20240801 ここ

何の感情も持たないものに憧れるんだ。

じゃあ、今すぐ人間をやめて、ロボットにでも何でもなればいいじゃない。

そう言うことじゃないんだけどね。

感情を持たないってそういうことでしょ。いや、ロボットなんてあなたには贅沢だわ。その辺に落ちてる木の枝で十分よ。

ハハハハハ。

それにしても今晩どうするの。

こんばん…

晩御飯よ。もう、勘が鈍いわね。ばんごはん。もうこんなに歩いたんだもの。すっかりお腹が減っちゃって。それこそロボットになりたい気分だわ。

な、感情なんて必要ないだろ。

何言ってんのよ。それとこれとは全く別物だわ。お腹が減るのは一時の感情なんてものでなく、れっきとした本能よ。

確かに。

感情はここ(そう言って彼女は胸に手をやる。)なの。そして、本能はここ(首の延髄付近に手をやる。おそらく彼女は脊髄反射的なことだと説明したいのだろう。)よ。

うん。

あなたは私のことが好き。

うん。

それはここ。あなたは今晩私を抱きたいと思う。

うん。

それはここ。ね、全くの別物なの。

いや、それはここじゃなくて、ここなんだけどな。






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