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インスタントフィクション集

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400字適度の作品集です。自由に書いてますが何か感じでくれたら嬉しいです。
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記事一覧

【インスタントフィクション】

『便所の端』

新たな気持ちでドアを開く。
 誰もいないホールで助けを求める。
 壁の重なる隙間から覗く女性がいる。
 心に小さな火花が散る。
 つい真面目に話しかけてしまう。
 『こんにちは』
 私は今日から男子トイレを掃除する。
 彼女も女子トイレを掃除する。
 同じ時間に同じように掃除する。
 トイレの備品は私が補充する。
 床は彼女が雑巾をかける。
 彼女は男子トイレに雑巾かけながら現れる

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インスタントフィクション

本を読むのが苦手、物語を想像は出来ても文章が書けると思わない
でも何かを作りたくて『インスタントフィクション』を描いて見ようと思いました。応援してくれたら嬉しいです。

『荒地』 希望の風を感じていた。

 画面の向こう側には自由の翼を掴んだ人々がいた。

 彼らは希望に満ちて掴んだ自由の翼にしがみつく。

 逃避の翼は自由の翼ではなかった。

 掴んだ手は断ち切られた。

 それ見た事か。

 

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帰省列車

ドンドン、ドンドン。

鈍く響く線路の音、電車は北へ向かって走る。

いつもと違う進行方向の向きに座り、切符の席に座る。

男は1人で2席を陣取りここは自分の場所だと荷物を置いた。

ドンドン、ドンドン

音もなく近づいてきたあなたは私の隣に座る。

進行方向に向き2人で座る。

窓の外は静かな世界、全てを飲み込む無音の世界。

肘掛けだけが自分の場所を作ってくれている。

ドンドン、ドンドン

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インスタントフィクション『斜光の差す部屋』

インスタントフィクション『斜光の差す部屋』

白い部屋だ。
大きな窓が1つ、海が見える。

一脚の椅子の4本の足が、長い影を作っている。
ひんやりとした風が白いレースのカーテンを揺していた。

2本の足の影。
波の音が大きくなり、レースのカーテンをタッセルに縛りつけ、潮臭い風をも取り入れる。
蒼い光が部屋を照らし出す。

3本の足の影になった。
2本は重なり太い影になる。
差し込む夕日で部屋は真っ赤に染まった。

たまらず遮りカーテンを閉めた

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