに関われることをとても有り難く思っています。急斜面の多い西粟倉村に快適なトレイルを整備するのには様々なチャレンジがあると思いますが、良い挑戦だと思いながら頑張っていきたいと思っています。
トレイルとして作業道や既存の山林を使うには所有者の許可など難しいことが多くありますが、山林窓口と協力しながら進めています。
ウォーキング・ハイキング
私たちが今取り組んでいるトレイルプロジェクトの一つは野鳥苑・影石谷森林浴公園の旧遊歩道の整備です。今現在は旧遊歩道の入り口は見つけづらくなってしまいましたが、一応そこには昔使用されていた遊歩道が500mほどあり、林道そして駒の尾登山口までにも繋がっています(ここの場所に関しては以前清水美波さんが記事を書かれていますのでそちらを参考に)。
私たちはここにある旧遊歩道はMTBには適していないと思っていますが、野鳥苑の旧建物の近くにある500mほどのトレイルは歩くために沢山の方々(例えば家族連れの方から高齢者まで)に楽しんでもらえるかな、と希望を持っています。あと、今はまだ安全じゃ無い部分があるが、整備後はプチトレランもできるはずです!
この写真は木漏れ日がとても綺麗なトレイル整備後の一部分です。ビジョンとして、ここで歩行瞑想(マインドフルウォーキング)などを実践し、心身・自然との繋がりを深めます。
影石谷森林浴公園はあわくらんど(道の駅)からアクセスも悪くないので、ここの遊歩道の整備をし、人々が気晴らしのため、または自然に触れるためにこのトレイルを利用できる様にしていきたいと考えています。私たちは現在ここのトレイル整備を月に数回行なっています。
トレイルワークで実際何をするの?など疑問に思っている方々もいるかもしれません。基本的には現場にある土砂、石や倒木を利用しながら整備を進めます。
作業例として:
落ち葉、落石、枝、草などの除去
石の積み重ね
例えば、雨のあと、水の流れを考えて水が流れて行って欲しくないところにとりあえず石を重ね上げてでバリアを作るなど
のちに石があると役に立つかもしれない周辺に石を集めておく
倒木を利用してトレイルと平行に置き土留めにする
ゴミや危ないもの(缶・ペットボトル・ガラス・ワイヤー)が落ちていたら気をつけながら収集し、のちに処理
まだここのトレイル整備は初段階なので今のところ、こんな感じです。この様な作業を述べてみると、「地道な作業」と思う人が少なくないかもしれません。しかし、トレイルワークを通して自然やトレイル(またはトレイルを利用したアクティビティ)への関心、整備の楽しさを発見できる機会になればと思っています。
トレイル整備をする際に、私たちはお気に入りのカスタムメイドのトレイル整備用の道具も使用しています。この道具は西粟倉村に約9年ほど住んでいるリーファさん(こだま工房・Fuerworkさん)が作ってくれたものです。使い心地がとてもよくて、歯がない側面は草なども上手く除去できます。さすが、クラフツマンが作った素晴らしい道具!これを持ってトレイルの整備に出かけるとなんとなく安心します。
ありがとう、リーファさん。
今後、倒木などの処理や木の階段の設置などの作業も予定しています。なるべく、現場にあるものを再利用します。いずれは新しいトレイルの看板とかも立て、トレイルの入り口や繋がっている道なども明確にしたいと思っています。とにかく、今は「プロセス・過程」を味わっています。
キノコ類への関心
もう一つ、トレイルワークをしていると地面に注意・意識を向けることが長くなり、普段森の中で歩いたり走ったりする時と比べ、周りの生物とかにいつも以上に気付いたりします。最近、2歳児の息子が毎回キノコを見つけると喜び、「Mushroom(キノコ)!」と指摘するからか、西粟倉村のトレイル探索や整備を通して、自分の中で改めてキノコ類に関心が湧いていることに気が付いています。トレイルワークの休憩中や作業をしている道を歩いたりしている時に写真を撮り、自宅にあるキノコの本で調べたりしています。
最近、森林浴公園付近で見たキノコをいくつか紹介します(種類が合っているかどうかは確実でありません)
最後に、トレイル整備を通して仲間ができたりすればより嬉しいです。他の方々と一緒にトレイルワークをすると楽しく作業が進み、新たな発見もあります。この前参加者の一人がトレイルワーク中に菌糸を指摘してくれ、彼女のお陰で私は菌糸に関する素晴らしいネットワークの在り方、森全体の相互扶助のコミュニティについて振り返ることができました。今後もトレイル整備の作業を定期的にする予定なので、機会があれば是非私たちと一緒に作業をしてください。
MTB(マウンテン・バイク)
ではここで、MTBの経験をもつジミーにバトンタッチします。ジミーはアメリカ出身で、父親のバックパックに乗せてもらっていた幼児の頃から森林での散歩を楽しんでいます。MTBに乗り始めたのは大学時代です。
私が西粟倉村に移住してから、数キロにわたる林道を探索し、どの様なルートを繋げるかなど検討し、楽しんでいます。今のところ、秋に向けて岡山サイクルクラブの方々数名と話し合い、一緒に林道の整備をし、9月29日に開催されるダウンヒルライドに向けて作業を進めています。彼らとは非常に冒険的なダウンヒルルートを今まで整備してきていますが、29日にはもう一つ、初心者から上級者(All levels)に適したルートも整備中なので、一緒に乗りたい方は参加を歓迎します!
あとMTB用のシングル トラックのトレイルを建設できそうな場所を今検討中です。長距離の尾根道(シングルトラック)の設計作業に取り組み始めたことにとても楽しみを感じています。この様なシングルトラックがあれば、もう既に西粟倉村にある林道のいくつかを結び、繋がりが適しているトレイル ネットワークを確立するための大きな一歩になると感じています。
トレイルランニング
最後に触れたいのはトレイルランニング(トレラン)です!トレランに関してはここにある国有林の遊歩道を利用できればと考えています。例えば若杉天然林は3kmや5kmループがあり、鳥取県方面とかに向かえば更に長い距離を走ることもできます。もう一つ、駒の尾山口からのトレイルランとして後山へ行って帰ってくる、気持ち良い尾根のピストンなんかもできます。この二つのルートは西粟倉村に長年住まれているトレイルランナーの羽田知弘さんからお勧めしてもらった場所です。私たちは最近、中国自然歩道のトレイルで気に入った場所を見つけたので、今後探索してイベント・レースとかに適したコースを探りに行くことを楽しみにしています。
トレランに良さそうな道!2枚目の写真では人間よりもトレイルを利用しているだろう鹿が映っています。
ただ、地域でトレランレースを開催するとなると、西粟倉村の歴史や田んぼの風景とかに触れることができるルートがあれば嬉しいのですが、山奥にある国有林(標高1000m以上の場所など)と現在住民が住まれている村の風景を上手く繋ぐことは難しいかもしれません。今、まだ探索中です!私たちはまだ西粟倉村の歴史をあまり知らないので、あわくら会館にある歴史関係の本を見ながらトレイルとの接点を検討中です。
トレランに関しては、できれば秋辺りにインフォーマルなイベントを開催したいと思っています。その前に一緒にトレイルを走る仲間なども募集中です。
今回は今私たちが主に取り組んでいるハイキング、MTB、トレランを中心とした作業・活動について書きました。そして、今後もっとみなさんが山を楽しめる様に工夫していけたら、と思っています。
では、山の中でお会いできることを楽しみにしています!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?