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(株)pressmanのCINOとNoCoders JAPAN協会理事をされているSho Takahashiさんへのインタビュー

今回は(株)pressmanのCINOとNoCoders JAPAN協会理事をされているSho Takahashiさんに取材をさせていただきました。

Sho Takahashiさんとお話していて感じたのが、これからのキャリアは複合的でなおかつ有機的なものになっていくのではないかということです。

Sho Takahashiさんは様々な活動を同時並行でされていますが、その背後には大事にしたい価値観があり、1つ1つの仕事がそこに複合的に結びついています。こういった生き方をする人はこれからますます増えていくように感じました。

これはいろんな人の仕事を見るときのも注意が必要な観点だとも感じました。人は他人を見るときに今目に見える1つの仕事だけで判断しがちです。しかし、これからはそういう形で人を見ると、その人の本質的な部分が見えなくっていくように思います。

またお金という面では、テクノロジーにより資本主義社会の矛盾を乗り越えていく未来の可能性を感じました。

今すぐ実現するのは難しいと感じましたが、自分の大切にしたいものがあっても、「世間の常識」に惑わされ気がつきにくいく、気づいてもそれでは生活ができずお金を追いかけてしまう。

こういうことが生じがちな今の資本主義社会が、テクノロジーにより少しずつ変化していく兆しを感じました。

以下、インタビュー記事です。

佐藤:本日はお時間をいただきありがとうございます。まずは今までどんなお仕事をされてきたのかお伺いしてもよろしいでしょうか?

Sho:新卒で大手通信会社に就職して主に新規事業に関連する仕事を11年ほど行ってきました。その間に大学時代の友人と起業して電子書籍のECプラットフォーム事業や、ロット1で行うオーダーメイドのグッズメーカー事業なども行っていました。

佐藤:会社員もされつつ他にも事業をされていたのですね!その後はどんな活動をされたのですか?

Sho:アントレプレナー仲間との話の中で、たまたまブロックチェーンの「Ethereum(イーサリアム)」というプロジェクトについて聞く機会がありました。その話にかなりの衝撃を受けて、自律分散ネットワークの領域に何かしら関わりたいと思いました。
その中で、3年ほど前からブロックチェーンプロジェクトの中ではユースケースが豊富であった、世界初ブロックチェーンSNSプロジェクトSTEEMの日本アンバサダーになり、ブロックチェーンに関するアドバイザリーや講演をするようになりました。
その関係から、多くのジャンルやイノベーターの方々との出会いがあり、現在はブロックチェーン関連の事業も行っている(株)pressmanのCINO(Chief Innovation Officer)を担当しています。

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佐藤:CINOという肩書は初めて聞きました。ブロックチェーンとの出会いについてもっと伺ってもよろしいでしょうか?

Sho:初めてブロックチェーンの話を聞いたのは池袋の会議室でした。そのときのことは今でもよく覚えています。聞いていて雷が落ちるくらいの衝撃があり「ヤバイな」と感じました。ブロックチェーンのような自律分散ネットワークで、明らかに世の中の構造が変わると確信しましたね。この話を聞くまでは、クリエイティブでない世の中にイライラしていましたが、そのモヤモヤがこれで解消される可能性があるとも感じました。

佐藤:そういう経緯があったのですね。私も関わらせていただいていますが、そこからクロスコミュニティの活動にもつながっていくのですね。

Sho:そうですね。ただ、コミュニティやブロックチェーンにこだわるというよりも「フラットでクリエイティブな社会」であること、つまり、「人が素直に『こうだ』と思うことを表現して生きられる社会にするにはどうしたらいいか?」という問いへの答えにつながる活動ということです。
コミュニティは居心地のよさや価値観ベースで人が集まるところは魅力的です。一方で、閉鎖的になりやすい問題点もあります。ローカルな価値を生み出しつつ、他の価値を持っている他のコミュニティと「価値のクロス」を起こすこともまた大事だと思っています。
その化学反応にはマンパワーが必要になり、そのためにマネタイズが必要になるのが資本主義社会では一般的です。そこを変えられないかと考えていたときにNo-Code(ノーコード)という概念を知ったことがきっかけで、NoCoders JAPAN協会を立ち上げ、理事にもなりました。

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佐藤:「フラットでクリエイティブであること」であることが大事なのですね。こういうことを大事にしたいと思った原体験のようなものはあったのでしょうか?

Sho:ありましたね。10代後半から周囲のいる人たちがつまらなくなってきたと感じていました。当時は音楽をやっていたのですが、音楽仲間は「自分が面白いと思うもの」を音楽にしていたのに、次第に売れている曲を追いかけるようになっていると感じるようになりました。
次第に音楽以外の世界にもこれはあてはまると気がつき、「表現したいものを表現する」よりも「こうやったらうまくいく」ということを行う世間の風潮が強くなっていってることも感じるようになりました。これを一言でいえば、「手段の目的化」だと思います。いかに資本を集めてやるかという「資本主義のゲーム」に居心地の悪さを感じていました。このことに対する「答え」を見つけたいと思っています。

佐藤:10年以上前からずっと抱えていた問題意識だったのですね。私もまさにそこに問題意識を持っています。一連の活動をされる中でNoCoders JAPANを立ち上げたということですが、こちらに関してもお話を伺えたらと思います。事前にホームページも拝見したのですが、そこに「Tech for good」という言葉を見かけました。これはどういうことを指しているのですか?

