20240725 蝙蝠傘の女

ほんの少しだけ奇妙な話。

朝の河川敷コースは道路と交差しているところが何箇所かある。なので、信号を回避するため、土手から一旦川辺に降りてまた登り返すということをしている。だが、ここ最近雑草の茂りが凄く、他に回避場所はないだろうかと探っていたところ、川とは反対側の道路に降りて回避できるコースを発見した。

土手と交差する道路の下に20mほどのトンネルがある。車一台分が通れるほどの狭いトンネルだ。朝は地元の方の抜け道となっているのか、意外と車の往来があるので気をつけなければならない。

そのトンネルの中央付近に真っ黒の大きな蝙蝠傘をさした女性が立っていることがしばしばある。毎回ではない。と言うのも、信号が青の時は回避する必要がないのでこのトンネルを使うことはない。ここを通るのは信号が赤の時だけだ。だから、この奇妙な女性がどれくらいの頻度でいるのかはよく分からない。

ただ、自分がこのトンネルを抜ける時はこの女性を見かけることが"しばしば"ある。決まっていつも定位置で同じ地味な格好。動いている(あるいは歩いている)ところは見たことがない。トンネルの壁を背にして(つまりこちら側を見るようにして)大きな蝙蝠傘をさして突っ立っている。傘で覆われて顔は見えない。

短いトンネルとは言え中は暗く、交通量もある。日傘とは考えにくいし、何よりそんなところに突っ立っていては危険だ。

ちなみに今日もそのトンネルを通ったが、蝙蝠傘の女は見かけなかった。



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