とびら(短歌集)

わたしあそこにいるはずだったの民族化粧してとびら島開く

秋の下 未洗礼の清いからだ引き摺って生きてく

こうすると旨いんだと残酷なことをして肉を食べている

色のない場所にいた気がするんだと狂いし時のメモに残っている

寂しさに色をつけようレモンの果皮に似た色を

樹皮剥ぐようにペディキュア拭う赤いコットンこれは死んだものの一部

もしかして三分後に世界は終わるんじゃないかという予感にガスを確かめる

筆跡震え、読んでくれていることを信じているあの人は神様

歌うのは立派な証拠 みんながじゆうにうたえたらいいのに

あの人にわたし何ができたろう胸に手当てて考えれば湖

パンだけじゃなくて言葉を食って生きているつもりでいるね

これさえあれば何処へでも行ける月面描いた82円切手

雨、矢のように雨 降ればアスファルトグレー出血す

一日にだれかとは話した方がいいよ、声でなくなるから

夜暮れてスタバの魔法みたいな甘い飲み物を飲む

泣きじゃくっていたあの日のわたしにわたしだけが味方してあげたい

想像上の海上で溺死する想像上の速報ニュース

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自由律俳句

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