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素人が和室の砂壁(繊維壁)剥がして塗り替えてみた

6畳和室の砂壁(繊維壁)を剥がして塗装するDIYをやってみました。
いつかどなたかの役に立つかもしれないので記録しておきます。

塗り替えに至った経緯

まず、塗り替えることにした理由を少々。

この家はさいたま市からみなかみ町への移住に際し、空き家バンクの制度を通じてお借りした戸建の賃貸です。
「好きにしていいよ」という大家さんの許可も得ております。
しかし私自身は「好きに改造やったるでー!!」みたいなDIY気質はあまりなく、住めるならあるがままで結構というタイプ。
ただ、ある部屋だけは初めて見た時から壁をなんとかしようと決意していました。

どよ〜ん…

私の仕事部屋として1日の大半を過ごすことになるこの部屋だけ、壁がタバコで汚染されていたのです。
臭いはさほどしないものの、明らかに壁全体がヤニでくすんでおり、不潔で陰鬱な感じがします。

引っ越しの荷解きが落ち着いた頃を見計らい、複数のサイトを参考にホームセンターで必要なものを買い込んで準備万端!
と、いうときにエアコンの取り付け工事をお願いした方から、意外なアドバイスを受けます。

塗り替え方法の変更

補足ですがこの和室の壁、砂壁や土壁と呼ばれるものだと思っていたのですが、よく見るとなんだかモケモケしています。
砂や謎の金粉と共に綿のようなものが塗り込められており、こういうのを『繊維壁』というそうで。

触った感触もフワッとしている。

まあいずれにせよ、触るとなんかポロポロ畳に落ちてくる系です。
この上から直で塗料を塗っても、壁が塗料の水分を吸い込みきれいに塗れず、それどころか塗ったところが剥がれ落ちてくるらしいので、まずは『シーラー』と呼ばれる下地で固めてから上塗りしようと思っていました。

ところが電気屋さん曰く「この家は壁の下地がしっかりしてるから、剥がしてからのほうがきれいにできますよ。意外と簡単に剥がせるので。」
試しにすでに剥がれている箇所の端をつまんで引っ張ってみると、ペローンと気持ちよく取れちゃいました。

剥がして塗る場合もシーラー→塗料の手順は変わらないとのことで、剥がす手間は増えますが失敗せずきれいに仕上がるならいっそ剥がしてやってみることに。

道具と手順

用意した道具

塗装自体初めてで全て買い揃えることになりましたが、以下のアイテムで過不足なく作業を進行することができました。
購入は主にホームセンターのカインズ。

・塗料 2kg×2缶(¥5,160)

・シーラー 3.5L(¥9,390)

・ローラー&トレイ(¥798)

・スクレーパー(¥948)

・ハケ(¥148)

・マスキングテープ 30mm×18M 4巻パック(¥428)

・コロナマスカー(¥190)

・ジョイントコーク(¥498)

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合計 ¥17,560

塗装手順

1、繊維壁を剥がす(6時間)

2、養生をする(3時間)

3、コーキングを行う(1時間)

4、シーラーを塗る(3時間)

5、塗装をする(2時間半×2)

以上の作業を足掛け4日で行いました。

では順番に参ります。

見ての通り最初から剥がれている箇所もあり、繊維壁のもろさが伺えます。

1、繊維壁を剥がす

手で剥がせるといってもそれだと時間がかかるので、砂壁(繊維壁)剥がしの基本は「水を含ませてから一気にこそげ落とす」だそうで。
霧吹きを使うのが安全なのでしょうが、幸い外の水やりホースを引き込めたので効率を考えて勇気を出しておりゃー!

室内で水を撒く罪悪感との戦い。

もちろん畳には布やタオルを敷いてありますが、結構な勢いで染み込んでいくのでさほど被害はありませんでした。

濡らすとすぐにふやけるので、スクレーパーでズサーッ!
これを一面ずつ繰り返し、半日を費やしました。

繊維壁の質感も相まってもんじゃ焼きのようです。
水を吸ってまとまっているので粉塵が飛び散ることはなく、回収も簡単。

ここで想定外のことが起こったのですが、これまで気にならなかったヤニ臭が、壁を剥がすと一気に放出!部屋がひどい臭いに。
現代人には敬遠されがちな繊維壁、湿度調整・消臭という意味ではしっかり働いていたことがよくわかりました。

多少繊維が壁に残っていますが、塗り込められるのでそんなに気にしなくて大丈夫。

2、養生をする

好き嫌いが分かれる作業(私は嫌いじゃない)

繊維壁の下はモルタルっぽい土台で乾くまで時間がかかりそうだったので、その間に塗料がついては困る部分を養生。
柱、長押(なげし)はマスキングテープ、畳はコロナマスカーを使いました。

