20270731 光

光がある。

それは単純なマイナーコードから始まる。抑揚のない和音が何度も鍵盤に叩きつけられると、のっぺりとした金属が形成される。その無機質な和音が崩れるにつれ、風に舞い上がる砂埃のようにキラキラと輝き始める。

光がある。

メランコリックな間奏が始まると、その両端は、つまり光の境目は、ぼんやりとし始める。それはまるで明確な意志を持って観察者を惑わせているようだ。

光がある。

さまざまに拍子を変化させたかと思うと、最後は四分の五拍子に落ち着く。安定したベースラインの上に解放された光の粒たちは、各々の喜びに満ちた自由な動きを披露する。

光がある。



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