20240401 メ刀

「今日から君はワカルと名乗りなさい。」

そう言って、彼は真っ白な紙切れに濃い鉛筆で書かれた漢字一文字を見せた。

それは一見すると『分』という字かと思ったが、よく見ると『メ刀("メ"の下に"刀"という一字の漢字)』という見たことのない漢字だった。

正直なところ、今の名前を気に入っているので戸惑った。もちろん名前如き変えたところで自分という存在は何も変わらない。それでも産まれてから今まで何十年と連れ添った名前であり愛着もある。それに両親がつけてくれた大切な名前だ。あまりにも突然過ぎる。

「これはもう決まったことなんだ。君が何と言ったところでどうしようもない。キミも知っている通り、私はただの一方的な連絡係であって、私にはどうすることもできないんだ。」



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