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インボイス制度の特例を利用した手取り増額案

個人事業主で確定申告をしている方や、小さな法人で、消費税の免税事業者(年間売上1千万円未満)の方向け情報です。
※当方、税理士資格がありませんので、あくまで自己責任でご参考程度に。

インボイス制度、はじまるよー

インボイス制度のあらましなどは、他の情報を当たってください。
私の法人では、昨年度初めて消費税の納税をしました。
初めてだったこともあり、ちょっと失敗をやらかしちゃったり(´;ω;`)

そんなわたくしですが、法人の代表をしながら、個人事業主の青色申告も別途しています。

個人事業主のほうはざっくり年間売上が500万円くらいで、消費税は免税事業者です。
俺にはインボイス制度、関係ないよなぁと思っていたのですが、、、。

年始から法人のほうの消費税確定申告が期日を1日遅れてしまい、無申告加算税で5万円ちょっと税務署にふんだくら・・・取り立てられた身としては、「消費税の制度で2度転ぶのはアホのやることや」と。
俺には関係ないと決めつけず、ちゃんと調べて、考えることにしました。


インボイスの登録をしないと不利になるかもよ?


インボイスの登録を税務署に申請すると、「適格事業者」というものになれて、「適格事業者の登録番号」をもらえます。
その後、この適格事業者の登録番号を請求書や納品書などに記載をすることで、それらが「適格請求書」等になることができます。

「適格」って、なにがどう、適格なんでしょうか?
役人様のネーミングセンスの無さに#%$’”$”””%$&$💣💣


もしあなたが「免税事業者」(売上1千万円未満)で、インボイスの登録をしなかった場合に訪れるかもしれない未来のちょっとした危機

取引先に、「免税事業者なんだから、この請求書の消費税分(10%)割引してよ。どうせ消費税、納税しなくていいんでしょ。お宅の発行する請求書は『適格請求書』ではないから、うちが困るんだよ。」と言われてしまうかもしれません。
※なぜ取引先が困るのか知りたい方は、「消費税 原則課税」でググって別途調べてください。

元から、今までの請求書に「消費税を0円」で書いている場合は、「いえ、うち元々免税事業者なので消費税をお預りしていませんですよ?」と答えれば、まあ相手も納得してくれるかなと思います。
ところが、免税事業者で消費税を加算していた方々は、言い逃れできなくなります。
⇒今までは適格事業者の番号の記載が義務付けられていなかったので、取引先から見てあなたが免税事業者なのかどうか分からない=消費税を納める義務があるか不明だったのが、これからは判別できる=相手がツッコミしやすくなるということです。

さあ、免税事業者なのに消費税を加算して納税せずにポッケしていた人にとっては、大変です。
※これ自体は、悪いことではないです。制度的に、これが許されていましたので。そもそもこの制度がザルというかなんというか、、、インボイス制度強硬導入のキモですね。


本来納税すべきものが猶予されていたという発想

インボイス制度の根幹は、「本来消費税は預かったものを納税する」ものです。
本来はその「預かった消費税」を納税すべきところ、年間売上が1千万未満の事業者はこの納税義務が免除=「免税事業者」となっていました。
なので、「本来の姿に戻しましょう」というのがお役人様たちの考えです。
これは、どんなに文句を言っても抗いようがないですね。

消費税の課税制度を良く理解し、正しい対応を考えるべきでしょう。


で、今回のテーマです

今回のテーマ、「インボイス制度の特例を利用した手取り増額案」です。
取引先から「免税事業者なんだから消費税分10%を割り引いてよ」」と言われてしまう前に、それを逆手に、先手を取ってお互いがWINWINの提案をします。

【前提条件】
①自身(自社)が免税事業者(下図の「支払先」)
②取引先が「原則課税」を選択している(下図の「支払元」)

柄に無く図解してみた

免税事業者のままでいるとこうなる(上図左側)

