波照間島

オフィスを間借りしたら、旅行会社のリアルな現状を知った|南西旅行開発インタビュー

青い海に青い空、辺り一面に広がる白い砂浜。

日々、コンクリートジャングルに囲まれて過ごしていると、時には仕事もほっぽり出して、南の島にバカンスに行きたいなんて気持ちになりますよね。

2019年10〜11月の移動型編集部でお世話になった「南西旅行開発」さんは、そんな「南の島」専門で、ツアーの企画や手配をしている旅行会社です。

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普段から旅をすることが多いHuuuuとしても非常にシンパシーを感じる会社ですが、なぜ今回オフィスを間借りさせてくれたのでしょうか?

代表の内山 貴之さんにインタビューしてみました!


時代の変化と伸び悩む旅行業のリアル

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――まず、南西旅行開発さんはどんな会社なのでしょうか?

内山:その名の通り、日本列島の南西側にある島のツアー企画や手配を行っている旅行会社です。鹿児島の屋久島から始まり、西は与那国島まで、沖縄本島のさらに先にある島をメインに取り扱っています。

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南西旅行開発のwebサイトより

――本当に南の島のツアーだけを扱っているんですね。会社としてはいつ頃から事業を始められたのでしょうか?

内山:去年が法人化してちょうど30周年です。もともと私の父が沖縄にある旅行会社の東京支店に勤めており、そこから独立したのが始まりですね。創業当初はパッケージツアーの内容を企画して、旅行会社に卸す「ホールセラー」と呼ばれる仕事をしていました。時代が変わるにつれて、インターネットを使った個人への旅行業に切り替わっていき、今に至ります。

――ということは、内山さんは二代目ということですね。今回2ヶ月ほど移動型編集部を受け入れて下さいましたが、どういった経緯で声をかけてくれたんですか?

内山:元々、Huuuuさんが編集を手がけるBAMPやGyoppyは読んでいたのですが、ちゃんと意識したきっかけは、長野で運営されているお店の「やってこ!シンカイ」ですね。サブスク制で小売をするお店2.0という試みがとても面白くて。ちょうどその頃、旅行業にもサブスクを取り入れられないかと考えていた時期でもあったので、参考になりそうだと思って代表である柿次郎さんのTwitterを見始めたんです。

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「やってこ!シンカイ」のクラウドファンディングページ。「お店2.0」をキーワードに、小売りの利益に依存しない新たなお店を実験中(※現在サブスク制は終了)

――それで移動型編集部のnoteも読んで下さったんですね。ちなみに、なぜ旅行業にサブスクを導入しようと思ったのでしょうか?

内山:旅行業界も時代とともに変化しており、今は手配だけしてハイ一丁上がりとはならなくて。特にうちみたいな規模の旅行会社だと、なにか打開策はないか色々考えているんです。

――旅行業界の変化……? 具体的にどのように変化しているのでしょうか。

内山:一般的に、観光業と言われているものは、インバウンドの影響もあり伸びていると思います。ただ今はOTA(※)が急成長しているので、既存旅行会社の売上はそこまで伸びていないですね。昔はたいていの駅前に旅行会社がたくさんあったのですが、だいぶ減ってしまいました。加えて、国内旅行の件数自体、あまり増えていないのが現状です。

※OTA……Online Travel Agentの頭文字の略。インターネット上だけで取引を行う旅行会社

――なるほど……。確かに旅先で温泉地とかに行くと、建物自体は立派なのにどこか寂れている旅館を目にすることも多いです。

内山:特に、団体のお客さんに依存していたところは苦戦していると思います。

――旅館やホテルの維持費もかかりますもんね。では、そういった変化の多い中で、これからの旅行会社には何が求められるのでしょうか?

