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夢か現か

午後遅めの時間にまったく予定していなかった店で昼食を食べることになり、残り少ないランチメニューの中からボロネーゼパスタを選んだ。普段なら確実に選ばない料理だが、他に食べられそうなメニューがなかったのだ。やがて運ばれてきた皿を目にした瞬間、白いTシャツにボロネーゼソースの染みを付けてしまう夢を見たことを思い出した。

わたしは夢と同じく白いTシャツを着ていた。急いでいて、引き出しの一番手前にあった一枚を掴んだのだから仕方ない。夢の場面を繰り返さないよう、わたしはかなり慎重にゆっくりとフォークを使い、無事に染みを作ることなく食べ終えた・・・はずだった。数時間後、自宅に到着する直前にふと右の胸元に視点を落とすと、そこには点々と小さなオレンジ色の染みが飛んでいた。

結局夢で見たとおりになってしまった。いや、果たしてあれは夢だったのか、それとも一瞬未来を垣間見たのか、はっきりしない。白いTシャツにボロネーゼソースの染みが付いてしまう場面以外は何も覚えていない。白いTシャツを着ていたのが自分だったのかすら曖昧だ。まるで時が巻き戻されて、同じ場面を二度味わったかのような出来事だった。

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