20240417 二人組

二人組が家に押しかけてきた。

一人は青い作業着を着た痩せぎすの男で、もう一人は白いジャケットを羽織ったラグビーでもやっていそうなガタイの良い男だ。

どうやらガスの点検作業らしい。どかどかと室内に上がりこんだかと思うと、彼らは部屋をぐるりと一周し、小声で何かをぼそぼそと話している。

明らかにガス会社の人間の風体ではなかったので、警察に通報しますよと警告してみる。しかし、痩せぎすの男はニヤリと歯を見せただけで特に何も話さない。

その二人組は特に何をすることもなく、また来ますよとだけ言い残してその日は立ち去った。

それからまた一ヶ月くらい経った頃だろうか、あの二人組がやって来た。

またあなたたちですか。次は本当に通報しますよ。

と脅してみる。すると、

こちらには弁護士だってついている。いつだって訴状を作れるのだから。ほら。

そう言って痩せぎすの男は黒い革製のビジネスバッグから分厚い紙束を取り出し、勝ち誇ったように歯を見せる。

我々はしばらくの間、ここに滞在することになった。悪く思わないでくれ。これも点検作業の一環なんだ。

もはや何かを言う気にもなれなかったので、ソファでくつろぐ彼らの姿を呆然と見届ける。

あなたはいつも通り過ごしてもらって構わない。我々は自分たちのすべき事をするだけだ。あなたは思う存分に自分のすべき事をしたらいい。特に大きな問題はないのだからね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?