見出し画像

#40 最近よんだもの(12)

 子どもの大学受験に関して、神頼みくらいしかできることがない、無力無能ぶりを遺憾なく発揮している父親である。涼しい顔をして心の中で応援しているつもりだったが、はかばかしい結果が得られておらず内心あせっている。でも無能な父にはどうしようもない。成瀬慶彦がうらやましい気すらしてくる。頑張れと言わずとも頑張っているのはわかっているが、頑張れと祈らずにはいられない。受験がすべてではないと理解している賢明な息子よ、頑張れ。

「世界は経営でできている」(岩尾俊兵、講談社現代新書)

 SNSで目にして読んでみたいと思っていたが、図書館で予約したところ、手にできるのはかなり先。Amazonでも品薄だったが、近所の書店でたまたま入荷したのを見つけたので買った。

「人間とは、価値創造によって共同体全体の幸せを実現する、『経営人』なのである」

 つまるところ、上記の内容を軽妙な文章で読みやすく解説している(軽妙さについては、多少鼻白む向きもあるかもしれない)。仕事はもちろん、家庭も恋愛も勉強もすべて経営である。具体例に事欠かないのがこの本の白眉。確かに、すべては経営である。

 面白くてためになる。これほど陳腐なほめ言葉もないだろうが、人生うまくいってないとときおり感じるような方は、手に取って損はない。優れた人生の経営者たり得るために。(自分の人生の経営がうまくいっていると言ってるわけじゃありません。念のため)

 著者によると「経営」は論語が由来で、経済やManagementよりはるかに由緒ある概念、とのこと。受験勉強の合間に「孔丘」(宮城谷昌光、文藝春秋)を読んでいた息子よ、人生の優れた経営者たれ。



… 最後の追い込みそっちのけで「世界は経営でできている」を読み始めたわが息子。方向は間違っていませんが、いま読みますか? 血は争えないというやつか。ま、いいか。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?