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オットと私③

すっかりオジョーはオットに懐いた。

休みは大きな公園へ連れて行ってくれたり、自転車の乗り方を教えてくれたりしたし、何より当時幼稚園児だった彼女の行事にも必ず参加してくれたのはとても嬉しかったようだ。

元夫は一度も参加しなかった。
オジョーは決して言わなかったが他所のうちはみんなパパが来てるのに…と思っていたのかもしれない。
元夫が一度も行事に参加しなかったのは都合が良かった。
誰もがオットの事をオジョーのパパだと思うからだ。

オットは運動会も作品展も卒園式も出れる行事は全て参加してくれた。
いつも一眼レフを構えて、ここよりあっちの方がよく写るかな?なんて場所を気にしながら一生懸命、でも楽しそうにしてくれた。
そういう子供のように無邪気な所が凄く魅力的なのだ。

私は自分自身が子供の頃、父が行事に参加してくれた記憶がない。
私の両親は離婚している。
私が高校に上がる頃、父が家を出て行った。
離婚が成立したのは私が成人した後だった。

これは私が離婚した際に弁護士さんに両親が離婚している事を話していなくて、一度父の所へ戸籍が戻ってしまい、それを分ける為に取り寄せて分かったのだが、父は別の女と再婚していた。
何となくそうだろうと思っていたが、目の当たりにして何故だかわからないが物凄くがっかりした。
そんな父しか知らない私はオットを見ていると、私の中にいる小さな子供の頃の私が癒されて満たされる様な気がする事がある。
オジョーがして貰っている事は私自身がして欲しかった事なのかもしれない。

お付き合いを始めて、半年程で私は再婚した。
オジョーが小学校に上がるタイミングで私達は“家族”になったのだ。
ちゃんと学校の事を考えていてくれたことも本当にありがたかったし、嬉しかった。

何よりオジョーは大好きなパパと毎日一緒にいられる事をとても喜んだし、オットの両親もとても優しい人達で私達親子をすぐに受け入れてくれた。
近所に住んでるのでお父さんが育てた野菜を持ってきてくれたり、お母さんがオジョーと遊んでくれたりと色々と助けてくれる。
自宅で私の母、弟の家族とオットの両親も一緒に多人数で食事をした時、私は忙しく働いたが、そんな事が気にならないくらい楽しくて嬉しかった。
家族が増えて繋がって、私は堪らなく幸せを感じた事を忘れない。

結婚式はしなかったが2人で指輪を買いに行ったり、ウェディング写真を撮ったりした。実はこれらは以前の結婚ではした事がない。
再婚のくせに初体験なのだ。

もう、すべてに於いて感謝しかない。
正直、今は離婚した事は両手を挙げてバンザァーイ!だったと思っている。
あの頃の冷たくて淋しい生活を続けていたらと思うとゾッとする。

私は離婚して幸せになった。

つづく。


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