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インスタントフィクション『斜光の差す部屋』

白い部屋だ。
大きな窓が1つ、海が見える。

一脚の椅子の4本の足が、長い影を作っている。
ひんやりとした風が白いレースのカーテンを揺していた。


2本の足の影。
波の音が大きくなり、レースのカーテンをタッセルに縛りつけ、潮臭い風をも取り入れる。
蒼い光が部屋を照らし出す。


3本の足の影になった。
2本は重なり太い影になる。
差し込む夕日で部屋は真っ赤に染まった。

たまらず遮りカーテンを閉めたが、隙間を探す様に刺す赤い日もやがて無くなった。
蝋燭を灯す。

揺れる灯を見つめながら、過ぎた今日を思い返す。

流れた一筋の蝋燭の雫と同時に灯も消えた。

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