税込みで月額30万円、年間360万円の請負契約があったとします。
税抜:3,272,727円、消費税:327,272円(画像では端数を切ってます)
インボイス制度がスタートする前であれば、支払元はこの「327,272円」を「原則課税」で控除可能でした。
ところが、インボイス制度がスタートする2023年10月1日以降は、「適格請求書」に基づく消費税は控除可能ですが、そうでない場合(請求書を発行した側がインボイスの未登録)には、この控除ができなくなるので、その分、支払元の消費税納税額が増えます。
⇒要は、「あなたが預けた消費税、免税事業者に払ったものだから、控除できんよ!」ということです。
まあ、道理と言えば、道理です。

まとめると以下のとおり。
・インボイス制度により、相手が免税事業者かどうか判別できるようになる

・免税事業者の場合、消費税が納税されないことが分かる

・消費税はあくまで、「相手が納税するために一旦預ける」という考え方

・納税しない相手には預けなくてよい(果たされない約束など大嫌いなの🍎)

・預けなくて良い消費税だから、当然、原則課税での控除できない


あえて適格事業者の登録をした場合(上図右側)

元々税込みで年間360万円の請負代金に対し、「実質的な負担は変わらないので、36万円の消費税を上乗せしてもらいたい」と懇願します。
支払元の表面上の負担額は「360万+36万=396万円」に増えますが、上図右側下の青枠部分のとおり、増額したこの「36万円」の消費税は、支払元が適格事業者であるあなたに「一旦預ける消費税」となり、支払元はこれを原則課税でそのまま控除することができます。
⇒36万円多く払うことになるが、それは納税するべきものとして相手に一旦預けたので、自分の消費税を納税するときには引いてもいいよとなる。
⇒396万円支払ったのに、実質は360万円の負担なので、プラマイゼロになります。
スゲー(゚Д゚;)

免税事業者があえて適格事業者になると3年間ボーナスステージあるよ

国税様、飴ムチの使い分け、上手いっすね(・∀・)ニヤニヤ

上図右側上のとおり、支払元から預かった「36万円の消費税」は、なななんと、3年間限定で、「2割でいいよ」とか、太っ腹っすね!!!
2割って、要は、「8割引き」っすね!!!
こりゃ、大盤振る舞いだわ。
今時、8割引きとか、中華系の怪しい通販誘導へのアプリ誘導とかでしか見ない(酷い偏見)

しかも、3年間の猶予期間が過ぎてからは、計算方法も簡単な「簡易課税」を選択することで、「8割⇒5割引き(事業内容によります)」になります。
※設備投資で多く支払があった場合などは、簡易課税よりも原則課税のほうが有利な場合あり


この話、ちょっとしたフェイクが隠されています

上記で提案した「36万円の上乗せ」をせずに支払先が適格事業者になった場合、単に支払元が今まで通りの原則課税による控除ができるようになります。
税込み年間360万円⇒税抜:3,272,727円、消費税:327,272円
でも、これだと支払先の手取りが減っちゃいます。
2割特例使ったとしても、327,272円の2割の65,454円を納税することになります。
免税事業者のままであれば、この65,454円を納税しないで済むことを考えると、「手取りが減ってしまうから助けてー」とお願いしつつ、暗に「俺がインボイス登録しないと、困りますよね?」という駆け引きになっています。


いかがでしたでしょうか?
取引先に泣きついて懇願するのと、理解してもらうのがちょっとハードル高いかもしれませんが、うまくいくと実質的な手取りが増えますので、是非、検討、チャレンジしてみてください。
支払先にとっては実質負担額は変わらないのに、こちらの手取りは増えるという、値上げラッシュ、増税ラッシュのこのご時世に、「もっと良いお仕事を納品させて頂くために手取り額の増額にご協力を!!!!!!」とお願いしてみましょう。

但し、取引先が、「いや、うち簡易課税なんさね。」って言われたら詰みますが、それでも、簡易課税なら相手が適格事業者かどうかは関係無くなるので、少なくとも「免税事業者なんだから10%引けよ」と言われても、「いや、簡易課税なら関係無いですよね。」と言い返せたり、(力関係で)言い返せなかったり・・・。



2023年6月23日

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