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六人の嘘つきな大学生【読書感想】

六人の嘘つきな大学生、読後の感想を書こうかなっと。
初版が2021年3月で2021年9月で9版発行のモンスター級の小説です。
重版ペースすごい。小説の読書感想文になります。
未読の方はネタバレもあるかもしれないので、読んでからをお勧めします。



注意終わり。感想です。
このごろ流行ってるのかな?密室でのライアーゲームみたいな、人狼みたいな。
舞台は就職面接会。でも対しているのは企業の面接官ではなく、最後に残った6人で話し合いをして誰がこの企業にふさわしいかを投票で決めるルールです。投票を全員が時間ごとに何度かしていって、一番投票数が多い人がこの企業にふさわしいとみんなで認めたっていう 建前。
でも、このルールはどう考えても同じゴールに行きたい人しかいない状況では残酷ですよね。このスピラリンクスっていう企業はなんだろう、グーグルみたいな感じなのかしら。楽しそうで先鋭的で未来的な雰囲気を醸し出した企業で若者が夢を抱いちゃうような、入っただけで認められるような社名の企業らしいですよ。カフェで社食を取れたりダーツしながら会議できたり。
小説の形として面白いのが、密室ゲームみたいな流れを汲んでるから人狼ゲームで言うと投票で処分された人間が、楽屋でみんなの様子を見ながらいろいろ言うっていうあれがそのままインタビューとして本人の独白台詞があって面白いのです。

人物紹介です。表紙から。表紙が構成がまた上手なんですよね。イラストも上手だし。つくづく「よくできてる小説本」て思いました。

波多野 祥吾
主人公目線と言うならばとりあえずこの人かな。
前半と後半で主人公が変わります。ゆえに目線はあくまでも目線で本人が存在していない部分の情報はわからないのだな、とごく当たり前のことですがこの小説はその部分が面白くて楽しめます。
本人は一般的で特徴もないつまらない人間だと認識していますが、彼が彼の性格であるからこそ小説的に最後に落ち着いたなって思いました。

嶌 衣織
ジャスミンティーをいつも手元に持っている女の子。
ジャスミンティーっていいよね。香りが華やかで落ち着くよね。紅茶もいいんだけど色素沈着とカフェインが気になるからジャスミンティーに行きたくなる気持ち。分かる。
正統派ヒロインという感じです。離脱ができない分一番長く苦しんだのですね。お疲れ様です。キャラクター構成がいいと評判に書いてあったけど平凡でどこにでもいそうな人物像を簡潔な文章校正でつくりあげている作者さんです。

久賀 蒼太
衣織さんがヒロインならヒーローはこの人かな。
イケメンで冷静、知的なうえ思いやりもあるという完璧な男性です。そして一流企業に入ろうとしている真っ最中です。どこまで立派な看板を背負うのでしょうか。
名前がもうライダーとかに出てきそうなヒーローっぽいもん。ライダーだったらセカンドライダーで戦隊だったらブルーか後から追加されるめっちゃ強キャラか、最初敵側だったけど実は正義に寝返りたかったダークヒーロー的な。そんな彼です。

袴田 亮
ごめんね。背表紙にわたっているせいで画像が紙幣を折って人物像で面白い顔を作る的な感じになっちゃってます。ガッチリ筋肉系兄貴タイプです。
もちろんバリバリ体育会系。リーダーと言うかキャプテンというか主将というか。脳筋タイプですけど、インテリ的な部分もあるんですよ。と。
わたくし、こういうテトロドトキシンにあふれた男性好き。違う。テトロドトキシンはフグの毒。テストステロンです。骨格ががっしりした骨太な骨格標本を作れそうな、素敵な男性♡

矢代 つばさ
美人さん。かつめっちゃ人脈が豊富。そして知的好奇心に溢れて頭の回転が速い聡明系才色兼備さん。いやぁもう欠点が見当たらない。神様、人間には完璧なものなどいないのではなかったんじゃないのですか。しかも人懐っこくて気さく。クラスにいたら最初は美貌にビビって近寄れないけど、なにかのきっかけで話ができたらめっちゃ面白いなこの子。ってなるタイプ。
もてるんだよなぁー。なんだったら女性にもファンがつく。
でもズバズバ物を言うから嫌いな勢力も一定いるけど、本人は気に入ってる人間にしか近寄らないからあんまり不具合なく日常を過ごせる。

森久保 公彦
おなじ苗字の声優さんがいるから「もりくぼ」って打ったらそっちの名前が候補に挙がってきたじゃん。覚えやすくて言いやすい名前っていいよね。
何人もいる就職希望者の名前が鈴木とかだと「鈴木さんはちょっと歯切れの悪い話し方だったよね」「鈴木ってどの鈴木?」ってなるじゃない。名前って大事だよね。大多数にいる自分の位置って意味でも。この森久保君は地味系でめっちゃ努力家。真面目なんだよね。優秀だし。でもちょっと自信を持てないから自己プロデュースが苦手なんやね。優秀と有能の違いと言いますか。多数の中だと埋もれるけど少数でかつ役割を持たされると光るタイプ。真面目で頑固だからフォロー体制が整っていると能力を気兼ねなく発揮できる人。いるよね?

てな感じの6人が会議室という密室空間でグループディスカッションをしていきます。でもちょっとした小道具が表れて、そこには各自の知られたくない一面を知られてしまう情報が!!!

的な話でした。人狼ですね。残す人か追放する人かの違いはあるけど投票でそれが決まるという。
私は時代によって求められる物が決まっていると思うので、その意味では求められているオーダーを的確に理解した小説だと感じました。
ドラマ化か映画化するんだろうなぁー
昨今、サスペンス系増えてるもんなー
しかも死人が出ないサスペンスで若い美形を出せるもんなー
そういう意味でも商法的に優秀な商品な小説だー

最後にああなって、こうなって、ちょっと感動だけじゃないスパイスもあって。
うん。面白かった!
ストーリーの勉強になりました。

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