副業の始め方
突然の呼び出し
午前中
アポイント先に訪問し、商談だか談笑だかを交わしていた私の携帯電話が、しつこく何度も呼んでいる。
バイブレーション音が気になったようで、先方の社長から
「電話、お急ぎだといけないからどうぞ気になさらず。」と促された。
「ねえ、すぐ戻ってこれる?なんか凄い剣幕で怒ってるんだけど(-_-;)」
電話口の妻の声が、何か緊急のことが発生したと案じさせる。
丁重にお詫びを申し上げ辞した後、もう1件別の訪問先のアポイントを、日時変更させて頂かないといけない。
ハンズフリーで通話しながら、車を走らせた。
もう全部分かってるんだからな!!!!!
え?何がでしょうか?
「自分から正直に話したほうが罪が軽くなるぞ。」
いやいや、だから何がでしょうか?
「シラを切るというのか?じゃあハッキリ言わせてもらうが、俺の計算だと、毎月の売上が50万円足りない。一体どこへやったんだ?」
ん?売上?
売上をどこかに持って行くって、どういう意味でしょうか?
あれ、もしかして俺、横領を疑われてる???
「ずっとおかしいと思っていたんだ。長年金融業をやってきた経験で、お金の動きは肌感覚で、手に取るように分かるんだ。隠し通せると思ったら大間違いだぞ。」
「お父さんは、あんたのことを心配しているんだよ。正直に話してごらん。何か深い事情があるんじゃないの?」
いや~、確かに役員報酬が安すぎる(代表者なのに22万ちょっと)という
『マリアナ海峡よりも深い深い事情』
は確かにありますよ!
事情ありすぎですよ!
でも、取引先との入出金って、全部本社で管理してますよね?こちらの支店には、消耗品や旅費精算用の小口現金が20万円程しかありませんよ?これでどうやって毎月50万円を抜けと?俺、現金扱えませんよね?
「横領というのはな、思ってもみなかった大胆な方法でやるものなんだ!本社で金を管理しているからといって、お前が横領をしていないという証拠にはならないんだ!」
なにそれーーーーー!ナーーーーーイスな発想ですね!
頓智がお上手!
一休さんと知恵比べしてる気分。
「俺はな、昨日全く眠れなかったんだ。お前ほどの真面目な男が会社の金に手を付けるなんて、余程のことがあるんじゃないかと。」
「私はね、美人局に遭って、ヤクザに脅されているんじゃないかと心配してるのよ。あんたいい男だから。」
そりゃどうもありがとうございましたm(__)m
一体どのツラを見て「いい男」なんて見当違いのことを言っているのだろうか(-_-;)
このへんから、もう笑いを堪えるのがしんどくなってしまった。(;´Д`)
あのさ、俺、酒も飲めないのに、どこでフラっとヤクザの女に手を出すようなことになるのさ?シラフで他所の女に行くって、それは『遊びじゃなくて本気』です。そりゃね、毎晩家に帰ってないよ。どこにいるかって?お前らの会社の支店事務所にいるんだよ。毎晩毎晩終わらないテトリスやってるから、自分の奥さんすら構ってあげられないのに。他所の女とイケナイコトしてる暇なんてない!!
逆に、横領をしているという根拠は何ですか?証拠はあるんですか?
