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ひゃくま
2021年7月27日 23:14
「行くのか?」 「ん? あぁ……、なんだ来てたんですか?」 「うむ、君が行くらしいと聞いてな」 「……俺どこにも言ってないんですけど……」 「ハッハッハ、君の最近の様子から君の臣下が大いに心配しておったよ」 「あぁ、なるほど……。いやぁ、相変わらず迷惑かけっぱなしですね。ダメだなぁ……」 「……そんなことはないさ。それだけ彼らに信頼されているということだ。臣下に信頼されるのも『王』と
2021年7月20日 16:56
パチッパチッという木の弾ける音が断続的に続いていた。 目の前で火が焚かれている。 その火を囲うように空也と空也を助けた男が座り、すぐ近くの木に馬が繋がれていた。 「ほら、食っとけ」 ぼうっと火を眺めていた空也の前に金属製のマグカップに入った水とパンと干し肉の乗った皿が差し出された。 空也は軽く頭を下げてから(もっともその動作がここで意味のある動作なのかはわからないが)、大人しく男からそ
2021年7月13日 18:19
とりあえずもう一度辺りを見回してみた。 草原が見え、その先に地平線と空が見えた。 そして、その地平線に小さな影が見えた。 「ん?」 目を凝らしその小さな影を注視する。 ゆらゆらと風に揺れる草葉が視界の邪魔をするが確かにそこに黒く蠢く何かがあった。 それ以外に分かったことはどうやらその影はゆっくりとこちらに近づいている、ということだけ。 空也はここで悩むことになる。 つまり、助けを
2021年7月6日 23:42
「ん……」 爽やかな風と若草の匂い、そして太陽のまぶしさに誘われて少年、神月空也はゆっくりと目を覚した。 「……」 目が覚めた時点でとてつもない違和感はあった。 しかし寝起きのせいか頭は働かず、しばらくぼーっと頭上に広がる広大で綺麗な青い空を見つめた。 深く透き通った綺麗な青色が目に優しい。 広大な空を堪能して、それからゆっくりと上体を起こした。 段々と頭が働き始める。 辺りを見