映り込む犬。

この『コロナマスカー』なるアイテム、私は今回初めて知ったのですが、超便利ですね。
むしろこれなしで塗装はしたくないくらい。
マスキングテープとビニールシートが合体しており、テープを貼ったところからシートを広げられる代物です。
この商品が塗装業界に出たときは、人類が火を使えるようになったくらいの衝撃があったんじゃなかろうか…。

養生作業はめんどくさいですが、手を抜かない方があとが楽です。
養生を手抜きして気を遣いながら塗るより、時間がかかってもガッツリ養生をしてガンガン塗った方が結果早いと思います。

3、コーキングを行う

養生テープと塗る面の境を『ジョイントコーク』なる商品で仕上げます。
乾くとゴムになるボンド、みたいなアイテムです。

このジョイントコークを境に沿ってピーッと引き、指でなぞって塗り込みます。
そうすることで、最終的に養生を剥がしたときにテープと塗装面の境目がきれいに真っ直ぐに出ます。

できるだけ平らにしておく。

これは必須作業というより見た目の完成度を上げる作業になりますが、個人的にはやった方がいいと感じました。
労力の割に得られる効果が大きいというか、素人が壁塗りするんだからこれくらいやっといてバチは当たらんよ。

4、シーラーを塗る

いよいよ塗りです。

左は塗料。いずれもカインズオリジナル。

シーラー(写真右)はいわゆる下地で、特に今回は「ヤニ留め」としても大きな役割を果たします。
ヤニに汚染された壁の上に直接塗装を行うと、下からヤニが染み出しちゃうんだそうで。
それを防いでくれます。

端やコンセント周りの細かいところはハケで、広い面はローラーで塗ります。
なお今回本当に初めての塗装で道具も持っていなかったのですが、ホームセンターはそんな初心者にも親切なアイテムがちゃんとあって助かります。

犬は常に私を見張っています。

元々繊維壁の上に塗ろうと思っていたのでシーラーを多めに用意したのですが(繊維壁は水分を吸い込むため)、普通の6畳間だったら3.5Lはいらないかもしれません。
今回はせっかくなので残さず塗りました。

たぶんですけど、コツは「神経質になりすぎないこと」です。
ムラなくきれいに塗ろうと思うと、確実に足りなくなります。
どうせ上から塗料を塗るので、全面に塗れていればOKくらいで大丈夫だと思います。

なおシーラーも塗料も、はみ出ても乾く前なら濡れ雑巾などで拭き取ることができます。

5、塗装をする

塗装はシーラーが乾いてから行います。
私はシーラーと塗装で日を跨いでるので大丈夫でしたが、ここで焦るとひび割れたり失敗することが多いようです。

塗料1回目。不安なくらいムラだらけ。

塗装も1回で決めようとせず、塗料の残量を見ながら1回目ざっくり、2回目で仕上げる感じで塗りました。
つや消しの塗料を使ったせいかしっかり乾くまではどうもムラがありそわそわしましたが、最終的には元の壁の細かい凸凹が残りつつもマットなオフホワイト1色になりました。

ほっ…

塗装が完全に乾く前に養生をそーっと剥がします。
雑にやって塗装も一緒に剥がれたところがちょっとあるので、最後まで手を抜いてはいけません…。

まとめ

というわけで足掛け4日間で、素人でもなんとか繊維壁を塗り替えることができました。
塗っている間は多少シンナー臭はしますが、揮発性なので塗装後1日経つと気にならない程度になりました。

剥がした繊維壁はゴミ袋1袋分。
ヤニ臭を放ち続けております…。

とんでもない量になるかと思いきやそうでもなかった。これなら普通に捨てられます。

繊維壁剥がし&塗装の感想

難しいことは特になく、2万円もかからずに素人でもそれなりの仕上がりになったので満足です。

ただかなり手間はかかるので(私が遅いだけかもしれませんが)、家中やりたいとは思わない笑
手が届く範囲だけならいいんですけど、長押(なげし)より上は脚立を使うのでそれがめんどくさいんですよね。

でもこれで明るい気持ちで仕事に取り組めそうです!

引っ越しから3週間遅れでこれからこの部屋の分の荷解きを始めます!

デメリットについて

最後にデメリットについても触れておきます。

すでに触れましたが、繊維壁は湿度調整・消臭はちゃんとやってくれていたのでその機能は無くなりました。

また繊維壁はその名の通り繊維を含んでおり、触れると(恐らく砂壁・土壁以上に)暖かかったんですよ。
それを剥がした今はただの「色のついたモルタル」なので、触るとひんやりします。

夏はいいんですが、ここはみなかみ。
冬は雪です…たぶんこの部屋めっちゃ寒くなる…。

まあそれはやる前からわかっていたのですが、それでもどうしてもあの壁には耐えられず。
やってよかったと思っています。

砂壁(繊維壁)を塗装したいと考えている皆さん、よかったらぜひ挑戦してみてくださいね。

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