Sho:No-Code(ノーコード)になればプログラムを書かずにプロダクトを作ることができるようになります。開発コストがかからなくなることで、プログラムの知識がない方 女性やアクティブシニアの方、コミュニティのリーダーなど、様々な方々から「余剰」が生まれ社会にとって役に立つことにつながっていくという概念です。
海外ではすでに「Tech for good」が流行していますが、No-Code(ノーコード)の領域自体は黎明期で、まだ確立していません。ただ、早いところでは2012年、2013年くらいから事業として取り組んでいる会社があり、そういった会社ともやり取りをしています。
こういう流れを踏まえると、プログラミングの勉強が現在では盛んですが、プログラミングの「考え方・思考」をプログラミングの前段階としてNo-Code(ノーコード)で実践的に学ぶ、「プレ・プログラミング教育」といったものもあっていいと考えています。いずれにせよ、それで何をするのか?の目的の部分が大事かなと思っています。

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佐藤:時代のかなり先をいっている概念ですね!今は方法論がデフレ化してきているので、方法論ベースで思考すること自体が時代遅れになってきているように感じています。まさに目的にフォーカスすることが大事になってきていますね。これからは哲学の時代なのかもしれません。

Sho:「哲学」という言葉は最近あまり使っていなくて、「自分の気持ちに素直に」という感じです。それは「あることを思っていたけど実は違っていた(それは自分の考えではなくて社会通念だったり共同幻想であった)」ということが社会に出ると多くあり、それを取り除き分解してようやく「〇〇をやりたい」といえるようになるものです。

佐藤:「哲学」と表現すると誤解を招くかもしれないですね。Shoさんはとても純粋に物事を見ているなと感じたのですが、そのように物事を見るために気をつけていることは何かありますか?

Sho:僕もまだまだ偏った(常識というものに犯された)ところがたくさんあって、まだ取り除いているところです。ただやっていることとしてはニュースを見ないことです。また、極力SNSも見ないことです。情報は自分自身の問いや仮説に対する答えを見つけるために取り入れています。必要以上の情報に意識を傾けると「よくわからない価値観」に染まってしまう気がします。

佐藤:都会は情報にあふれていてノイズの山ですよね。今のところ地方でリモートワークをされている方への取材が多いのですが、都会から離れてノイズが少なくなったという趣旨の話をよく聞く機会があります。これからはどんな働き方をする人が増えていくとお考えですか?

Sho:自分のやりたいことベースで働く人が増えていくと考えています。雇われて仕事をするというような工業化社会の前提は崩れ、自分の好きなことをやっていて気がついたら仕事になるというケースが増えていくと思います。余剰の再配分という観点でも「自分で税金を再配分する」ようになっていくと思います。そうすることで自分が求める社会に関わって、そこから仕事につながっていくというイメージです。

佐藤:私の感覚ですが、定石から外れて純粋な気持ちから始めたことが、いつのまにか社会的に影響力のある仕事になっているケースが徐々に増えてきているように思います。社会は変わっていないようで水面下では変化していっているのかもしれません。

Sho:もちろん、変化はあると思いますが、全体にそういう考え方が広まるのは我々の孫世代くらいではないでしょうか。今はユーチューバーがもてはやさていますが、テレビに登場する芸能人と比べてやっていることに大差はないように思います。まだまだ素直な気持ちで何かをするという考え方が、世間一般に普及する社会になるのはまだ先だという印象を持っています。 

佐藤:確かに全体に普及となるとまだ時間は必要ですね。お金という観点からもその話を考えることができると思ったのですが、余剰の「再配分」というと寄付、贈与、投資という言葉がありますが、再配分とはこういった言葉とは違った概念なのでしょうか?

Sho:寄付、贈与、投資、いずれの概念も境界線はなく溶け合っていくと考えています。ただ同じにはならないとも思います。いずれも「どこに向かうか」が今とは変わっていくのではないかと思います。今なら「より儲かるもの」、「この人に貢いだら得する」というところにお金がいきますが、徐々にその必要がなくなり、結果、お金の向かう先が変わると思っています。「じゃあ、どこに向かうのか」というのが次のテーマだと思っています。

佐藤:「どこに向かうか」という観点はより本質的な発想ですね。これからの経済はどうなっていくと思いますか?

Sho:マネタイズが変わってくると思います。同じマネタイズでもお金を払ってうれしいときもありますよね。例えば、「とてもおいしい」と感じる料理があったときに 定価以上に払いたいと思うときがあると思います。「払う=マイナス」ではなく「自分がしたいからする」、そういうマネタイズもこれから生まれていくと思います。(私はそれを「価値タイズ」と言っています)
本に定価以上の価値を感じた場合に「お気持ち」を支払うことのできる価格自由という仕組みがありますが、これはこういった流れの一環にあるのではないかと考えています。ただ、今こういったことができるのは、いわゆるインフルエンサーであり、ゆえにまずはみんな「インフルエンサーになろう」とする。いわゆる「手段の目的化」も発生してしまう傾向にあります。マネタイズの変化の過程には過渡期があり、そこに向かうまでの混乱もあるように思います。

佐藤:確かに定価で販売する傾向がまだまだ強いので、価格を購入する側で自由に決めるとなると、とまどいを感じる人は多そうですね。これからはどんなことをやっていきたいですか?

Sho:「新しい経営」をしていきたいです。会社、コミュニティ、イノベーション母体などすべてがネットワーク的に結びついていってそれが新しい経営になるイメージです。1つの会社というより、ネットワーク的な結びつきのいろんなパターンのものをうまく融合させながら、様々なプロジェクトをやっていきたいと思っています。

クロスコミュニティ

佐藤:とても未来志向の話をたくさん伺うことができました。本日はありがとうございました。


ShoさんのHPおよびSNS

HP:http://sho-t.mystrikingly.com/

note:https://note.com/showying_art

Twitter:https://twitter.com/showying_art


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