内山:やりかたは色々あると思うんですけれど、いずれにしてもカギになってくるのは、お客様一人一人の要望に沿った「パーソナライズ」ですね。

大手であればAIやビッグデータを使って、顧客ごとにマッチした情報を広告などを通じて届けていくこともできます。ですが、私達のようにあまり規模の大きくない会社は、他にはない旅を企画して、その旅の魅力を自分たちの言葉で、愚直に発信し続けることしかできないのかなと。そのためにメディアを立ち上げる試みも考えています。今回Huuuuさんにお声がけしたのもそういった背景があったんです。

求められるのは「持続可能性」のある旅行業

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ーーなるほど!そういう経緯だったんですね。ちなみにどういったメディアを想定しているのでしょうか?

内山:ある旅行を企画するとして、「こう周ると楽しいです」とだけ見せても、なかなかその面白さは伝わりません。なぜならその周り方はあくまでサンプルの一つなので、その土地のことを知る人であれば、「自分ならこう周る」という意見も出てくるはずなんです。

そのためにも、通り一遍のアクティビティ紹介だけではなく、ある程度その土地のことを深堀りして見せて、私たち自身が普段、どういった視点で島に着目しているのかが伝わるメディアがいいですね。

例えば、鹿児島にある屋久島は、島のシンボルである縄文杉を目的に大勢の人が訪れました。ですが、それだけが目的の旅行が一巡した今、これからの島のあり方を模索している現地の方が大勢います。彼らに寄り添いながら、現地のリアルな状況も伝えていくことが、私たちのような旅行会社の役割だと思うんです。

――旅行会社の広告を見ると安さが売り文句になっていることが多いですが、そうではなく、その土地の背景や歴史を切り口に伝えていくということですね。

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内山:そうですね。あともう一点重要なこととして、持続可能性の問題もあります。昨今の京都や鎌倉では、キャパシティを超えた数の観光客が訪れてしまうオーバーツーリズムという問題も起きています。しかし一方で、人口が激減して消滅しかけている地域もあるんです。

地域が消滅することは旅行先がなくなることに等しいので、お客様に多様な選択肢を残しつつ、現地の暮らしの多様性を残すことは、旅行業の役割の一つとして切実な問題なんです。

――旅行先がないと、そもそも旅行業が成り立ちませんもんね……。内山さんはそうやって旅行先を守ることも考えながら事業を行っているですね。

内山:考えるようになりましたね。
時々、私たち旅行会社のいる意味ってなんだろうと思うこともあるんです。インターネットを使えば誰でも簡単に旅行ができる時代のなかで会社を続けていくのであれば、誰に何を必要とされているのか、そこにどんな意義があるのかを常に考えていかなければなりません。

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――そこで行き着いたのが、メディアを立ち上げて、現地の情報を発信していくということなんですね。

内山:そうですね。大手さんだからできるマスへの訴求はある一方で、先程お伝えした持続可能性の問題然り、島の旅行業を専門に続けてきた私達だからこそわかる部分もあります。そういった視点で発信していくことは、他の会社との差別化にも繋がるのかなと思っています。

――記事とセットでアクセス手段を提案できるのは旅行会社さんの強みですね!メディアの立ち上げ、とても楽しみです。

内山:みなさんには移動型編集部の期間中、いろいろなアイディアもいただけたので、これからの参考にしようと思います。

――Huuuuで島の取材するときはぜひ相談させてください!2ヶ月間ありがとうございました!

【お知らせ】

今回移動型編集部にご協力いただいた、南西旅行開発さんのHPはこちら!

南の島への旅行を考えている方は、ぜひ南西旅行開発さんにご相談下さい。
きっと素敵な旅行ツアーを提案してくれるはずです。

さらに、先日Humansで行われた交流会では、南西旅行開発の内山さんにも参加していただきました!

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今後も移動型編集部を起点に、色々な繋がりを作っていきたいと思います。

メディアの相談をしたい会社さん、オフィスの有効活用に悩んでいる会社さん、ぜひHuuuuにお声がけ下さい!よろしくお願いします!

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文章:日向コイケ(@hygkik) 編集:友光だんご(@inutekina)

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