「これを見ろ。今期6か月分の収支計算だ。」
A4版の用紙を1枚渡された。エクセルで計算したであろうその計算書なるものを根拠に、本来なら売上が50万上乗せされてしかるべきだと。
すみません。全く身に覚えがありません。
そんなに疑うのでしたら、全顧客の収支を洗えばどうですか?私は逃げも隠れもしません。
取引先とのアポをキャンセルし軽く3時間くらい拘束された挙句
次の日
「悪い悪い。なんか勘違いしてたみたいだ。しっかり宜しく~。」
って、おおおおおおおいいいいい!!!!!(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)
散々滅私奉公してきて、この仕打ちかよ。
もう怒った(# ゚Д゚#)(# ゚Д゚#)(# ゚Д゚#)
やってやるぜ。
復讐・・・じゃなくて、副業してやる☆
そもそも、子供が2人とも小学生になり、結構生活が苦しかった。
この横領騒ぎに直面する1年程前から、役員報酬増額を打診するが、全く取り合って貰えない。
どころか、『事業承継の一環』との名目で、義父の保有する非上場自社株を30%売りつけられ、その原資として月額15万円の役員報酬増額がされたが、10万は銀行への返済、5万は健康保険料と税金の増額分に消え、プラマイ0どころか、若干手取り収入が減るという始末。
ここで辞めときゃ良かったかもしれない。
実は、株式を譲り受けて以降、あまりに生活が苦しかったので、経営者仲間の友人を頼って、週3日、アルバイトをさせて貰っていた。
本格的に副業を始めようか・・・。
でも、今以上に忙しくなってしまったら過労で死んでしまう。
どうしたものか・・・。
怒りはエネルギー
ほら、悟空が初めてスーパーサイヤ人になった時のシーンを思い出してみよう。
あまりにも頭に来たので、1年間温め続けていた副業開始プランを、真剣に実行することにした。
まずは、個人事業主にするか、法人設立するか。
当時はまだ、大した売上のあてなど無かった。
法人を設立してしまうと、売上があろうが無かろうが、毎年最低7万円程の税金(均等割)がかかる。
法人の設立費用も、楽ではない。
全く畑違いの仕事をするならまだしも、本業である金融業と関連性のある仕事になることが予想された。
本業の立場と、副業の業務内容との兼ね合いを慎重に考えないといけない。
もし副業が身内にバレて、「その仕事はうちの会社として動いた実績だ」とか言い始めたら嫌だな。
それに、「まずは個人事業主で始めました」と言うより、「ちゃんと法人を設立しました」と宣言したほうが、商談相手に本気度が伝わるに違いない。
→本業だった金融業と、同業者との商談時、「ちゃんと別法人があるのなら、競合することはないね。」という判断をしてもらうことができ、結果的に大きな仕事が取れた。
さて、法人設立の費用をどうやって捻出するか・・・
本気になれば何でもできる
そういえば、俺、法律に強かったな。
ちょっと調べれば、自分で法人登記できるんじゃないか?
ネットや本屋で情報収集すると、出るわ、あるわ、法人設立の手引書やら様々。
分からないことは、法務局に聞けばいい。
これから何でも自分でやらないといけないんだ。
法務局のやる気のない窓際おじさんの、不機嫌な態度になんぞ、屈していられるか。
嫌そうな顔や態度が、「司法書士に依頼しろや~」と語っているが、知ったことか。
定款認証を電子署名にすると安い?了解!
で、やってみたら案外簡単にできた。
税理士さんに依頼するとお高い
どうせ始めは大して儲からないんだから、勉強がてら、自分で帳簿を付けて、最悪法人の確定申告だけは依頼すればいい。
複式簿記の記帳方法なんて、ネットで検索すればいくらでも出てくる。
それに、最近は便利なソフトウェアも安価、無料で利用することができるじゃないか。
もし、間違えちゃっても、
『儲かってない企業になんて税務署は見向きもしない』
『税務署そんなにヒマじゃない』
『税務署に目を付けられるくらい儲かれば大したもの』
このような経験者の言葉に勇気づけられた。
※決して適当で良いということではありません。
で、結局未だに、法人の確定申告も自分でやっていたりする。
eTAXという便利なものがあり、サービス業程度であれば何とかなる。
今年は創業時新車で購入した車を買い替えたから、その仕訳がちょっと難しかった。
4年落ちの下取りだったので、『固定資産売却益』が出てしまって・・・。
だが、ネットの情報と、会計ソフトの固定資産管理機能で、何とかなる。
来年は税理士の先生に外注できるくらい、儲けたいものだ。
始めるまでは色々怖かった。
何が怖いって、『分からないことが怖い』のだ。
でも、動き出さないと、『何が怖いのかすら分からない』
分からないことは、人に聞き、調べて対処すればいい。
動けば動くほど、分からないことがどんどん出てくるけれど、それに辛抱強く立ち向かっていると、どんどん分かるようになる。
あとは、現状への不満や反発心を『怒り』に変えれば、エンジンがかかる。
以上、全く参考にならない『副業の始め方』でしたm(__)m
最後に一言。
『副業やフリーランスにとって、経理ソフト選びはとても大事です』
忖度抜き!
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