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家庭の経済状況、子どもにどう伝えるか

私が子どものころ、母親の口癖は「お金がない」だった。

私の目の前でお財布をひっくり返し、お札と小銭をすべて数える。
そうして深くため息をついて、

「見て、これ。これしかお金がない。手当が入るまであと◯日もあるのに。」
と、まだ小学生だった私に現実を突きつけるのだった。

20数年前、母子家庭だった我が家には、本当に母の財布の中身が全財産だったようだ。母がサラ金で借金をしていて、自己破産というものをしていたことも、後になって知ることになる。

現在、皮肉にも同じく二人の子のシングルマザーとなった私だが、自分の子どもに財布の中身を数える姿を見せることは決してない。

もちろん現在の我が家も当然余裕があるわけでもないし、日々節約をしながら子どもたちの将来に少しでも残そうと必死の毎日だが、かといって子どもたちに、自分の家が経済的に苦しいと知らしめるつもりはない。

そりゃあ、やたらに贅沢はできないよと伝えているし、無駄なものは買わない、ものを大切にすること、お金をかけなくても楽しめることなどは伝えているが、実際に家に金銭的な余裕がないことまでも子どもに伝えることで、一体どんなメリットがあるというのだろうか。

先日、私が子どもたちの前で「お財布にお金が入ってないー」というと、
「え?ほんと?お金がないってことは何も買えないの?」と、ひどく心配されてしまった。

実際はまぁ、通帳には多少生活費が残っていて、電子決済しか残っていなかったという場面でのやりとりだったのだが、この時初めて、子どもでも「お金がないと不安な顔をする」ということを確認したのだった。

「大丈夫だよ、銀行には少しあるんだけど、今持ってないって意味だよ」
と伝えた。(少し、と伝えたことが私にとっての保険かもしれない)

実際のところ、家計の状況をどこまで子どもにオープンにするかは、私にも何が正解なのかわからない。

が、自分が子どもだった頃に味わっていたのは、

「お金がないから食べるものは一番安いものを選ばなくちゃいけない」
「自分のせいで家にお金がない」
「自分がいるからお母さんがお金がなくて悲しんでいる」

などという、存在していることすら罪悪感を覚えるようなものだったので、
自分の子どもたちに経済状況を伝えることについては少し敏感になっているなと感じる。

これから子どもたちが成長するにつれ、お金に対しての価値観や知識、考え方も変わってくるだろうから、その都度その都度でどのように対応するかを考えていきたいと思っている。

ただ、我が子たちには、自分のような罪悪感や恐怖を味わわせることなく、お金に対してポジティブな気持ちを持った大人に育ってほしいと願う。

物価高騰、低賃金と生きづらい世の中だが、私は、母がしてくれなかったことをして、できなかったことをして、したいことをして…

慎ましくとも、少しでも、気持ちの面で豊かに暮らしていきたいと思うのであった。



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